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<職場環境指数 TRUSTY SCOREを解説>【第2回】TRUSTY SCOREの4軸を解説

最終更新日 2023-01-10

 

前回のおさらい

シリーズ「職場環境指数 TRUSTY SCORE」第1回では、ストレスチェックサービスの2021年度版新集団分析内で新たに盛り込まれた職場環境の指標「TRUSTY SCORE」の概要をご紹介しました。

今回はTRUSTY SCOREの4軸について、各軸の解説をします。

第1回はこちらからご覧ください▼▼

職場環境を表す4つの軸

図 1

図1のようにTRUSTY SCOREは組織の風土や雰囲気を表す職場環境を構成する4つの軸に分類されています。

以下では4軸の点数の算出方法を解説します。

ストレスチェックは、各設問に対して基本的に「そうだ」、「まあそうだ」、「ちがう」、「ややちがう」の4択形式で回答、各選択肢を1点~4点で点数化しています。

1つの軸は5つの設問から構成されていることから、最小値は5点、最高値は20点として示し、点数は高いほうが良好としています。

図1中の「偏差値」は2020年度ドクタートラストでストレスチェックサービスを利用した685社のうち、設問数80問版を受検した530社のTRSUTY SCOREの平均を50として偏差値で示しています。

また、総合評価はA、B、C+、C、C-、D、Eの7段階評価をしており図2のように標準正規分布を用いて基準を示しています。

図 2

以上がTRSUTY SCOREの算出方法です。

続いて、4軸それぞれの点数から職場環境改善においてどんな特徴が考えられるかを以下でご紹介します。

 

尊重・尊敬

仕事をする上で、メンバーそれぞれが能力を補い合って連携・協力していくことは必要不可欠です。

そしてその協調性を醸成していくのに「尊重・尊敬」は非常に重要です。

お互いに尊重しあえていなければ、協調性を高めるのは難しいでしょう。

図3は、2020年度ドクタートラストでストレスチェックサービスを利用した685社のうち、設問数80問版のストレスチェックを受検した530社のTRSUTY SCORE「尊重・尊敬」の点数分布を表しました。

横軸はTRUSTY SCORE「尊重・尊敬」の点数、縦軸は企業数です。

図 3

図3のようにある程度の点数までは漸増傾向がみられる一方、さらに高い点数区間では、ガクッと企業数が少なくなります。
平均点は14.46、中央値は14.47です。

「尊重・尊敬」について標準的な職場環境からさらなる改善をしていくことの難易度がうかがえます。

 

話しやすさ・自然体

いくら「尊重・尊敬」がメンバー間にあったとしても、その人に話しかけることのハードルが高い場合は良好なチームワークとはかけ離れた状態です。
また、話しかけられるとしてもいつもの自分と変わらず自然体でコミュニケーションをとれるというのも重要です。
メンバーと話すときはいつもイライラする、緊張する、ゆううつだという状態ではとても生産的な意見交換は望めません。

「話しやすさ・自然体」は「尊重・尊敬」とは改善の性質が少し異なり、走り出しが難しいと考えられます。

図4では、TRSUTY SCORE「話しやすさ・自然体」の点数分布を表しました。
横軸はTRUSTY SCORE「話しやすさ・自然体」の点数、縦軸は企業数です。

図 4

図4のように、「尊重・尊敬」とくらべてグラフの右側のほうが分布はなだらかになっています。

また、突出して高得点の企業も数社みられます。

平均点は12.0、中央値は11.9です。

またほかの軸に比べて、多くの企業が平均値付近に分布している点も特徴的です。

 

問題解決・挽回

話しやすさだけでなく、その話を聞き入れてくれるか、問題の解決に向けて意見を出し合えるかも仕事を行ううえでは大切です。

また、問題が起こってしまっても誰かを責めるだけではなく、その失敗を挽回する機会を与えることもメンバーのやる気につながります。

「問題解決・挽回」は、会社として従業員の声を聞く姿勢が重要になりますので体制整備には時間がかかるかもしれません。

図5では、TRSUTY SCORE「問題解決・挽回」の点数分布を表しました。

横軸はTRUSTY SCORE「問題解決・挽回」の点数、縦軸は企業数です。

図 5

図5のように、突出して高得点の企業も数社あるものの、全体としては左右対称に近い形になっています。

平均点は12.9、中央値は12.8です。

分布をみても、改善を一貫して進められる可能性があります。

 

助け合い・挑戦

問題が生じたときの解決の他にも、普段から職場の雰囲気が友好的であることやメンバーをどれくらい頼りにできるかといった助け合いの精神も大切です。

また失敗を挽回するだけでなく、前向きに自ら挑戦をしていくことができる職場も良い職場の要素といえます。

「助け合い・挑戦」は「尊重・尊敬」と同じように標準的な状態からより良い状態に改善するのに少し難易度が高いと考えられます。

図6では、TRSUTY SCORE「助け合い・挑戦」点数分布を表しました。

横軸はTRUSTY SCORE「助け合い・挑戦」の点数、縦軸は企業数です。

図 6

図6のように、グラフが左側に寄っており山がなだらかです。
平均値は13.6、中央値も同様に13.6です。
企業数が高得点区間にいくにつれて企業数は減少傾向が見られ、「尊重・尊敬」と似ています。

以上の4軸で職場環境の状況を示しています。
次回は4軸のうち「尊重・尊敬」の軸に焦点を当て、軸を構成する設問をご紹介します。

調査対象:ドクタートラスト・ストレスチェック実施サービス 2020年度受検企業685社のうち80問版ストレスチェック受検企業530社
調査期間:2020年4月1日~2021年3月31日

◆ 執筆:ストレスチェック研究所 コンサルタント 外山佳季

DL

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