2023年8月7日、公益財団法人日本生産性本部から「テレワークに関する意識調査」が公表されました。
今回の記事では、調査内容と結果に加え、ストレスチェックのデータからみえる関係性についてもご紹介していきます。
テレワークに対する満足度は高い
「テレワークに関する意識調査」では、管理職からの評価と自身の意識ともに、好意的な反応が多くみられました。
調査概要
今回実施された調査の目的は以下2つとされています。
① 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類」に移行したことを踏まえ、それまで継続されていたテレワークに対し、働く人はどのような意識や考えを持っているかを確認すること
② テレワーカーと管理職間のテレワークに対する意識や考え方の相違点を明確化すること
これらを目的とし、直近3ヶ月にテレワークを実施した「テレワーカー」と、部下が直近3ヶ月にテレワークを実施した「管理職(課長相当職)」を対象者に調査が実施されました。
管理職から見た部下や職場のテレワークに対する評価は?
管理職への調査結果がこちらです。
・部下のテレワークでの仕事ぶりに満足している管理職は76.1%
・勤め先全体で行っている「テレワークという働き方」がもたらす効果に満足している管理職は75.6%
・今後も部下に対してテレワークを継続してほしいと思う管理職は83.0%
上記の結果から、約4人のうち3人がテレワークに満足していることが読み取れます。
自身のテレワークに対する意識は?
テレワークをする人自身の意識についての結果がこちらです。
・自身のテレワークでの働き方に「満足」と回答した割合は82.6%
・テレワーク実施により生活に良い変化があったと回答したは42.1%
・健康(身体面・精神面)に良い変化があったと回答した割合は37.4%(身体面)、40.9(精神面)
・テレワークの実施により、余暇時間が増えたと回答した割合は36.5%
・家事時間が増えたと回答した割合は35.7%
テレワークをしている人自身の回答からも、働き方に満足している割合が高く、余暇や家事に充てる時間が増えていることがわかりました。
また、そのほかの調査では、テレワークをきっかけに、将来的に兼業・副業を行ってみたいと感じている回答者もおり、テレワークという働きかたによって、仕事と生活、本業と副業それぞれに良い影響を与え合うことが期待できるのではないでしょうか。
テレワークで働くときの課題
テレワークに対する満足度が高い一方で、テレワークで働くときの課題として解決していないと回答された項目には以下のものがあります。
・仕事ぶり(プロセス)についての評価の適切さ(30.7%)
・仕事の成果についての評価の適切さ(29.4%)
・孤独感や疎外感の解消策」(46.8%)
・上司・先輩からの十分な指導やアドバイス(45.3%)
・オーバーワークを回避する制度や仕組み(43.8%)
さらにテレワークを行っている従業員は、そうでない人と比べて、「成果や業績」による評価を望んでいると考えられています。
ストレスチェック結果からみるテレワーク有無によるストレスの違い
2022年度にドクタートラストでストレスチェックを受検した人のうち、テレワークをしている人は、そうでない人よりも以下の設問に対して「負担を感じていない」という回答傾向が見られました。
・仕事でからだを動かす必要があるなど、身体的な業務負担を問う設問
・騒音・照明・温度などの物理的な職場環境の問題による負担を問う設問
・仕事の内容や予定や手順などを自分で決められる程度を問う設問
一方で、テレワークをしている人たちは、知識や技術の高さが求められると感じている傾向もあり、背景にはテレワークが選択できる業種や職種が限られていることなどが考えられます。
まとめ
日本生産性本部が公表している「第13回働く人の意識調査」によると、テレワークの実施率は2020年5月以降で過去最低となったことが明らかになっています。
運用方針の明確化やコミュニケーションツールの導入、情報セキュリティ対策、ネットワーク環境、PCや通信機器などの提供など、テレワーク導入時の体制づくりが困難な事情に加えて、出社ベースの勤務が戻りつつある世の中の動きもあります
しかし、テレワークの良い点と課題を踏まえ、会社や部署、個人単位で、働きかたの選択肢をもつことこそが重要なのかもしれません。
<参考>
公益財団法人日本生産性本部「テレワークに関する意識調査」
公益財団法人日本生産性本部「第13回 働く人の意識調査」