「目標を立ててそのままになっている」
「一通り実施してみたけれど効果がなかった」
「知らぬ間に改善プロジェクトが立ち消えてしまった」
ストレスチェックの集団分析結果を参考にし、職場の環境改善策を打ち立てたにもかかわらず、上記のような内容でお悩みのご担当者さまは少なくないのではないでしょうか。
実は、こういった事態に陥ってしまう対策案には、NG共通点があるのです。
今回は、集団分析結果を有効に活用するための、改善策の立て方を解説します。
職場環境改善でみられるNG共通点
具体性に欠けている
集団分析の結果、上司のサポートの数値が悪く、会社が管理職に対して「今後、上司が部下のサポートをしっかりと行うように」と指示を出してしまうケースが少なくありません。
しかし、「上司が部下のサポートをしっかりと行う」というのは、課題の裏返しにすぎません。お金がなくて困っている人に「じゃあお金を稼ぎなさい」と突き放しているのと同じことです。できるだけ具体的に細かく、どのような手段でサポートを行うかを明確にする必要があります。
効果測定を考慮していない
課題の設定を終えたら、定期的にその成果を評価していかなくてはなりません。
測定の方法、時期や回数を最初から明確にしておくことで、目標意識も高めることができます。また、当然のことながら、課題対象は測定可能なものでなればなりません。
達成可能性が低い
どんなにすばらしい理念、対策でも、達成できなれれば徒労に終わります。
対策を実施するメンバーの能力や会社の体制のキャパシティーを超えない範囲で、設定する必要があります。
リスクヘッジができていない
具体的かつ達成可能な対策であっても、効果が見られない、あるいは問題が発生し、中断せざるを得ない状況というのも十分あり得ます。そのような事態を想定し、事前の環境整備や代替案、対応フローなども想定しておく必要があります。
期限を設定していない
ゴールが見えない状況で延々と続けてゆくと、目標を見失ってしまう恐れがあります。
目標達成までの期限を定め、計画的に対策を実行することが重要です。
また、目標達成するのに必要な時間をしっかりと見定める必要があります。無理やり期間を短縮し、従業員に負担をかけてしまうことはあってはなりません。
目標設定に有効なSMART
実は、これらのポイントは、米国のコンサルタント ジョージ・T・ドランが提唱した「SMARTの法則」と呼ばれる目標設定手法に当てはまっています。
以下の5つの要素を考慮することにより、漠然としていつまでたっても達成されそうにない目標、また、それに対する対策を避けることができます。
S – Specific(具体的): 目標は明確で具体的な内容であるべき。何を達成したいのか、どのような成果を得たいのかを具体的に示すことが重要
M – Measurable(測定可能): 目標は数値や定量的な指標で測定可能であるべき。進捗状況や達成度を明確に把握できるようにすることが必要
A – Achievable(実現可能): 目標は達成可能なものでなければならない。現実的なリソースや能力の範囲内で達成可能な目標であるべき
R -Realistic(現実的):現在の制約や条件を考慮しても結果が出せるものとし、事前の整備や予期せぬ障害が生じた際の代替案なども準備しておく必要がある
T – Time-based(期限付き): 目標には明確な期限を設定する必要がある。期限を設けることで、タスクの優先順位を明確にし、効率的に進めることができるようになる
さいごに
ストレスチェックの集団分析は、職場環境改善のためのほんのヒントにしかすぎません。
職場の環境改善が成功するかどうかは、これらのヒントをもとに、いかに効果的な目標と対策が立てられるか、という点にかかっています。
今回ご紹介したポイントを踏まえ、ぜひお手元の集団分析を見直し、効果的な対策について考えてみていただければ幸いです。