職場環境最優良法人2023

【回答者数501人以上1,000人以下部門】
ノボ ノルディスク ファーマ株式会社さま

ドクタートラストのストレスチェックサービスでは、集団分析結果をもとに職場の雰囲気を数値化した独自指標「TRUSTY SCORE」(職場環境指数)を算出、上位法人を職場環境優良法人として表彰しています。
今回は、2023年度ストレスチェックにおいて、職場環境優良法人(回答者数501人以上1,000人以下部門)3年連続1位の栄冠に輝いたノボ ノルディスク ファーマ株式会社さまを訪問、代表取締役社長のキャスパー ブッカ マイルヴァン(Kasper Bødker Mejlvang)さま、人事本部長のナタリー アマーラーン(Natalie Ammerlaan)さまから健康やストレスに関する会社としてのポリシー、戦略を伺いました。
合わせて、ストレスチェックの重要性や反響を船橋志穂さま(人事本部 エンプロイー リレーションズ マネジャー)から、さらに社員会のお取り組みを井上直樹さま(糖尿病事業本部 シニアMR、社員会前会長)、吉田智亮さま(糖尿病事業本部 ダイアビーティス スペシャリスト、社員会前副会長)から伺いました。
※2022年度の記事はこちら

ドクタートラスト担当の杉山からノボ ノルディスク ファーマ株式会社代表取締役社長のキャスパー ブッカ マイルヴァンさまへ記念の盾を贈呈!

ノボ ノルディスク ファーマさまの健康やストレスに関するお考えを教えてください


マイルヴァンさま:まず、このような賞をいただきまして大変光栄です。今後も、より健全でエンゲージメントの高い会社を目指してまいります。
私たちの会社には10個のエッセンシャルズから構成される「ノボ ノルディスク ウェイ」があります。これは、私たちのあらゆる活動の指針となる価値観と行動様式を示したものです。マネジャーをはじめとした全従業員はこれらをしっかり理解して日々の活動のなかに取り入れなければいけない、そういったところを常に意識して事業を進めております。またエッセンシャルズの一つに「私たちは、健全で魅力的な職場環境を整えます」とあるように、朝の仕事が始まる時間よりも健全かつ健康にそしてエンゲージメント高く夕方に仕事を終えられるかが重要だと思っています。
さらに過去には身体的な安全性をいかに確保できるかの点から尽力してまいりましたが、リーダーはこれに加えてメンタルヘルス、さらには身体的なウェルビーイングをどのように維持するか、公私ともに健全な生活を送ることができるかを考えなくてはなりません。
この観点から申しますと、当社で毎年実施しているエンゲージメントに関するサーベイ「Evolve」にはストレスレベルに関する項目も含まれています。また、同様に毎年実施しているファシリテーションでは、担当者が各部門との面談などを行い、現在の組織における改善点などを探っております。

これらのお取り組みはグローバルで展開されているものなのでしょうか


マイルヴァンさま:「Evolve」、ファシリテーションともにグローバルで統一展開しています。これらを通じて各国で見いだされたベタープラクティスをほかのエリアでも応用できないかといったヒントの共有なども行っています。
もちろん日本独自で行っている施策もあります。グローバル全体で展開されているダイバーシティ&インクルージョンのプログラムのなかでも「個人として帰属意識をどれだけ感じることができるのか」「自分がどのように成長できるのか」「会社のためにどのように成長できるのか」といった項目は、各国さまざまな背景があると思いますが、特に日本ではここにフォーカスを当てて現在は活動を促進しています。

代表取締役社長 キャスパー ブッカ マイルヴァンさま

ありがとうございます。
続いてアマーラーンさまにお尋ねします。会社側が主導して行っている取り組みを教えてください


アマーラーンさま:先ほどマイルヴァンも申し上げましたように、ストレスチェックに関しましては本当によい結果が出て私自身も嬉しく思っています。また「Evolve」も日本ではとてもいい形で進めることができていますが、より健全でエンゲージメントの高い組織へと昇華するうえで追加の取り組みも必要であると考えております。
このほかの取り組みとしては、メンタル、フィジカル双方の健全性を維持するための活動「ノボヘルスウィーク」(※)や、各地域の従業員を経営メンバー数人で順番に訪問して、彼らの意見を聴く機会「マネジメントロードショー」も実施しました。
(※)ノボヘルスウィーク:グローバルで統一展開している健康増進週間。毎年5月に実施(詳細は後述)

マネジメントロードショーではどのような意見を聞くのでしょうか


アマーラーンさま:マネジメントロードショーではビジネスに関する意見や、人事制度に関する要望などを聞いています。またストレスの観点からも、会社をよりよいものにしていくための話し合いを行っております。今回全国各地で上がってきた意見をまとめ、今すぐとるべきアクションという形にまとめています。

先ほどのお話のなかで「追加の取り組みの必要性」に言及されていました。現在のお考えをお聞かせください


アマーラーンさま:今後に向けてストレス面の施策は、まだまだできることがあると思っていますので継続してまいります。また、先ほど申し上げた「ノボヘルスウィーク」に関しましても、その時々の状況に合わせてトピックは変わる可能性があるものの、引き続き開催したいと考えております。

人事本部長 ナタリー アマーラーンさま

マイルヴァンさま、アマーラーンさま、ありがとうございました!

 

 

あらためてストレスを含むメンタルヘルス面の重要性についてお聞かせください


船橋さま:昨年、一昨年と「職場環境優良法人」を受賞させていただいたということで、社内メールや、いろいろなところで結果を報告できたことは人事として本当に大変ありがたいことだと思っています。先ほど2人が申しましたように、リーダーがポリシーをきちんと理解して、チームメンバーの方々とどのように「魅力的な職場環境」を作っていくかが最も大切だと思いますので、日々チームをマネージしているマネジャーの皆さん、それからそのマネジャーの皆さんと対話してくださっているメンバーの皆さんあっての結果ではないでしょうか。
ストレスチェックの集団分析結果については、非常に興味を持っていると社員から声をいただきますので、社員がアクセスできる社内サイト上に集団分析結果のサマリーシートをアップし、いつでも閲覧できる状態にしています。

貴社では毎年「Evolve」、ストレスチェックと2つのサーベイを実施していますが、これらの結果はどのように活用されているのでしょうか


船橋さま:「Evolve」については、社員にサーベイ参加への感謝を伝えるとともに、結果のフィードバックを実施しています。営業所や部署によっては結果を踏まえたワークショップを行うプランを考えるところもあれば、プランを乱立させるのではなく、すでに取り組んでいる施策の継続、あるいは軌道修正を行っているチームもあります。
ストレスチェックの集団分析結果は、こうした施策検討における参考材料の一つとして活用しています。

人事本部 エンプロイー リレーションズ マネジャー 船橋志穂さま

「Evolve」はグローバル展開のサーベイですよね


船橋さま:おっしゃるとおり、同一指標でグローバル展開していますが、集計自体は5名以上の回答がある各組織単位でまとめています。
合わせて当社では、年に1回は必ずヘルス&セーフティのマネジメントレビューを行っています。ここではマイルヴァンとアマーラーン、それに私がグローバルのヘルス&セーフティ担当者と1年の振り返り、および次の1年に取るべきアクションプランを検討します。
具体的には「Evolve」の結果は他国の結果と比較したりベタープラクティスを共有しつつ、ストレスチェックの結果もすべて報告し、それをもとにウェルビーイングについて、メンタル、フィジカル双方の経年変化を確認するとともにアクションプランを策定しています。

職場単位のアクションについては人事部門が主体的に取り組んでいるのでしょうか


船橋さま:当社の場合は部門担当人事(HRBP)がおりますので、職場ごとの課題の洗い出しや、課題に向けた施策実施のサポートは、HRBPが各職場のリーダーたちと行っています。

ということは営業所ごとに取り組みが違う場合もあり得るのですね


井上さま:去年と今年の結果から見えてくる変化に対してどう取り組んでいくかを検討するのですが、「Evolve」の結果は部署、営業所単位で当然異なることから、各職場の施策も自ずと異なってきます。

職場単位の裁量の大きさを感じます。ほかの全社的な取り組みについても伺えますか


船橋さま:取り組みの一つには、アマーラーンが申したノボヘルスウィークもあります。これは5月末の1週間にグローバルで統一展開、社員に向けて会社から健康増進のためのプログラムを提供し、自分の健康をいつも以上に考えてもらう期間です。
日本では、今年は2つのプログラムを提供しました。1つ目はオンラインでのヨガです。このヨガは椅子に座りながらできるもので、朝とお昼後の休憩時間に30分のプログラムを用意、営業で社外に出ている社員も車内で取り組んだりしている様子が見られました。また、ヨガの先生に「腰痛を改善するにはどうしたらいいですか」など質問が数多く寄せられ、時間を延長するほどの人気ぶりでした。想定よりも多くの社員が参加したことから、年内の再開催をアマーラーンと検討しているところです。
2つ目は、セルフラーニング用のコンテンツ「働く男女の健康」です。セルフラーニングのコンテンツ提供は毎年行っているのですが、今年は「男性の更年期障害」や「女性特有の疾患」などを用意しました。女性特有の病気は、なかなか知る機会がありませんので管理職の方にチームメンバーの体調変化を理解していただく目的もあって推進したものです。コンテンツは個人で視聴する形式でしたので、ご家族と一緒に視聴した社員もいました。
また、2024年3月に「健康経営優良法人2024」を取得したのですが、一般には人事部門が業務周りをリードして取得を目指すところ、当社の場合はクロスファンクション、すなわち部門を超えての協同として広報の担当者がメインとなり、そこに人事、ファイナンス担当者などが集まってプロジェクトチームを組成した形となりました。

 

続いて「社員会」でのお取り組みについて教えてください。社員の方々が主体的にコミュニケーション活性化などについてさまざまな活動をされているそうですね


井上さま:最初にざっくり説明させていただくと、社員会とは各部署から選出された代表委員によって運営される組織です。さらにそのなかから運営委員が選出されます。私は昨年の社員会会長を、吉田が副会長を務めました。
運営委員はテーマに沿って3つのグループに分かれており、毎月取り組みに向けて話し合いを実施、その結果を代表委員の皆さんを通じて各職場に共有しています。

糖尿病事業本部 シニアMR、社員会前会長 井上直樹さま

3つのテーマそれぞれについて教えていただけますでしょうか


吉田さま:私は3つの取り組みのうち福利厚生関連を担当しました。当社では「社員旅行」と「クラブ活動」が活発に行われていたのですが、新型コロナウィルス感染症の影響でここ4年ぐらい活動ができていませんでした。昨年、経営層から再開の許可を得て制度設計をゼロから作り直して社員同士のコミュニケーションの活性化のために活動してきたところです。

外資系企業で社員旅行は珍しい印象があります


吉田さま:しかも社員旅行やクラブ活動にかかる費用は、個人の積み立てや持ち出しではなく会社が負担しています。経営層からは、これら費用を活用してコミュニケーション活性化につなげてほしいと言われています。

こういった取り組みは、どれくらいの規模で行うのでしょうか


吉田さま:社員旅行は営業所や部署単位で企画しますので、行先はもちろん、日帰りか宿泊かも本当にバラバラです。皆さんにチーム単位で話し合って決めてもらっています。
一方のクラブ活動は地区単位など社員旅行よりも大きな括りで活動しています。1人2つまで入ることができ、全国で100くらいのクラブが存在しています。

こうした業務外のつながりは、社員同士のコミュニケーション活性化につながりそうです


吉田さま:間違いなくつながっていると思います。もちろん社員旅行もクラブ活動も任意参加ではありますが、普段の仕事だけではなくプライベートも楽しむことの効果は大きいのではないでしょうか。

船橋さま:ちなみに本社などでは部門をまたいでの社員旅行も計画されています。たとえば本社にある人事やIT、ファイナンス、役員室といった部署に対して、全体に声をかけて行きたい人を募って実施される旅行もあります。ですので、普段の仕事では接しないメンバー同士で出かけるようなことも起こります。
また、これまでは社員旅行、クラブ活動ともに、会社からの助成は社員だけだったところ、社員会の働きかけにより、派遣社員や業務委託の方々も全額会社負担で参加できるようになりました。

素晴らしいですね!何か変わったクラブとかありますか


井上さま:変わり種ですとそば打ちや、多国籍料理だけを作るクラブなどがあります。

吉田さま:多いのはゴルフやサッカーなど運動系でしょうか。このほかサイクリング部、写真部などもあります。
また、クラブ活動での取り組み内容は社内SNSにも投稿してもらっています。この投稿を通じて活動がほかの社員にも伝わり、さらなるコミュニケーション活性化につながっているように思います。

糖尿病事業本部 ダイアビーティス スペシャリスト、社員会前副会長 吉田智亮さま

「社員会」での残り2つの取り組みも教えてください


井上さま:これはコミュニケーションやストレスなどとは必ずしも直結しないかもしれませんが、「世界糖尿病デー」など当社が扱っている製剤に関連する疾患啓発日の活動です。
当社では昔から活発に行っているもので、今ご紹介した「世界糖尿病デー」であれば、一般の方にティッシュ配りなどをして疾患に関する基礎知識を周知するような取り組みを推進するグループがあります。ただ、新型コロナウィルス感染症の影響もあって、対面での活動が難しくなりましたので、それに代わる取り組みとして、「NNチューブ」(ノボ ノルディスク ファーマ版YouTube)に収載された糖尿病や希少疾患に関する動画を活用し、こうした疾患について広く知ってもらうような取り組みを行っています。

こうした啓発活動も社員会の活動なのですね!


井上さま: 3つ目として、社員の働き方をよりよくするための活動です。
当社には、提案書と言いまして、さまざまな意見を上げる制度や、パワハラやセクハラについて相談できるホットラインなどが元々用意されています。ただ「提案書」と言われると、何かきちんとしたものを提案しなくてはならないようなハードルの高さを感じ、たとえば「コーヒーメーカーを新しいものにしてほしい」といったようなざっくばらんな意見は上げづらいですよね。とはいえ、社員の今思っていることを経営層に伝えるしくみは必要だと考え、新たに「目安箱」を始めたのです。
昨年6月に実施したところ、130以上の意見が集まりました。いただいた意見をITやオフィス環境、人事などのカテゴリーに社員会で分けさせていただいたうえで協議を行い、適宜関連部署に共有するなどもしています。

どのような声が寄せられたのか、差支えない範囲で伺えますか


井上さま:「Wi-Fi環境をもっと良くしてほしい」「PCのスペックを上げてほしい」などがありました。

船橋さま:社員会からのさまざまな意見が契機となって制度変更もなされました。たとえば正社員と契約社員で少し異なっていた有給休暇制度の平等化や、服装規定の完全撤廃などです。

社員会の取り組みは、本来の業務にプラスして行われていると思うのですが、どのようにモチベーションを維持されていますか


井上さま:昨年会長をさせていただいたときに、社員から寄せられた意見について、集めて終わりではなく、“その後”に続き、実際に制度やしくみが変わっていくことがやりがいにつながりました。意見を募るだけで終わってしまうのであればモチベーション維持はできなかったと思います。

確かに「目に見える結果」は大きいですね。もし社員会以外で特徴的なお取り組みがあれば教えてください


船橋さま:各職場にはアンバサダー、そしてアンバサダー(※)を支えるサポーターというメンバーがいますので、最後に彼らの活動を紹介させてください。
(※)アンバサダー:昨年記事参照

吉田さま:私は今年からサポーターになったのですが、取り組み内容はブロックごとにまったく異なります。私たちでは、新入社員が増えてきたなかで、ベテラン社員たちが新人に対して当社の歴史を過去から教えるような取り組みを行っています。

井上さま:私たち糖尿病事業本部は全国7ブロックにわかれていて、今の活動は「関東第2ブロック」の取り組みになります。
なかにはブロックを飛び越えて活動しているところもあります。たとえば関西地区と中国四国地区では、異なるブロックに所属するベテランMRと新人MRが同行しています。先輩の仕事を見てもらうのはもちろんなのですが、業務終了後に食事や飲みにいったりすると、同じ職場の先輩には言えない悩みなども相談できますよね。垣根を超えたコミュニケーションは大切にしています。

吉田さま:こうした取り組みもクラブ活動同様、社内SNSに投稿してもらっています。ほかのブロックの取り組みがわかり、自分たちの参考にもできるという形で波及効果が生まれています。

――経営層の想い、人事部門としての施策、そして社員会でのお取り組みなどさまざまな観点からお話しいただきましてありがとうございました!

ノボ ノルディスク ファーマ株式会社
1980年設立。1923年創立のデンマークに本社を置く世界有数のヘルスケア企業の日本法人。糖尿病で培った知識や経験を基に、変革を推進し深刻な慢性疾患を克服することをパーパスとし、その目的達成に向け、科学的革新を見出し、医薬品へのアクセスを拡大するとともに、病気の予防ならびに最終的には根治を目指して取り組んでいる。
2024年3月には「健康経営優良法人2024」の認定を取得
公式サイト:http://www.novonordisk.co.jp/