「働きやすい職場」とはどのような職場でしょうか?
みなさんが思う「働きやすい職場」を具体的にイメージしてみてください。
休暇や労働時間、給与・賞与額などの労働条件や、昨今では在宅勤務やフレックスなどの個人の事情に応じて選択可能な制度の充実なども条件にあげられるかもしれませんね。
もし、「従業員の意欲が低い」「離職が多い」「優秀な人材がなかなか職場に定着しない」などの問題がある場合には、従業員の「働きがい」や「働きやすさ」に注目してみましょう。
働きやすい職場環境とは?
働きやすい職場には、企業の労働環境改善に向けた継続的な取り組みが必要です。
実際に働きやすいかどうかは、従業員個々人の感覚に委ねられる側面がありますが、大多数の肯定意見を得るためには組織単位での取り組みの継続をしていかなくてはいけません。
また、厚生労働省の調査では、従業員の意欲や定着率の向上、組織の業績向上のためには、「働きがい」や「働きやすさ」の改善が効果的であることが明らかになっています。
働きやすい職場環境を作るための取り組みについて
従業員の「働きがい」や「働きやすさ」の意識を高めるためには以下の基本的な雇用管理が必要です。
・評価や処遇
・人材育成
・人間関係についての管理
具体的な取り組み例についても解説していきます。
「働きがい」意識を高める効果のある雇用管理の例
- 仕事の意義や重要性を説明する
- 従業員の意見を経営契約に反映する
- 本人の希望をできるだけ尊重して配置する
- 希望に応じてスキルや知識が身につく研修を実施する
- 提案制度などで従業員の意見を聞く
出典:厚生労働省「目指しませんか?『働きやすい・働きがいのある職場づくり』」
「働きやすさ」意識を高める効果のある雇用管理の例
- 希望に応じてスキルや知識が身につく研修を実施する
- 本人の希望をできるだけ尊重して配置する
- 提案制度などで従業員の意見を聞く
- 従業員の意見を経営計画に反映する
- 経営情報を従業員に開示する
出典:厚生労働省「目指しませんか?『働きやすい・働きがいのある職場づくり』」
実際に企業で行われている雇用管理の例
実際に中小企業で行われている雇用管理の実施状況を参考に、働きやすい職場づくりを目指しましょう。
出典:厚生労働省「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」
働きやすい職場環境を作るメリットとは
働きやすい職場環境づくりは、従業員個々人にはもちろん、組織にも「優秀な人材の定着」「業績向上」などの大きなメリットがあります。
従業員の定着
一般的に、休暇・労働時間や給与額などの労働条件が良好な企業のほうが「働きがい」「働きやすさ」の意識が高い傾向があります。
そして、「働きがい」や「働きやすさ」の意識が高いほど、仕事や組織に対する意欲や長く働きたいという気持ちが強くなります。
離職理由の上位には、「賃金への不満」「仕事上のストレス」などがあるため、労働条件を含めた職場環境の改善によって、不用意に従業員が離職する事態は避けられるでしょう。
従業員の意欲が高まる
「働きがい」や「働きやすさ」を感じられるほど、従業員の仕事に対する意欲が高くなります。
「周囲の先輩や同僚とともに今の職場に定着したい」「定着するためには存在意義や成長をしなければならない」という考えから、自身の居場所を形成しようとする意欲が高まるためです。
組織の業績向上
従業員の定着や仕事に対する意欲の向上に伴い、職場の士気が自然と高まり業績向上が期待できるでしょう。
いきいきと自分の得意を伸ばしていける職場であれば、従業員が切磋琢磨して、強い組織へと成長していくことが可能です。
働きやすい職場環境整備のカギ「自己効力感」とは?
このように、働きやすい職場環境の整備には大きなメリットが存在します。
また、さらにこれらのメリットを高める方法として、従業員が職場の中で自分が期待され役立っているという意識「自己効力感」を持てるような関わりやしくみ作りがあります。
「自己効力感」を持てるような関わりの例
・各自に与えられた仕事の意義や重要性の説明
・従業員の意見の経営計画への反映
・本人の希望ができるだけ尊重される配置
・希望に応じて特定のスキルや知識を学べる研修
まとめ
働きやすい職場環境のポイントは、「働きがい」や「働きやすさ」であり、これらを高めるためには適正な雇用管理に加えて、以下の3つの要素が不可欠です。
- 自己効力感
- 相談できる体制
- 福利厚生
特に、働きがいは「自分の意見や希望が受け入れられる」「自分の仕事の意義や重要性に対して説明がなされる」といった自己効力感が充足されるような雇用管理がなされた場合に高まる傾向があります。
一方で、働きやすさは自己効力感に加え、「相談できる体制」や「福利厚生」に関する雇用管理がなされた場合に高まる傾向がみられます。
調査データを参考に、具体的な取り組みへとつなげましょう。
参考:厚生労働省「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書(概要)」