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ストレスチェック実施後の職場環境の改善はなぜ実施されない?

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みなさんの職場では集団分析の結果を確認したあとに、どのようなアクションをとっているでしょうか。
「そうそう、うちの会社ってこうだよね!」「やっぱりねー」「いやこれは違うわ」と、自身が捉えている職場の現状と答え合わせをするだけで終わっていませんか。
厚生労働省の資料によると、集団分析を実施している事業場は、ストレスチェックをおこなった事業場のうち約85%にのぼります。
一方で、集団分析の結果をもとに職場環境改善を実施している事業場は50%未満にとどまっているのが現状です。
事業者も管理監督者も「よりよい職場づくり」を目指しているにも関わらず、ストレスチェック後の職場環境改善はなぜ実施されないのでしょうか。

ストレスチェックの集団分析では何もわからない⁉

ストレスチェックを実施した企業から「ストレスチェックの集団分析の結果では何もわからない」「職場環境改善といっても具体的に何をすればいいかわからない」というお悩みがしばしば聞かれます。
集団分析は職場の状態や問題点を数値化してくれますが、因果関係を問うものではないため、明確な改善策を提示してくれるわけではありません。
集団分析の結果を職場環境改善に活かすために重要なのは、表面化された数値から、暗黙に共有されたその組織独自の思考・行動パターンを含む原因を探っていくことです。
「暗黙に共有されたその組織独自の思考・行動パターン」は普段の職場で意識されることはありませんが、各個人や組織に多大な影響を及ぼします。
実際に職場で抱える問題は、この集団としての傾向に起因する場合が多いのです。
ストレスチェックの集団分析から得られるのは、あくまで結果としての数値だけです。しかし、その数値から集団としての傾向を読み取ることが、職場環境改善の具体的な施策を考えるうえで重要になってきます。

職場環境改善、その前に

集団としての傾向を読みとる際に重要なのがチーム内での「対話」です。
同じ数値を見ていても、その数値を見てどのように感じるかは、人によってまったく違います。
集団分析の結果をどう捉え、どう意味付けしていくのかを考えるためにも、ストレスチェックの集団分析結果をテーマに、職場内での対話をすすめていくステップが必要なのです。
実際に対話をする際には、「ストレスチェックの集団分析結果をテーマに」今のチームを振り返るのが有効です。
数値化されたストレスチェックの集団分析結果をもとに対話を進めることで、メンバーの個人的な要素を排除し、チームへの思いや現在の状況について、本音で話し合いやすくなります。
集団分析のフィードバックが行われている職場も増えてきましたが、結果発表会という一方的な「通知」で終わってしまっているところも多いのではないでしょうか。
しかし、それでは集団としての傾向や問題点を捉えることはできません。また、職場内での対話なしに職場環境改善をおこなえば、「やらされ感のある職場環境改善」という業務が増えるだけです。
集団分析結果の数字からはたくさんの情報を読みとることができますが、それ自体が職場環境を改善してくれるわけではありません。
また、職場環境改善は、事業者や上司、会社の1部署だけでおこなえるものではありません。
一人ひとりのメンバーの意識と行動が伴わなければ、よりよい職場づくりは不可能です。
ストレスチェックの集団分析の結果は、「聴くこと」「話すこと」というきっかけを与えてくれます。こうした対話のステップにより、集団分析結果の数値が意味をもち、より効果的な組織の職場環境改善につなげることができるでしょう。

DL

参考:厚生労働省「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて(PDF)」

ABOUT ME
【精神保健師福祉士】須田 敦子
【職位】 株式会社ドクタートラスト常務取締役