研究レポート

個人よりもチームの育成が重要なわけ

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近年、ビジネスの世界では生産性の向上が重要な焦点となっています。
「能力の高い人材=生産性が高い人材」とし、採用に膨大なコストをかけて、そのような人材を必死に確保しようとしている企業も存在します。
もちろん合理的な採用が、一定の効果を生み出していることは否定できません。
ただし、正確に能力の高さを学歴や数回の考査の機会だけで判断すること自体、本当に可能なのか、疑わしい点ではあります。
さらにいうと、能力の高い(と推測される)人材を確保できなかった企業は、衰退の一途をたどっていくのでしょうか?
そうではありませんよね。
実際に古くからある町工場、スタートアップのベンチャー企業など、採用に高いコストをかけることができない企業のなかにも、生産性が高く経営状態が良好な企業が数多く存在します。
ではそれらの企業がなぜ個々の人材の能力に頼らず成功しているのか。その答えが「チーム力」なのです。

なぜチーム力が重要か

チーム力が高い場合、メンバーは協力して共通の目標を達成するために努力します。
また、信頼関係のもとでは、適切な情報共有や意思疎通が行われることで、誤解やミスを最小限に抑えられます。
メンバー同士が信頼し合っている場合、意見や意見の対立があっても建設的なディスカッションが可能になります。
さらにチームメンバーが協力し、相互にサポートしあう環境では、個人のモチベーションが高まります。
共通の目標に向けて一緒に取り組むことで、メンバーは自身の役割や貢献の重要性を感じ、よりエンゲージされた状態になります。
また、チームメンバーがお互いにフィードバックを与えることで、成長や学習の機会も増えます。
結果として、個々人の能力の向上にもつながります。

チーム力に必要な要素

では、チーム力を高めるためには一体何か必要なのでしょうか。
ここでは、チーム力を構成する5つの要素を説明します。

① コミュニケーション

チームメンバー間の効果的なコミュニケーションは、信頼と協力の基盤となります。
メンバー同士が情報を共有し、意見を交換し、課題や進捗状況を透明にすることが重要です。

② 目標設定とビジョン共有

チームメンバー全員が共通の目標やビジョンを持つことが重要です。
明確な目標設定とビジョン共有により、メンバーは方向性を理解し、一体感を持って取り組むことができます。

③ リーダーシップ

リーダーはチームを統率し、方向性を示し、メンバーをサポートする役割を担います。
優れたリーダーシップはチームメンバーのモチベーションを高め、チーム力を向上させる重要な要素です。

④ 相互尊重と信頼

チームメンバー間の相互尊重と信頼関係は、チーム力の構築に不可欠です。
メンバーはお互いの意見や貢献を尊重し、オープンな環境で意見を述べることができるようにする必要があります。

⑤ 持続的な学習と成長

チームメンバーは常に学習意欲を持ち、成長を追求する姿勢が求められます。
新しいスキルや知識の習得、フィードバックの受け入れ、失敗からの学びを通じて、個人とチームの成長を促進します。

これら要素は相互に関連し、バランス良く組み合わせることでチーム力を向上させることができるとされています。

チーム力を高めるための取り組み

また、チーム力を高めるための取り組みとしては、以下のような方法が考えられます。

チームビルディングアクティビティ

チームメンバーが一緒に参加するさまざまなアクティビティやゲームを通じて、相互理解や信頼関係構築を促進する方法です。
たとえば、アウトドア活動やエスケープルーム体験などがあります。

レトロスペクティブ(振り返り)

チームメンバーが定期的に集まり、過去のプロジェクトや取り組みについて話し合い、改善点や学びを共有する方法です。
メンバーがお互いにフィードバックを交換し、協力して成長することができます。

コラボレーティブなプロジェクト

チームメンバーが共同でプロジェクトに取り組むことに重点を置いた方法です。
異なるバックグラウンドやスキルを持つメンバーが互いに学び合いながら協力し、共同で目標を達成することができます。

これらの方法は、チームメンバーの相互作用、コミュニケーション、信頼の構築、共通のビジョンの確立など、チームのパフォーマンスを向上させるために効果的です。
ただし、チームの特定のニーズや状況に合わせて適切な方法を選択することが重要です。

個々の成長、企業の成長の土台にチームがある

個人の成長の前に、チームの成長成熟が必要だと考えられます。
すべての人材が、入社後期待通りの働きをしてくれるわけではありません。
そうなったときに、また別の新しい人材を探すのか、現在置かれている環境の中で彼らがうまく成長できるよう、会社としてしっかりと体制づくりを行うか―人材においてもSDGSの考えが求められています。
また、コスト面においてもどちらの選択が賢明か、このコラムをお読みいただいた方にはおわかりになるでしょう。

最後に、スヌーピーでおなじみの漫画「ピーナッツ」の名言を紹介します。
「配られたトランプで勝負するっきゃないのさ、それがどういう意味であれ」

ABOUT ME
【コンサルタント】池田 三菜子
子育てをしながらのチームマネジメントの経験から、自身の失敗談も含めて、現場の声に寄り添った情報を発信してまいります。 「残業時間を減らす業務改革」と「個人の得意分野を生かすチーム作り」をモットーに、一社でも多く働きやすい職場づくりのお手伝いをさせていただきます。