近年、テレワークの普及が進み、ヨーロッパで注目されているのが「つながらない権利」(Right to Disconnect)です。
これは、労働者が仕事とプライベートの境界を明確にし、仕事によるストレスやワーク・ライフ・バランスの悪化を軽減することを目的としたもので、具体的には就業時間外のメールや電話への対応を拒否する権利などが挙げられます。
テレワークの弊害
テレワークは柔軟性と効率性を提供しますが、弊害も存在します。そのひとつがワーク・ライフ・バランスへの悪影響です。
オンラインでのコミュニケーションは、対面よりも手軽にいつでも相手にコンタクトを取ることができるため、受け手側としては、常にメールや通知に気を配る必要があります。
また、送り手のモラルや配慮が欠けていた場合、就業後や夜中に連絡が来てしまうなんてことも少なくありません。
テレワークは仕事の柔軟性を提供する反面、絶え間ない連絡手段や仕事へのアクセスが容易であるため、仕事から離れることが難しくなります。
これが過労やストレスの原因となり、ワーク・ライフ・バランスの悪化につながります。
プライベート時間の重要性
「つながらない権利」は、働く人たちに仕事から離れ、リラックスし、家族や趣味に時間を割く機会を提供します。これにより、労働者は適切な休息を取り、疲労の蓄積を防ぐことができます。また、適切なオフタイムを確保することで、メンタル面の健康にも良い影響を与えます。
また、心身ともに健康な状態の人は、仕事の熱意や活気(ワーク・エンゲイジメント)が高い傾向があることが、ドクタートラストの調査でも明らかになっています。
定期的な休息や労働とプライベートのバランスが取れた状態で働くことは、仕事において新しいアイデアを生み出しやすくし、ポジティブアな心理状態を生み出しやすくすると考えられています。
まとめ
「つながらない権利」は、労働者の権利とメンタルヘルスを重視し、バランスのとれた働き方を実現するための重要な概念です。職場においてこれを尊重することで、労働者の幸福度や生産性の向上、企業の持続可能な発展が期待できます。
現代の働き方において、仕事とプライベートの調和を大切にすることは、個人だけでなく組織全体にとっても有益なポイントといえるでしょう。