「人より緊張しやすい」「他人からどう思われているか気になる」と感じている方は多いのではないでしょうか?
「内向的な性格」と片付けられてしまいがちですが、実はHSPである可能性があります。
今回は、なかなか聞きなれないHSPの人たちの悩みにどのように向き合えばいいか、企業がすべき対応方法について解説します。
HSPとは?
HSPとは、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の頭文字をとって名付けられ、生まれつき環境や人々の感情に敏感に反応する人たちを指します。
主に世界人口の15~20%、つまり約5人に1人が該当するとされています。
特に日本では、その国民性から諸外国よりも割合が高いと考えられています。
もしかして自分はHSPかも?確認する方法とは
ストレスチェックと同様、いくつかの質問項目に回答することで、自身がHSPに該当するかセルフチェックができる「日本版HSP尺度(HSPS-J19」があります。
下記19項目を直感答えてみましょう。
1.大きな音や雑然とした光景のような強い刺激がわずらわしいですか?
2.大きな音で不快になりますか?
3.一度にたくさんの事が起こっていると不快になりますか?
4.いろいろなことが自分の周りで起きていると、不快な気分が高まりますか?
5.明るい光や強いにおい、ごわごわした布地、近くのサイレンの音などにゾッとしやすいですか?
6.忙しい日々が続くと、ベッドや暗くした部屋などプライバシーが得られ、刺激の少ない場所に逃げ込みたくなりますか?
7.一度にたくさんのことを頼まれるとイライラしますか?
8.短時間にしなければならないことが多いとオロオロしますか?
9.他人の気分に左右されますか?
10.ビクッとしやすいですか?
11.競争場面を見られていると、緊張や動揺のあまり、いつもの力を発揮できなくなりますか?
12.強い刺激に圧倒されやすいですか?
13.痛みに敏感になることがありますか?
14.子供の頃、親や教師はあなたのことを「敏感だ」とか「内気だ」と見ていましたか?
15.生活に変化があると混乱しますか?
16.微細で繊細な香り・味・音・芸術作品などを好みますか?
17.自分に対して誠実ですか?
18.美術や音楽に深く感動しますか?
19.豊かな内面生活を送っていますか?
このなかで10個以上当てはまったらHSPの可能性があるとされています。
しかし、当てはまったからといって必ずしもHSPというわけではなく、あくまで「HSPの傾向にある」と捉えることが大切です。
HSPの悩みとは?
HSPの人たちは、日常生活においてあらゆることから刺激を受けやすいことが特徴です。
例えば、一つのことでも十のことを想像してしまうため考えが複雑化してしまったり、外部からの刺激(音・光・においなど)や他人の感情の変化に過敏に反応してしまったりします。
また、「自己肯定感が低く、疲れやすい」ことも特徴の一つです。
そのため、仕事をしているときも「必ず完璧にこなそう!」「上司から与えられた仕事は断ってはだめ」と考えて、人一倍努力してしまいます。
自分の意志に反して身体の疲れが蓄積していくため、いつの間にか自律神経失調症や適応障害につながることも考えられます。
HSPの人が「やめたら楽になる」5つの考え方!
では、HSPの人たちはどのようにしたら気持ちが楽になるのでしょう。
人は簡単に考え方を変えることはできません。
しかし、気持ちを切り替えることは習慣によって可能になります。
ここでは、HSPの人たちがやめたら気持ちが楽になる5つのことをご紹介します。
1.睡眠時間を削ってまで頑張ること
HSP気質の人は感受性が高く、深く考える傾向にあることから疲れが溜まりやすいとされています。
敏感なHSPの人々にとって、充分な休息は非常に重要です。
睡眠時間を削ることで集中力や注意力が低下し、気持ちも沈みやすくなります。
睡眠時間を確保して、無理な作業を避けることで、日常のストレスが緩和されていくでしょう。
2.自分に合わない環境に居続けること
今いる環境が自分に合っているとは限りません。
無理をして合わない環境に居続けると、多くのエネルギーを消耗して、結果的に疲れやストレス蓄積につながるでしょう。
一つの環境に固執するのではなく、自分に合った環境を探したり、見極めたりすることが自分の心身の健康につながります。
3.常に我慢をすること
HSPの人々は他者の感情を敏感に察知する能力に長けているため、自分の感情や意見を後回しにする傾向にあります。
他者の感情を察知できることは自分の長所と捉え、人の意見も聞きつつ、自分の意見や感情をきちんと相手に主張するように心がけましょう。
4.繊細な感覚を否定すること
繊細さや敏感さはHSPの特質です。
その感覚は、他者の気持ちを理解するための大きな力となります。
この感受性を受け入れ、強みとして活かす方法を模索しましょう。
5.HSPを受け入れてもらおうとすること
HSPは病気と違い症状として出ないため、なかなか見た目では分かりづらい面が多いです。
そのため一人ひとりの理解を求めるより、自分が自分の特性を理解し受け入れることが最も大切です。
まずは、自分自身がHSPについてきちんと受け入れることで、他者からの理解も自然と得られるようになります。
HSPへの向き合い方
実際に自分がHSPと分かったら、どのように向き合えばよいのか、またHSPの社員がいたら会社はどのように対応したらよいのでしょうか。
それぞれのポイントをご紹介します。
個人の場合
■客観的に自分をみること
HSPの人は他社の感情を客観的にみる能力は優れているものの、自分を客観視することは苦手な傾向にあります。
そのため、自身の性格や特長を見つめ直す時間を作り、自分の強みを見つけることが重要です。
また、その時に感じたことや思ったことは、ノートなどに書き留めておきましょう!
■外部からの刺激を緩和し、自身に合った環境を作ること
外からの刺激を敏感に受け止めてしまうため、刺激を受けたときに上手く対処する能力を身につけることが大切です。
たとえば、会社のコピー機の音が気になる場合は、必要に応じて耳栓をするなど簡単にできることから始めてみましょう。
会社の場合
◎音や光からの刺激を和らげる
会社で仕事をしていると雑音や光を避けることはできません。
しかし、雑音を防ぐためにノイズキャンセリング機能付きヘッドフォンや、PCからの光を遮断するためのブルーライトカットメガネの購入を検討することも一つの手です。
◎人混みを避ける
満員電車はHSPの人にとっては非常にストレスを感じやすい環境です。
そのため、時差出勤制度や会社外で仕事をする方法などの導入も集中力向上につながると考えられます。
◎相談窓口や産業医へ相談する
HSPの人たちは悩みを共感してもらえたり、話を聞いてもらえたりすることで気持ちが楽になります。
そのため、同じような悩みをもつ方々との共有掲示板の設置や、HSPに深い知識がある産業医への相談も大切です。
まとめ
日本人の特有の捉え方として、「大多数を肯定し、少数派を否定する」傾向にあります。
そのため、少数派であるHSPの人たちはなかなか周囲から理解されづらいのが現実です。
日々の様々な刺激から疲れやすさや生きづらさを感じることも多々あるでしょう。
しかし、HSPの人たちがもつ性質は、上手く活用すれば仕事やプライベートで長所として発揮することが可能です。
自身の性格や強みをしっかりと把握して、いきいきできる生活を作っていきましょう。