ストレスチェック制度は、実施だけではなく、実施後の報告書提出までが含まれます
この記事では、「報告書の提出は期限があるの?」「産業医から捺印は必要?」といった報告書に関する疑問にお答えします。
ストレスチェックの報告書とは?
ストレスチェック実施後は、労働基準監督署へ、ストレスチェックの検査結果報告書の提出が義務づけられています。
第52条の21 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、1年以内ごとに1回、定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第6号の2)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
出所:労働安全衛生法
ストレスチェック報告書の記入内容、ひな型
ストレスチェック報告書では、対象年や検査実施年月のほか、在籍労働者数、検査を受けた労働者数、面接指導を受けた労働者数、集団ごとの分析の実施の有無などを記載します。
まずは、報告書ひな形の入手先についてチェックしていきましょう。
ストレスチェック報告書のひな型はインターネットからダウンロード可能
ストレスチェック報告書のひな形は、厚生労働省のホームページより、ダウンロード可能です。
厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」
なお、ストレスチェック報告書の作成については、インターネット上で作成も可能です。
労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービスからアクセスし、「帳票作成メニュー」から、「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を選択すると、報告書の作成が可能です。
このサービスを利用すると、誤入力や未入力に対するエラーメッセージが表示されるほか、書類の添付漏れに対する注意喚起の表示、入力データの保存などができますので、不備による再提出防止や次年度以降の報告書作成の簡素化が図れます。
ストレスチェック報告書の記入例・記入内容
報告書を手書きで記入する際は、黒のボールペンを使用し記入しましょう。
記入する項目がない欄は空欄にします。
特に間違えやすい項目について以下で説明します。
① 労働保険番号
労働保険番号が分からない場合には、厚生労働省の労働保険適用事業場システムで番号を調べることができますので確認の上、記入をしましょう。
厚生労働省「労働保険適用事業場検索」
② 対象年
報告するストレスチェックの実施年を記入します。
③ 検査実施年月
1年を通じ順次ストレスチェックを実施した場合やその期間内のストレスチェックの実施状況をまとめて報告する場合は、報告日に最も近いストレスチェック実施年月を記入します。
たとえば、令和4(2022)年4月~7月で行った場合は、令和4年7月と記入します。
事業の種類
日本標準産業分類の中分類の中から、会社の事業に該当するものを記入します。
事業の種類は、e-Stat「日本標準産業分類」から検索できます。
⑤ 在籍労働者数
ストレスチェック実施年月の末日現在の常時使用する労働者数を記入してください。
なお、ストレスチェックの対象者となる「常時使用する労働者」とは、以下の2点をいずれも満たす者です。
① 期間の定めのない労働契約により使用される者(★)であること
② その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること
★ 期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年以上である者、ならびに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者、および1年以上引き続き使用されている者を含む。
また、事業場(労働者50名以上)単位で報告が必要となります。
よって、一企業で複数の事業場を有している場合、在籍労働者数は企業の全労働者数でないことに留意が必要です。
⑥ 検査を実施した者/面接指導を実施した医師
検査や面談を実施した医師などの所属について番号を選択し記入します。
複数名で実施した場合には、代表者を決め、その者の番号を記入します。
⑦ 検査を受けた労働者数
対象者のうち、ストレスチェックを受験した人数を記載します。
⑧ 面接指導を受けた労働者数
医師による面接指導が必要な者のうち、医師による面接指導をうけた人数を記載します。
⑨ 集団ごとの分析の有無
集団ごと(部署や職場など)の分析を行ったかを記載します。
⑩ 産業医
産業医氏名と所属機関の名称・住所を記載します。
なお、上記の内容については、労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービスを使用すると、入力項目説明(注意事項の説明)から確認することができますのでご確認ください。
ストレスチェック報告書への産業医の署名捺印は不要
また、2020年8月よりストレスチェック報告書への産業医による捺印や署名は不要となりました。
ただし、産業医氏名の記載は引き続き必要ですので、企業担当者は忘れずに記載を行いましょう。
ストレスチェック報告書の提出方法
次に、ストレスチェック報告書の提出方法や提出時期について確認しましょう。
報告書は事業場ごとに管轄する労働基準監督署へ
ストレスチェック報告書の提出は、所轄の労働基準監督署に提出をしましょう。
もしくは、ストレスチェック報告書は、e-Govから電子申請することも可能です。
e-Govを利用するには、アプリケーションのインストールとアカウント登録が必要です。
ストレスチェック報告書の届出手続きをする際は、e-Gov手続検索ページで「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」から必要な手続きを行いましょう。
本社でまとめて提出してもよい?
事業場が複数あり、本社でとりまとめてストレスチェックを実施している企業もあると思います。
そういった場合であっても、報告書は事業場ごとに提出することが必要です。
事業場の所轄の労働基準監督署へ提出してください。
ストレスチェックの報告書はいつまでに提出する?
ストレスチェックの報告書の具体的な提出期限は定められていません。
しかし、年に1回の実施が義務付けられているため、前回のストレスチェック報告書の提出日から1年以内に提出するようにしてください。
ストレスチェックの報告書を提出しなかった場合の罰則
最後に、ストレスチェック報告書を提出しなかった場合の罰則ですが、未提出の場合は、労働安全衛生法120条5号の規程に基づき、罰則の対象(50万円以下の罰金)となりますので、ストレスチェックを実施したら、速やかに結果を報告しましょう。
まとめ
ストレスチェックの実施や報告書の提出は必ず行わなければいけない重要な事項です。
しかし、実施をすることを目的とするのではなく、集団分析を通して、働きやすい職場づくりや、社員のストレスケアについて考えていきましょう。
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