ドクタートラストの提供するストレスチェックサービスでは、2022年度に1,162組織約41万人に受検いただきました。
社内の専門機関、ストレスチェック研究所ではこのビッグデータをもとに、業種ごとのさまざまな分析を行っています。
今回は、分析結果にもとづき、医療・福祉業の高ストレス者率をはじめとする特徴をご紹介します。
※本コラムの業種分類は「日本標準産業分類」に準拠しています。
高ストレス者率は?
医療・福祉業に該当する組織は68、受検者数は15,386人です。
このうち高ストレス者は、2020年に15.8%、2021年に17.4%、2022年に15.8%となっており、2021年に一時的に高ストレス者率が高くなったものの2022年には、割合が下がりました。
2021年の高ストレス者率の増加には、新型コロナウイルスによる影響もあると推測されます。なお、最も高ストレス者率が高かったのは製造業19.4%です。
また、全業種の平均は15.5%でしたので、医療・福祉業は、全業種の平均をやや上回る結果となりました。
総合健康リスクの状況は?
総合健康リスクとは、疾病休業などの健康問題が発生するリスクを表しています。厚生労働省が定める基準値を100として、数字が大きいほど健康リスクが高いことを示しています。
医療・福祉業の健康リスクは、2020年105、2021年107、2022年104と、高ストレス者率と同じく、2021年に高まったものの、2022年は数値が3ポイント改善しました。なお、全国平均は97であることから、健康リスクがやや高い業種といえます。
医療・福祉業の特徴的な回答は?
全業種の平均点(全国平均点)を偏差値50として、医療・福祉業の偏差値を算出したとき、偏差値が良好な上位5つ、不良な下位5つは以下の通りです。(同率順位のものも表示)
医療・福祉業では、安定報酬(職を失う恐れがあるか)、働きがい、ワークエンゲイジメント、技能の活用度などで、良好な傾向が見られました。この業界は専門職も多いことから、自身の技能が十分活用できている、働きがいを感じる人も多いと考えられます。
一方で、身体的負担度、情緒的負担(感情面での負担)、仕事のコントロール度、疲労感など、業務の性質上負担を感じやすい項目が不良傾向です。
なお、良好・不良傾向の尺度を2021年の結果と比較した際に、2022年の結果と項目の変化はありませんでした。
どうやって改善に取り組むか
医療・福祉業では、身体的負担度や情緒的負担、仕事のコントロールなど、業務の性質上改善のハードルが高い項目もあるでしょう。
そのような中で、取り組みやすい課題は何か、見込まれる効果が高いものはどれかなど、優先順位をつけて取り組んでいただくのがおすすめです。また、同じ項目が課題であっても、原因はさまざまです。たとえば、「経営層との信頼関係」が不良傾向だったとして、「組織が大きく経営層との距離が遠い」ことが理由の場合もあれば、「組織や仕事の変化がある際に従業員に納得のある説明が行われていない」ことが理由の場合もあるでしょう。
「課題がある」で終わらせず、その項目が不良な理由はなんなのか、何が原因となっているのかを、職員の声や相談、社内の他の調査なども活用して検討することが大切です。また、部署ごとの結果も確認して職場環境改善に取り組みましょう。
さいごに
今回は、医療・福祉業の特徴についてお伝えしました。
ぜひ皆さんの組織の結果とも比較し、傾向をつかんでいただきたく思います。