みなさんの企業の高ストレス者の割合はどれくらいでしょうか?
今回は、高ストレス者とはなにか、高ストレス者が多い場合に、企業としてどのような対策がとれるかをご紹介します。
高ストレス者とは?
まず、高ストレス者の基準や判定後の場合の流れなどを見ていきましょう。
高ストレス者の判定
高ストレス者の具体的な選定基準は、実施者の意見や衛生委員会の調査審議を経て、事業者が決定します。
そのため、ここでは厚生労働省にもとづく基準についてお伝えします。
職業性ストレスチェック簡易調査票(ストレスチェックの質問票)は、「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」の3つのカテゴリに分けられており、以下の①または②のいずれかの要件を満たす場合に高ストレス者として判断されます。
① 「心身のストレス反応」の評価点数が高い者
② 「心身のストレス反応」の評価点数の合計が一定以上の者であって、かつ、「仕事のストレス要因」および「周囲のサポート」の評価点数の合計が著しく高い者
※詳しくは厚生労働省の「ストレスチェック実施マニュアル」をご参照ください
このように、心身のストレス反応が高ストレス者の選定に関わっています。
つまり、心身の不調が強く起こっている場合は、高ストレス者と判定される可能性が高いでしょう。
高ストレス者の面接指導
高ストレス者から申し出があった場合は、医師による面接指導を行います。
なお、面接指導を会社が強制することはできません。
面接指導では、医師が労働者の心身の状態や勤務状況などを確認し、医学的知見からアドバイスを行います。
面接指導の結果をもとに事業者が判断し、就業制限などが行われる場合もあります。
全国の高ストレス者率
では、全国の高ストレス者率は、どのくらいの割合なのでしょうか。
2022年度にドクタートラストで受検した1,162社、410,352人のデータを見ていきましょう。
業種別の高ストレス者率
ドクタートラストで受検した1,162社の高ストレス者率の平均は、15.5%でした。
弊社で受検がある業種で、最も高ストレス者率が高かったのは製造業で19.4%、最も低かったのは、複合サービス業8.6%でした。
なお、製造業は、2021年度の結果に引き続き、最も高ストレス者率の高い業種です。
年代別の高ストレス者率
次に、年代別の高ストレス者率を見ていきましょう。
ドクタートラストでの受験した年代別の受検者数は、10代が1,783人、20代が67,552人、30代が78,404人、40代が90,188人、50代が81,524人、50代が30,862人、70代が3,051人です。(年代不明を除く)
このうち高ストレス者が最も高い年代は、30代の17.1%で、次いで40代が15.6%、50代が13.9%と続きます。
30代、40代は、仕事やプライベートでのライフイベントも多いことから高ストレス者率も高くなると推測されます。
残業時間別高ストレス者率
残業時間別の高ストレス者率も見てみましょう。
こちらは、ドクタートラストでのストレスチェックに際して、残業時間について回答があった企業の社員48,802人の結果です。
それぞれの高ストレス者率をみると、月10時間未満が12.9%、月10~30時間が15.5%、月30時間以上が18.9%となっています。
残業が月30時間以上の群は、業務負担によるストレスへの影響が大きいと推測され、高ストレス者の割合も月10時間未満の群と比べると6ポイント高いことがわかります。
テレワークの有無での高ストレス者率
最後に、テレワークの有無での高ストレス者率です。
こちらも、ストレスチェックの実施に際して、テレワークの有無について回答があった企業の社員8,341人の結果です。
総受検者数と比較すると少人数の結果になりますが、テレワークあり(2.5日以上/週)では12.7%、テレワークあり(2日以下/週)では13.6%、テレワークなしでは、15.3%となりました。
会社としてできる対策とは?
高ストレス者を放置すれば、メンタルヘルス不調者や休職者の増加につながります。
では、高ストレス者率が高い場合に、会社としてどんな対策が考えられるでしょうか。
産業医や保健師面談や相談窓口の活用
高ストレス者率が高いということは、心身の不調が強く表れている方が多いと考えられます。
しかし、高ストレス者面談での個人情報の取り扱いや面接指導の内容への不安感を感じて、高ストレス者面談を躊躇してしまう労働者も少なくありません。
そのため、個人情報の取り扱いや事前に面談がどのようなものかを周知したり、高ストレス者面談だけでなく、日頃から産業医や保健師相談などの機会を設けたりすることもおすすめです。
また、相談窓口を設置している場合は、ストレスチェックや健康診断などのさまざまな場面で、定期的に周知を行うことも効果的でしょう。
管理職へのラインケア研修
不調者の早期発見には、職場の上司がカギとなります。
普段の様子や1on1などからチームメンバーの不調を発見して、休息の提案や業務のサポート、必要があれば相談窓口につなげるなど、上司は重要な役割を担います。
そのため、職場環境の改善に向けた研修以外にも、ラインケア研修を実施して不調者の早期発見に努めることが重要です。
集団分析結果からストレスの要因を把握する
業種別や年齢別、残業時間別、テレワークの有無での高ストレス者率についてご紹介しましたが、それぞれの集団によってストレス要因は異なります。
たとえば、年齢別でみた場合にはライフイベントが、テレワーク実施の有無でみた場合にはコミュニケーション不足などが関連しているかもしれません。
年代や勤務状況、残業時間別など多角的な視点でストレスの要因を把握して対策を考えていきましょう。
STELLA人材の活用
ドクタートラストでは、高ストレス者だけではなく、いきいきと働く人材STELLAの割合も算出しています。
組織のなかでいきいきと働くSTELLA人材を中心に、活発なコミュニケーションを増やすための取り組みを行いましょう。
また、STELLA人材が多い部署の良い点を企業として取り入れるなど、ポジティブな視点を持って対策を考えることがおすすめです。
まとめ
今回は、高ストレス者とはなにか、その割合や会社としての取り組みについてご紹介しました。
ドクタートラストでは、相談窓口アンリのほか、ラインケアを含む各種研修、STELLA人材の活用などをサポートしています。
また、ドクタートラストの集団分析では、部署別の分析はもちろん、テレワークや残業時間別、勤続年数など、さまざまな視点からの結果の共有が可能です。
ぜひお気軽にお問合わせください!
<参考>
厚生労働省『労働安全衛生法に基づくストレスチェック実施マニュアル』