キャリア形成とは、主にビジネスキャリアをどのように歩んでいくかを計画し、必要なスキルや知識を獲得したり経験を重ねたりすることによって自己実現を図るプロセスです。
キャリア形成をするためには、そもそも自分の人生をどのように過ごしたいのかを構想・設計する必要があります。そこで今回は、キャリア形成について説明します。
キャリア形成が必要な理由
キャリアは仕事だけでなく、人生全般を指し、プライベート面も含めて人生設計をすることをキャリアデザインと表現します。
終身雇用・年功序列の企業形態が崩壊しつつあり、学歴や職歴に左右されないスキル重視の雇用へと変化している現代では、「自分の持つ人生の価値観を基に、自分自身で道を切り開いていくこと」が誰にとっても必要といえるのではないでしょうか。
キャリア形成の方法
Will-Can-Mustを考える
まずは、以下の「Will-Can-Must」を考えましょう。
WILL:(やりたいこと)将来やりたいこと・将来こうありたいという希望
CAN:(できること)WILLを叶えるために現段階でできること
MUST:(やるべきこと)WILLを叶えるために現段階でするべきこと
理想の人物像を具体化する
ロールモデルと呼ばれる自分が理想とする人を見つけましょう。
身近な人でも有名人でも構いません。
その人のキャリアを調べてみることで、自身のキャリア形成のヒントが得られるでしょう。なりたい像が具体化することで、目指す方向性が定まります。
嫌なことをリストアップする
「こうなりたくない」という、嫌なこと・避けたいのほうが人は明確になりやすいものです。
たとえば、以下を列挙することで、「今の業界や会社ではない場所で、今より給料が良く、生活リズムが安定する仕事がいい」という理想像が明確になります。
・ この業界で働き続けるのは嫌だ
・ 今のままの給料は嫌だ
・ 生活リズムが乱れるのは嫌だ
それぞれの項目を深掘りし、「どの分野の業界がいいのか」「手取りはどれくらいがいいのか」「何時に起きて何時に寝たいのか」など、具体的な希望を考えていくと良いでしょう。
キャリア形成のメリット
少子高齢化が進み生産年齢人口(15歳~64歳)が減っている中、この先働く期間の長期化が想定されます。「人生100年時代をどう過ごすか」を主体的に考えることで、より豊かな人生を構築することができます。
また、働き方が多様化している現代は、昔に比べて自分に合った働き方や希望を叶えやすい状態とも言えます。キャリア形成は、「個のブランディング」をし、キャリアを主体的に選び取ることができるチャンスです。
キャリア形成のために必要な要素とは?
人間関係・社会関係を築く力
仕事では必ず人のやりとりが発生し、チームで動くこともあるでしょう。
適切な自己主張をしたり、相手の意見を汲み取ったりする力が必要です。
自分を知り、成長させる力
キャリアプランを考える上で、自分の適性や強みを把握していることが重要です。
なりたい像に近づくために、現在地とのギャップを算出し、間を埋める作業が必要なためです。
計画を立てて実行する力
キャリアの語源が「馬車の轍」であるように、過去を振り返ることも重要ですが、キャリアを主体的に形成していくためには、どこに向かいたいのかをゴールや方向性を定める必要があります。
アクションプランを仮決定でも構わないので言語化すること実行力が高まります。
企業が社員のキャリア支援でできることとは?
ストレスチェックで採用されている以下2設問がそのヒントです。
2.「成長の機会」:仕事で自分の長所をのばす機会がある
具体的には以下のような関係性づくりや環境があるかがポイントとなるでしょう。
社員にWillを問う
キャリア支援を行うことは、相手のキャリアプランを知ることから始まります。
社員にWillを問い、CanとMustを一緒に考えていくことが大切です。
前述したようにキャリア形成は個別に異なるため、こうした個別の対話によって社員のキャリアデザイン意識が向上し、人材定着や組織活性化等の企業側への効果も期待できます。
挑戦の機会を与える
そして、キャリアプランが明確になった場合、企業としては、社員に対してレベルの高い業務や新たな分野の業務を担当させたり、新たなツール等の習得機会を設けたりするなど、「挑戦の機会」を積極的に与える必要があります。
キャリアカウンセリング、研修、資格取得補助
これらは企業ができる有効なキャリア支援です。
社内での昇進だけにとどまらず、広い視野でキャリアそのものを考えるのがキャリア形成のため、社員個々のWill-Can-Mustを明確にして行動に移すことが、今後多くの企業にとって重要な考え方となり、結果として企業の人材力強化にもつながるでしょう。
<参考>
厚生労働省「キャリア形成支援」