ストレス社会化が深刻な現代、同じストレス下で働いていても、心が折れる人と折れない人がいます。
社会環境の複雑化に適応する力として注目されているのが「レジリエンス」です。
本記事では、「レジリエンス」とはそもそも何なのか、高めることで得られるメリットや、高めかたをご紹介します。
レジリエンスとは?
「レジリエンス」(resilience)とは、跳ね返り、回復力という意味をもつ英単語です。
もともとは物理学の用語として用いられていましたが、近年では、心の回復力を説明するものとして使われるようになりました。
心の回復力とは、逆境や困難などの強いストレスに直面したときに、適応する精神力を指します。
つまり、レジリエンスは「素早く立ち直る力」とも言えます。
レジリエンスを身につければストレスがかかっても心身の健康を保てるため、一人ひとりの成長につながり、企業の発展にも影響していくでしょう。
レジリエンスに近い言葉とその違いは?
ここで「レジリエンス」をより正しく理解するために、よく混合する用語との違いを明確にしておきましょう。
① レジリエンスと「メンタルヘルス」との違い
メンタルヘルスとは、「心の健康」を意味しており、ストレスや悩みの負担を軽減したり、心の健康状態を維持したりするために他者から行われる「予防」を意味します。
一方で、レジリエンスはおきた逆境や困難に対して、どのように適応していくか、もしくはいかに上手く回復できるかを意味します。
② レジリエンスと「ストレス耐性」との違い
ストレス耐性とは、ストレスを感じた個人が、受けたストレスに対して、どの程度耐えられるかを表した力です。
ストレス耐性が高い人はより強いストレスを受容できます。
一方で、レジリエンスはストレスを受けた後に、自ら回復していく力を指します。
レジリエンスが高い人の特徴は?
レジリエンスの高さは、個人がもともと持っている考えかたや価値観、性格などにより異なりますが、レジリエンスが高い人にはいくつか特徴があります。
今回はレジリエンスの高い人の特徴を3つご紹介します。
① 周囲と良好な関係を築ける
レジリエンスが高い人は、柔軟かつ多面的な思考ができるため、周囲からさまざまな意見を集めることができます。
一方的なコミュニケーションになりにくいため、周囲との関係をうまく構築しやすく、上司や同僚などからの信頼も得やすい傾向にあります。
② 感情をコントロールできる
感情をコントロールできることも、レジリエンスが高い人の特徴です。
嫌なことがあったときに、気分が落ち込んだままでは仕事の効率や成果に影響を及ぼしてしまいます。
しかし、レジリエンスが高い人はメンタルの回復が早いため、一時的な感情にとらわれることなく仕事と向き合おうとします。
また、自分なりのストレス対処法も持ち合わせている人が多いのも特徴のひとつです。
③ 向上心がある
レジリエンスが高い人には、向上心があります。
もっと自分にできることはないかと前向きに仕事へ取り組めるのが特徴です。
失敗やトラブルがあっても、すぐに自分の改善点を見つけ新たに目標を立てようとします。
チームで問題が起きたときも、他人事にせず自分ごととして捉えることができます。
レジリエンスを高めることで得られるメリット
それでは、実際にレジリエンスを身に着けた場合、どのようなメリットがあるのかご紹介します。
① 人間関係の改善
ストレスを感じる要因は、「対人関係」が大きな割合を占めます。
レジリエンスの向上は思考の柔軟性につながり、ひとつの考えかたに固執せずに周囲の環境に対応することができるようになります。
② ストレスから成長につなげる
ストレスは心身に悪影響を及ぼすとされています。
しかし、レジリエンスを発揮しストレスと適切に向き合うことは、困難な状況に立ち向かうチャレンジ精神や集中力、意思決定力の向上につながります。
③ 離職率を下げ、社員がいきいきと仕事をするようになる
従業員一人ひとりのレジリエンスが高まると、組織のレジリエンスも高まります。
仕事のストレスと適切に向き合える従業員が増えれば、ストレスによる休職や離職を減らすこと可能です。
また、レジリエンスの高い従業員はストレスを適度な緊張感として前向きにとらえ、いきいきと仕事に取り組みます。
レジリエンスを高める方法とは?
もともと備わっているレジリエンスの高さには個人差がありますが、レジリエンスは後天的に高めていくこともできます。
ここからは、レジリエンスを高める方法を2つご紹介します。
① 成功体験を積み重ねる
小さな成功体験を積み重ねていくのもレジリエンスを高める方法です。
成功体験が積み重なることは、自信につながり自己肯定感を向上させます。
つまり、成功体験の蓄積がチャレンジ精神を生むことにもつながるでしょう。
② 自分の思考を振り返り「癖」を知る
人の思考には癖があるため、今までに自分がどのような考えかたをしているのかを振り返ることが大切です。
「どうせ上手く行かない」というようなネガティブ思考がある場合は、その思考の癖がストレスの原因になっている可能性が高いです。
このような思考の癖に気づき、少しずつ変えていくことがレジリエンスの向上につながります。
まとめ
今回は、レジリエンスについてと、レジリエンスを高めることのメリットや、高めかたについてお伝えしました。
レジリエンスを高めることは、個人にも企業にも良い影響を与えます。
ドクタートラストでは、会社としての対応に関するアドバイスや、ストレスチェックを活用した職場環境改善コンサルティングサービス「STELLA」を提供していますので、お気軽にご相談ください。
ぜひ参考にしていただければと思います。