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「セルフモニタリング」で自分を客観的に観察!ストレスをため込む前に気づく方法とは?

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皆さんは「いま何%くらいストレスたまっていますか?」と尋ねられた時に、ぱっと答えられますか?
今回は日頃から少しずつ意識をすることで自身のストレス軽減やストレスに直面した際に臨機応変な対応を取ることが可能にする「セルフモニタリング」をご紹介します。

セルフモニタリングとは?

セルフモニタリングとは自己分析の一種であり、自分の言動や周囲の状況、行動を客観的に観察したり、書きおこしたりすることで、自分の感情や行動をコントロールする方法です。
認知行動療法の1つで、簡単かつ効果的なストレス対策です。

<認知行動療法とは>
衛生委員会ハンドブック「ストレスを感じないものの受け取り方・考え方~認知行動療法の基礎知識~ 」

なんとなく難しそうにみえますが、セルフモニタリングは、繰り返し行うことで誰でも簡単に身につけることが可能なもので、ストレスに対する耐性を上げることができるようになります。
また、セルフモニタリングの習慣を身につけることができれば、自分の行動や思考に対して誤った方向へ進まないように軌道修正できるようになるため、ストレス以外に対しても非常に有用な手法だといえるでしょう。

セルフモニタリングをすることで得られる効果とは

セルフモニタリングは、端的に言えば自身のストレス問題と向き合うことであり、ストレスを感じたときの思考や気分などの傾向から、自分の足りない点や苦手な部分が明確になります。
それに対して適切な対応を行っていくことで、ストレスマネジメント能力が向上します。
ストレスとの向き合い方を把握し、それが成果へとつながれば、行動継続への意欲になったり、ミスの防止などにつながったりもします。
以上のメリットから、セルフモニタリングは自身の行動変容への意識づけに有効な方法であるといえます。

セルフモニタリングの進め方

セルフモニタリングは、次の3つのステップで進めていきます。

【1】日常生活を振り返る

セルフモニタリングは、自分の言動や周囲の状況、行動の客観的な観察ことから始めます。
まずは日常生活を振り返り、これまで上手くいかなかった出来事と改善のために自分がした行動を客観的に思い出してみましょう。
「大した出来事ではなかった」と思っていた内容でも、実は大きなストレスがかかっていたり、時間がたつことで本質を見失ってしまったりすることもあるため、振り返る習慣を身につけることが大切です。

【2】出来事を5つのポイントをもとに考える

振り返る出来事を決めたら、以下の5つのポイントに沿って、その出来事を見直してみましょう。

① 何にストレスを感じたか(状況、事柄)
② ストレスを感じたときに思ったこと(認知)
③ ストレスを感じたときの気分(感情)
④ ストレスを感じたときの身心的反応(不調の表れ)
⑤ ストレスを感じたときに起こした行動(とれなかった行動を含む)

ここで大切なのは、「自分が体験した出来事のなかでストレスを感じている原因」に気がつくことです。
頭のなかで想像することも大切ですが、紙に書いたり、人に話したりすると出来事がより鮮明に思い出されるのでおすすめです。

【3】書き出したものを改めて読んでみる

前記「5つのポイント」すべてに答えたら、改めて一度客観的に書かれていることや話したことを振り返ってみましょう。
5つすべてをバランスよく振り返ることで、自分がつまずいている部分に気がつくこと、自分の思考のくせや、ストレスを感じた本当の原因などに関しても見つけ出すことができるようになります。
また、これをもとに次から自身の行動を修正したり、意識を変えたりすることでストレスから解放されます。

セルフモニタリングの具体例

私たちの生活のなかで起こり得る状況から、セルフモニタリングの具体例について考えてみましょう。

エピソード

会社で小さなミスにより上司に叱られた。
「なんでこんな小さなミスに気がつかなかったのだろう……」「次はもっと頑張らなきゃ」と自分に対しての情けなさから自信をなくし、周囲の人にも相談もできない。
再び上司から叱られるのではないかと思うようになり、仕事のことを考えると胃が痛くなったり、食欲がなくなったりするようになった。

セルフモニタリングの内容

上記の例を5つのポイントに分けて考えてみましょう。

① 何にストレスを感じたか(状況、事柄)
・ 上司に叱られた
・ 周囲の人に相談できない
・ また叱られるのではないかと失敗を恐れるようになった
② ストレスを感じたときに思ったこと(認知)
・ なぜこんなに小さなミスに気がつかなかったのだろう
・ 次はもっと頑張らなければいけない
③ ストレスを感じたときの気分(感情)
・ 自信喪失
・ 情けない
④ ストレスを感じたときの身心的反応(不調の表れ)
・ 胃痛
・ 食欲不振
⑤ ストレスを感じたときに起こした行動(とれなかった行動を含む)
・ 愚痴を聞いてもらう
・ ミスを起こさないための仕組み作り
・ プラスへの思考転換
例)上司は自分のためを思って説教してくれた

ふりかえり

自分はミスをしてしまったことにとらわれていて、その先の行動がとれていなかった。上司に叱られたことで、「見捨てられた」と余計な不安を覚えていたのではないか、と思った。

セルフモニタリング能力の高い人と低い人

セルフモニタリングは簡単に身につくとお伝えしましたが、元々持ち合わせている能力には個人差があります。
セルフモニタリング能力の高い人・低い人の特徴は、以下のとおりです。

セルフモニタリング能力が高い人の特徴

・ 自分自身を客観的にみて冷静に自己分析できる
・ 人の気持ちを汲んで行動できる
・ 学習能力が高い

セルフモニタリング能力が低い人の特徴

・ 自己中心的
・ ネガティブ思考

しかし、元々の能力に違いはあれども、周囲の状況や考え方、捉え方を少し変えることで、誰でもセルフモニタリングを身につけることができます。

まとめ

セルフモニタリング能力が高い人は、「自己分析力」に長けている傾向にあります。
自己分析能力が高ければ高いほど、自分自身を客観的にみて冷静に判断・振り返りができます。
また、人の気持ちを察した行動が取れたり、再びミスを犯さないように行動を変えたりすることも可能です。
セルフモニタリングは決して難しくないものの、意識していないとなかなかうまくいかず、何気ない日々のストレス蓄積にも関わってくるでしょう。
また、日常的な意識づけを行うことで自身のストレスパターンを把握し、パフォーマンス力や生産性の向上へとつなげることが可能です。
5つのポイントを押さえて、セルフモニタリングをストレス対策のひとつとして取り入れてみましょう、

ABOUT ME
【シニアコンサルタント】大沼 文音
【保有資格】産業カウンセラー/上級ハラスメントマネージャー 【コメント】典型的なブラック企業で数年働いた経験から「働きがい」や「仕事の楽しさ」は作ることができても、職場環境は一人の力ではつくることはできないと知り、楽しく働き続けられる職場環境に興味を持ちました。現在は産業カウンセラーとしての知識も活かし、多くの企業に携わりながら、皆が楽しく働ける職場づくりを目指しています。