従業員が50名以上の企業では、ストレスチェックの実施が義務、また集団分析結果を活用した職場環境改善が努力義務とされています。
集団分析は、ストレスチェックの結果を、集団単位(会社全体、拠点全体、部署全体など)で集計したものを指します。そして集団分析を理解するうえで、大事なことは、「結果の良し悪しに左右されない」です。
今回は、「集団分析結果の良し悪し左右されてはいけない理由」を解説します。
結果が良すぎた場合、組織として健全ではない可能性も否定できない
ストレスチェックの設問や尺度によっては、「結果が良い=良い組織状況」とは言い切れないことも存在します。たとえば「仕事の量的負担」という尺度は、下記3つの設問から算出されます。
1. 「非常にたくさんの仕事をしなければならない」
2. 「時間内に仕事が処理しきれない」
3. 「一生懸命働かなければならない」
仕事の量的負担が良すぎる組織は、不健全である可能性も否定できません。
会社組織として活動しているうえで、過度な負荷は避けるべきですが、一方では日中の時間帯にある程度の負荷があったほうが、生産性もあがるという考え方もあります。
また、若いうちに色んな経験をした方が自身のキャリアは広がる可能性も高くなります。
業種や仕事内容などが、結果に影響を受けやすい尺度もある
ストレスチェックの特徴として、業種や仕事内容によって、結果に影響が出やすい設問・尺度があります。たとえば、建設業の工事現場、病院や店舗などでの立ち仕事が多い業種では、身体的負担度(設問「からだを大変よく使う仕事だ」)の尺度の結果は不良傾向がみられます。一方、PC操作メインのオフィスワークが多い仕事に従事している場合は、この尺度の結果は良好傾向がみられます。さらに、経理や金融業など、細かい数字を扱う仕事では「仕事の質的負担」は不良傾向がみられます。
さいごに
このようにストレスチェックでは、結果が悪いからといって、「すべて改善しなければいけない」という解釈は危険です。結果が悪くなって当然の部分や、逆に結果が良いことが組織として不健全な可能性もあります。
ストレスチェックの結果を解釈するにあたり、設問や仕事内容、年代などの背景も考慮しながら、結果を細かく見ていくことがとても重要です。これにより現状の組織の結果を可視化したサーベイ結果として、理解も深まるでしょう。