
2019年度ストレスチェックデータを用いた「職場の一体感」と各尺度の相関
最終更新日 2023-01-12
ストレスチェック研究所では2019年度ストレスチェック有効受検者199,290人、575組織のデータをもとに、さまざまな分析を行っています。
今回は「職場の一体感(ソーシャル・キャピタル)」が他のストレスチェック尺度とどのくらい相関があるのかを調査しました。
「職場の一体感」を得るには周りからのサポートが重要
図1は「職場の一体感」(設問:私たちの職場では、お互いに理解し認め合っている)と職業性ストレス簡易調査票(57 項目)の各尺度との相関を示しています。
(図1)
「職場の一体感」と一番相関がある尺度は「職場の対人関係」でした。
「職場の対人関係」は以下の3問からなる尺度です。
「私の部署内で意見の食い違いがある」
「私の部署と他の部署とはうまが合わない」
「私の職場の雰囲気は良好である」
職場の雰囲気などに関する設問であるため「職場の一体感」との相関が高く出ている可能性があります。
次いで相関が高かったのは「上司からのサポート」、「同僚からのサポート」です。
この2つについても職場の人たちからの支援の状況に関する尺度となっていますので、相関が高く出ている可能性があります。
これらから推察できることは、職場の中でお互いにサポートし合う関係性を築くことが「職場の一体感」を高める可能性があるということです。
「上司からのサポート」、「同僚からのサポート」の設問には「どのくらい気軽に話ができますか(上司)(同僚)」「あなたが困った時、どのくらい頼りになりますか?(上司)(同僚)」「あなたの個人的な問題を相談したら、どのくらいきいてくれますか?(上司)(同僚)」といったものがあります。
部署内での声掛けのしやすい環境を作ることで、職場の一体感が生まれるかもしれません。
「職場の一体感」は職場の生産性と関係している可能性
図2では新職業性ストレス簡易調査票(80項目)にある23問の尺度と「職場の一体感」の相関を示しています。
(図2)
追加23問の尺度で最も相関が高かったのは「個人の尊重性」でした。
こちらの尺度は「一人ひとりの価値観を大事にしてくれる職場だ」というものであるため、「職場の一体感」の「認め合っている」という部分とつながっていそうです。
また、次いで相関の高くなっている尺度は「ワーク・エンゲイジメント」です。
「ワーク・エンゲイジメント」は熱意や誇りがあることを意味しますが、設問文は「仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる」「自分の仕事に誇りを感じる」といったものになっています。
つまり、「職場の一体感」は組織全体のやる気や活力にも関係があると言えるでしょう。
また、「ワーク・エンゲイジメント」は組織の生産性に関係があるという研究結果もあるため、「職場の一体感」を高めることで組織の生産性を引き上げられる可能性があります。
執筆者
- 株式会社ドクタートラスト ストレスチェック研究所 アナリスト