みなさんの会社では、どのくらいの人が今の自身の仕事に満足しているでしょうか。
日本は世界的にみても仕事の満足度が低い国といわれており、2022年度にドクタートラストでストレスチェックを受検した410,352人のうち、「仕事に満足だ」の設問に対して最も良好な回答をしたのはわずか14.8%でした。
しかし、仕事の満足度は従業員のパフォーマンスに直結するため、おろそかにはできない数字です。
仕事の満足度とは?
仕事の満足度とは、自身の仕事に関する全般的な満足の度合いを指します。
仕事内容や労働環境、給与、対人関係、キャリア形成など、さまざまな要素から成り立っています。
仕事の満足度の重要性について
ここ数年、日本の総人口は減少し高齢化が進行するなかで、労働力人口の減少が問題視されています。
人材不足を感じる企業も増加し、従業員一人ひとりに対して生産性の向上や高いパフォーマンスが求められ、個人の能力をいかに発揮してもらうかが、企業の成長や発展を左右する時代です。
そこで、仕事の満足度を上げることが、どのように高いパフォーマンスにつながっていくのかを、仕事の満足度が成り立つ要素と絡めてお伝えします。
仕事の満足度が高い人と低い人の違い
仕事の満足度はさまざまな要素から成り立っているため、個々人で異なる場合もあります。ここでは、代表的な以下の3つのポイントに注目してお伝えします。
①給与と休暇
働く目的として基本となるのは、お金ではないでしょうか。
また、長時間労働が続いたり休暇が取得できなかったりすると疲労がたまり、仕事のパフォーマンスにも影響します。
相対的な収入額や休暇の多い少ないではなく、働く人自身が得られる給与や休暇に対して納得・満足しているかどうかが、仕事の満足度のベースとなるでしょう。
②将来への期待感
世の中の変化が予測しにくい現代において、会社の安定性や将来性も気になるポイントです。
また、その会社で自身がどのように成長できるか、昇給や昇進などの期待感が持てるかも、仕事のモチベーションに影響するでしょう。
③職場の人間関係
仕事は1人で成し遂げられるものではありません。
上司や同僚とのコミュニケーションの機会が多く雰囲気が良く、部署やチームのメンバーを尊重しあう風土があれば、余計なストレスを感じることなく業務に邁進できます。
良好な関係性が築けていれば、業務を進めていくなかで困難に直面しても、上司や同僚からのサポートを受けやすくなり、結果的に仕事も進めやすくなります。
つまり、職場の人間関係も仕事の満足度を左右するといえるでしょう。
ここであげた①②③の要素が整ったうえで仕事の成果が評価されると、「より高いレベルの成果を目指したい」「仕事の範囲を広げたい」「自己成長の機会や新たな挑戦をしたい」と思えるのではないでしょうか。
仕事の満足度を上げるためのポイントとは
それでは仕事の満足度を上げるために何が必要なのかについて、ストレスチェックのデータから見ていきましょう。
ドクタートラストの集団分析では、仕事に対する満足度を高めるために改善すべき尺度を優先順位の高いものから示しています。
2022年度にドクタートラストでストレスチェックを受検した410,352人のデータから、仕事の満足度を高めるために優先すべき尺度のTOP5がこちらです。
個人の尊重性 | 一人ひとりの長所や得意分野、価値観などを考えて仕事が与えられる風土や方針があること |
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キャリア形成 | 従業員のキャリアについて、人事方針や目標が明確にされ、教育・訓練が提供されていること |
成長の機会 | 仕事の中で、知識や技術を得たり、その他の自己成長の機会があること |
尊重報酬 | 上司や同僚から、仕事上の努力や達成度にふさわしい尊敬や処遇を受けていること |
仕事の適性度 | 仕事の内容が自分に向いている、合っていること |
これら5つは順位の入れ替わりはありますが、例年上位にランクインしている尺度です。
これらの結果から、「会社のビジョンが共有されていること」「個人のスキルや能力を発展させるための機会が提供されていること」「報酬体系や周囲からの評価に対し納得していること」などを重要視している人が多いのがわかります。
全国的な傾向としては、このような結果となりましたが、仕事の満足度はさまざまな要素が組み合わさっているため、個人や会社によって優先すべき内容が異なります。
自社の満足度を高めるポイントを知ったうえで、職場環境改善に取り組みましょう。
<参考>
放送研究と調査「仕事の満足度が低い日本人 ~ISSP国際比較調査「職業意識」から~」