皆さんは組織やコミュニティの中で、周囲と少し異なるポジティブな行動を取る人やグループを見かけたことはありませんか?
そして、その人達は時として、周囲同様に抱えているはずの課題をより上手く解決できることがあります。
こうした人達を「ポジティブ・デビエンス」といい、職場の課題を解決するためのヒントになり得るでしょう。
本記事では「ポジティブ・デビエンス」をストレスチェックと絡めてわかりやすくご紹介します。
最初のモデルとなったセーブ・ザ・チルドレンによるプロジェクト
ポジティブ・デビエンスの最初のモデルとなったのは、国際援助団体セーブ・ザ・チルドレンによるベトナムの子どもに対する栄養改善対策でした。
ベトナムでは1990年当時、なんと5歳未満の約64%が栄養不良という危機的状況に陥っていました。
そんな状況を打開すべくセーブ・ザ・チルドレンが注目したのが、栄養不良ではない残りの36%の子どもたちで、そのなかには裕福な子どもだけでなく、栄養不良の子どもと同様に貧しい家庭の子どももいたのです。
なぜ貧しい家庭の子どもであっても栄養不良ではないのか、さらに調査を進めたところ、子どもの栄養状態を良好に保つ3つのポジティブな行動が見つかりました。
① 食事の種類が豊富であること(栄養が偏らない)
② 手洗いを行っていること(衛生状態の確保)
③ 頻回に食事を摂ること(食事量の確保)
特に②と③は、子どもたち自身だけでなく、周囲の人々の協力がありました。
周囲の大人は子どもたちの手が汚れるたびに手洗いをさせ、両親は自身の兄弟、祖父母、近所の友人に頼み、1日に複数回食事を与えることができる環境を作っていました。
このように一つひとつは小さなことでも周囲の人々と協力して行うことで、貧しい家庭の子どもであっても、栄養状態を良好に保つことができたのです。
そしてこの考え方を取り入れた職場環境改善が、ドクタートラストの「人材育成・組織開発コンサルティングサービスSTELLA」です。
職場環境改善コンサルティングサービスSTELLAとは?
ポジティブ・デビエンスとなり得る存在「STELLA候補者」
上記のようなポジティブ・デビエンスの素質を持つ人を、ストレスチェック結果に基づきドクタートラストの独自基準で算出したのが「STELLA候補者」です。
「人材育成・組織開発コンサルティングサービスSTELLA」では、STELLA候補者に対して周囲に良い影響を及ぼすためにどんなことを行ってほしいか、ノウハウを伝え育成していきます。
結果として彼らは生産性高く働き、その長所を周囲に拡散していく「STELLA」を職場内で増やし、ひいてはチームや組織全体の生産性向上に寄与します。
実際にこの「人材育成・組織開発コンサルティングサービスSTELLA」を導入いただいた企業さまの事例を記事でご紹介していますので、ぜひご参考にしてください。
<職場環境改善に効果のあった事例の紹介>
<職場環境改善に効果のあった事例の紹介①>STELLAが職場の空気を変えた!
<職場環境改善に効果のあった事例の紹介②>STELLA社員が手を組んで現場を変える!
<職場環境改善に効果のあった事例の紹介③>職場環境改善の種は現場に眠っている!
職場環境改善の鍵は「職場内の小さな成功体験を褒め合い拡散していくこと」
ストレスチェック結果のご報告会では「職場環境改善を行うのであれば、短期間である程度会社として納得できる成果を出さなければならないのではないか……」といった担当者様の悲痛な思いを伺うことがしばしばあります。
確かに大きな成果を出し、生産性を高めることは職場環境改善の最終的なゴールかもしれません。
しかし、その最終的なゴールに辿り着くには、土壌を作ることが必要であり、当事者として改善に協力する従業員のモチベーションが欠かせません。
そこで、まずは小さな成功体験を積み重ね、惜しみない称賛を送ることが大切です。
賞賛は個々人の自信にもつながるでしょう。
また、チームや組織のためにリスクを取って行動した人に対しても、結果の成否を問わず同様に称賛と敬意を払いましょう。
たとえ失敗したとしても、それは次の成功への糧となり、チームや組織にとっての大切な経験であったという共通認識となっていくのです。
職場環境改善を成功させる土壌作りの具体的内容は、以下のように極めてシンプルです。
① チーム内での雑談(コミュニケーション量の増加)
② 常に上機嫌で過ごす(気軽に相談や雑談ができる環境作り)
③ 小さなことでも褒め合う(良好な関係の構築)
一見小さなことであったとしても、ポジティブな行動を積み重ねていくことでチームや組織内の雰囲気が変わり、ポジティブな行動がどんどん拡散され、働きやすい環境を実現につながるのです。
ぜひ今回の記事を、皆さんの会社でも職場環境改善を行うきっかけとして覚えておいていただければと思います。
<参考>
・ 神馬征峰「行動変容のためのポジティブ・デビエンス・アプローチ」(「日本健康教育学会誌」2013年3号)