ストレスチェックを実施する際には、時期や方法とともに、対象者を確認することも大切です。
誰を対象者とすればよいのか、社長や役員は含めた方がいいのかなどお悩みの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ストレスチェック制度の受検対象者となる従業員について、そして、社長や役員の扱いについて詳しく説明いたします。
ストレスチェックの対象
まず、ストレスチェックの対象者は、常時使用する労働者が対象です。
常時使用する労働者とは、以下のいずれの要件を満たす方を指します。
① 期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年以上である者ならびに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者、および1年以上引き続き使用されている者を含む)であること。
② その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。
パートやアルバイトであっても、上記を満たす場合は、ストレスチェックの対象です。
たとえば、アルバイトで、1年以上の契約を見込み、同種の業務に従事する、通常の労働者の1週間の所定労働時間数が37.5時間のところ、29時間(4分の3以上)労働していれば、対象となります。
また、1週間の労働時間が以下の条件の従業員は、義務ではないものの、実施することが望ましいとされています。
1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3未満である労働者においても、上記①の要件を満たし、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の、おおむね2分の1以上である者
なお、退職予定者であっても、ストレスチェックの実施時期に在籍している場合は、対象者となります。
休職中の労働者については、実施の対象となりません。
役員に対してもストレスチェックが必要な事例
では、社長や役員などは、ストレスチェックの受検対象者となるのでしょうか?
社長や役員は、労働者ではなく、使用者にあたるため、ストレスチェックの実施は法令で義務づけられていません。
ただし、役員の中には、ストレスチェックの対象となる場合があります。
以下で、ストレスチェックの対象となる場合をご紹介します。
使用人兼務役員の場合
役員でも、労働者と同様の業務に従事している場合は、労働者に該当することがあります。
たとえば、工場長で役員、営業部長をしながら役員など、役員兼務で労働者の業務を行っている場合があります。
その場合には、労働者とみなされ、ストレスチェックの対象となります。
実態として、役員の業務を行っているのか、労働者と同様の業務に従事しているかが判断の基準となります。
名ばかり役員
使用人兼務役員と同様に、肩書上の地位は役員でも、実際には会社の指揮命令下で働く場合、また、拘束性が高い場合には、労働者とみなされ、ストレスチェックの対象となります。
昇進して役員になった場合に多く見られますので確認しましょう。
また、会社からは、賃金を得ているでしょうか。
役員報酬しか得ていないという場合には、ストレスチェックの実施対象にはなりませんのでご注意ください。
雇用保険に加入している
使用人兼務役員などで雇用保険の適用を受けているなどの場合には、労働者と考え、ストレスチェックの実施の対象と考えます。
労働の実態や雇用保険の状況などを確認しましょう。
受検対象者として規定されている
ストレスチェックの実施の際に、「ストレスチェック実施規程」を定めていますが、実施規程に、「役員であってもストレスチェックの対象とする」と規程で定めている場合は、ストレスチェックの対象となります。
衛生委員会等で調査審議を行い、役員であっても受検をしてほしい場合には、役員の受検について定めましょう。
本人からの希望がある
なお、役員がストレスチェック受検を希望する場合には、受検しても差し支えありません。
法的には対象外ですが、受検ができないわけではありません。
社長も同様です。
健康管理の理由などで受検を希望される場合は、対象者とすることが可能です。
社長や役員もストレスチェックを受検したほうがいい?
ここまでご説明したように、社長や役員は、法的にストレスチェックの実施対象に含まれていませんが、労働者性がある場合に対象となります。
また、希望する場合には、任意で受検しても差し支えありません。
組織全体の状況を把握するうえでも、使用者である社長や役員にストレスチェックを実施することは非常に有益ですので、会社として対象とするのかを検討していきましょう。
まとめ
今回はストレスチェックの対象者についてご紹介しました。
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<参考>
厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」