職場環境優良法人2023

【回答者数101人以上500人以下部門】
株式会社ヴァリューズさま

ドクタートラストのストレスチェックサービスでは、集団分析結果をもとに、職場の雰囲気を数値化した独自指標「TRUSTY SCORE」(職場環境指数)を算出、上位法人を職場環境優良法人として表彰しています。
今回は、2023年度ストレスチェックにおいて職場環境優良法人(回答者数101人以上500人以下部門)を受賞された株式会社ヴァリューズの辻本秀幸さま(代表取締役社長)、厚地暁さま(執行役員)、黒岩和憲さま(専門役員)、辻本和世さま(コーポレート戦略UNIT ディレクター、特定社会保険労務士、国家資格キャリアコンサルタント)、藤井佑美さま(コーポレート戦略UNIT マネジャー)にコミュニケーションを含めた組織運営のお考えについて伺いました。

ドクタートラスト担当の杉山から株式会社ヴァリューズ代表取締役社長の辻本秀幸さまへ記念の盾を贈呈!

最初にヴァリューズさまの社風やビジネス形態などを教えてください


辻本社長:ヴァリューズは「マーケティングとIT先端技術を活用し、新たな市場価値を創造・支援し世の中に貢献してゆく」をMission&Visionとして掲げる、ビッグデータ解析が得意なマーケコンサル会社です。またビッグデータの基盤、つまりデータを集めてスピーディーに抽出し分析できるサービスを創るなど一連の技術を持っていることを強みに事業展開しています。※
一般的にコンサル会社というとクールだったりドライなイメージがあろうかと思うのですが、僕らは真逆で、Warmであったり、ときにWetな感じで、人との関わりが好きなメンバー、困っている人がいたらちょっと駆け寄って「何か手伝うことない?」と声掛けするような気質の人たちが集まっています。
※ 消費者250万人超のweb行動ログを分析できる自社サービス「Dockpit」を運営している「Platformer」としての側面もあります。

人情味あふれるコンサル会社といった印象です


辻本社長:当社はサービスこそ生み出しているものの、工場などの施設があるわけではありません。ですので、なおさら「人財がすべて」と捉えています。
20代の頃、所属先のリクルートで「迷ったらどこに戻るか」、すなわち「マネジメント・コア」を決めるマネジャー研修を受けました。
当時は仕事が終わるとみんなで飲みに行き、仕事の相談を受けたり、ときには恋愛相談を受けたり、また週末はキャンプに行ったりしていました。これらの体験を振り返り、僕が迷ったときに立ち返る場所は「愛と志」であると気づいたのです。
「愛」とは「自分たちの仲間を一生の友、さらには兄弟姉妹と思う」という考えで、表面的なマネジメントメソッドではなく、本当にその人のためになるのかと向き合うスタンスです。
一方の「志」はせっかく生まれてきたからには自分達の手で世の中に新しいプラスになる貢献をしていきたい、今のヴァリューズに当てはめると「新しい価値を創り続けたい」という想いです。この価値観、スタンスに共感する人たちが当社に入ってくれているのも風土として大きいのではないでしょうか。
共通の価値観がある人の採用にこだわり、社員同士の触れ合いを大事にしながら各種制度を充実させてきた会社であるといえます。

代表取締役社長 辻本秀幸さま

ヴァリューズさまでは、価値観・行動指針として「7Elements」も定めておられますよね


辻本社長:いま申し上げましたように、僕の真ん中には「愛と志」があり、役員たちも共感もしてくれているところです。
また、全社メールや、半年に1度の全社員向け経営方針共有会「KickOFF」などで自分の考えや想いを伝えてきたのですが、それら内容を人事企画担当の黒岩が中心となって整理、さらに部長職以上の幹部が全員集まって吟味、議論し生まれたのが当社の価値観・行動指針である「7Elements」です。

「7Elements」のビジュアル図
出所:株式会社ヴァリューズ「私たちが大切にしていること」

辻本社長:「7Elements」については形骸化しないよう、「KickOff」などで必ず目に触れるようにしてきました。
また、各部門でもマネージャークラスが中心となって擦り合わせを行い、自分たちのチームの言葉に置き換えるなどの落とし込みを図っています。ヴァリューズの本質はここに凝縮していますし、実際に「7Elements」を意識したスピリットでいろんな制度、人事施策を自分たちでどんどん進めています。

具体的にはどのような施策がありますか


辻本社長:わかりやすい例では厚地が中心となっている「Work Design Lab」があります。
部門横断的に10人のメンバーが集まり、部活動を発足させたり、会社負担で部門を超えたメンバーで食事をする「Linked Meal」や「Linked Cafe」などを実施したりしています。

「Work Design Lab」について詳しく教えてください


厚地さま:位置づけとしては労働組合をカジュアルにしたようなイメージでしょうか。当社の社員数が50人を超え、新卒社員も増えてきた頃に始まりました。このタイミングは産業医の選任などさまざまなことが動くのですが、やはり人数が増えたことで、従来のトップダウンでだけではなく、ボトムアップで意見を吸い上げ実現するような制度が必要とされたことから生まれたものです。
社内の「目安箱」に寄せられた声を取りまとめ、人事や労務部門と共同しながら形にしていく取り組みを行っています。

ほかにコミュニケーション面で取り組んでいることはありますか


辻本社長:週に1回1時間の全体定例会があります。現在は社員170人になりましたが、創業期から15年間変わらず続けています。
リモートワークとリアルを融合させたいわゆるハイブリッド型の勤務形態を取り入れていますので、Web上、または会議室から参加してもらい、各事業のトピックスを報告するとともに、いい仕事をした人をMVPとして称え合っています。
また月に1回、全社飲み会を、こちらもWebで行っています。ここでは全社の業績を自分事として確認してもらうとともに、中途入社の方にゲーム感覚で楽しくインタビューするコーナーなどがあります。
「7Elements」でも表現しているように、僕たちは「自由」も大切にしていることから、前半は全員参加ですが、途中で抜けてもいいようにしています。

経営層の考えを聞ける機会が折々に用意されているのですね


辻本社長:さらに特徴的な取り組みとしては、半年に1回1日かけて開催する「VALUES Linked Day」が挙げられます。
人数が少なかった頃は仕事の成果を共有、ナレッジを蓄積する「成果発表会」の場だったのですが、あるとき、当時若手マネジャーの秤谷から「仕事以外のことも話したほうが、みんながつながっていくのではないか」と提案ありました。
そこで「人生の挫折」や「学生時代に体育会系で大変だったこと」「愛猫との過ごし方」など、仕事以外も含めて何でも披露してもらい、聞いている人が称えながらコメントする場へと変化させていったのです。その人の価値観やスタイルなどを知る場として機能しています。

取り組みを継続させつつも、開催の場をリアルからWebに移すなど、柔軟なご様子もわかります。ハイブリット型の勤務ならではですね


辻本社長:新卒社員は、入社後1年間は週2日以上、また中途採用の方は、入社後半年は週2日以上出勤勤務、それ以外の方は週1回以上の出勤勤務をお願いしています。
もう少し細かい話をしますと、旅先で働く「ワーケーション」もできたほうがいいと考え、現在は「月4回以上の出勤」に変更しました。これによりワーケーションに加えて、結婚式出席のために帰省した地元からのリモートワークなども可能になりました。
ただ、コロナ禍にリモート中心の学生生活を過ごした社員からは「人に飢えているからもっと出社したい」といった声も聞きます。そうした方には、毎日出勤して構わないと伝えています。

リモートワークにおいては、どのようにコミュニケーション向上を図っていますか


厚地さま:直接会う場合は相手の表情からわかる情報があるものの、SlackなどのITツールを使い、字だけでやり取りすると、どうしてもそうした情報が削がれるわけですよね。
そうしたコミュニケーションで気を付けなくてはならないポイントがありますので、テクニカルだけではなく、マインド的なところのガイドラインも社内では作成するなど、オンラインゆえに失われる情報の補完方法はあの手この手で考えています。

コミュニケーションを大切にされる文化を感じます


辻本社長:上司や同僚を役職名ではなく「さん」で呼び合う会社も増えていると思うんですけど当社はニックネーム文化を取り入れています。たとえば厚地であれば「あっちさん」、黒岩は「くろぴーさん」と呼ばれたりしています。
このコミュニケーションについて少し詳しくお伝えすると、外部の調査会社を利用した客観的な「従業員満足度調査」を黒岩が中心になって年に1度実施し、調査結果は社内共有します。
また調査のなかで出てきた声を踏まえて制度化も検討する際には、人事労務を担当している辻本(和世)、藤井なども連携し、チーム体制で推進しています。

制度化まで至った例を教えていただけますでしょうか


藤井さま:当社は若い女性社員が多いのですが、その上の女性社員とは年齢が少し離れていることから「自分が結婚をして、子育てをするイメージがわかない」と声が上がりましたので、わかりやすく制度化することにしました。
このときは当事者である若い女性社員が「結婚して子どもを育てるようになっても、ずっとヴァリューズで働いていきたいから」ということで自発的に協力してくれて、人事労務と話し合いながら、制度を整えていきました。
具体的には、育児中の時短フレックス制度や、ベビーシッターをお願いするときの費用・学童保育の料金などを会社が補助・負担する育児支援金、あとは小学生以下のお子さんがいる社員には、看護で休む場合に使える有給休暇を年6日付与する制度などもあります。
他社さんの事例を参考にしつつ「それよりも良い制度にしよう」と充実させてきました。
現在は性別問わずに活用してもらえていますし、育休に入っている社員たちが戻ってきやすいような形になってきたかなと思っています。もちろん男性社員も育休を取得しています。

コーポレート戦略UNIT マネジャー 藤井佑美さま

辻本社長:もともと満足度調査は「会社に声が届きやすい、自分たちで制度が作れる」というところから動き始めたものです。
これに関連して、特徴的な例をもう一つ上げますと、当社は東京にしか拠点がありませんので、何らかの理由で地元にUターンしなくてはならなくなった場合、転職を選ばざるを得ない可能性もありますよね。
ですので、地方居住制度を作ることにしました。制度の整備を決めてから実現するまでは大変ですが、方向性をまず決めて、実際に運用しながら整えていきました。現在は実家の都合や、出産準備などで、複数人がこの制度を利用しています。

自分たちの声が会社にまで届くのは、信頼性にもつながりますね


辻本社長:社員からの意見や声をきちんと検討する点には、自信を持っています。
もちろん中には「検討してみたけれど、今これはちょっと違う」と思うものもあるのですが、腹落ちできることは割と受け入れているのではないでしょうか。

一方の、メンタルヘルス面でのお取り組みを教えてください


辻本和世さま:各組織、1on1を週に1回くらいの頻度で実施、そこで状況をキャッチアップし、ケアしている部分が一番大きいのではないでしょうか。
あわせて、産業医の先生との迅速な連携と、社内外の相談窓口も設置し、SlackやGoogle Meetなどで気軽に社員が相談できる環境づくりを心掛けています。

厚地さま:当社には新卒、中途採用社員ともにメンター制度を取り入れています。リモートワークですと、中途社員のほうが新卒社員よりも孤独といいますか、同期もおらず仕事以外で気軽な相談ができないといったこともありますよね。
そうしたなかでメンターは「とりあえず何でもいいからこの人に言えばいい」といえる存在であり、メンターとは自ずと1on1を実施しています。

同じくメンタルヘルス面でいいますと、ストレスチェックはいかがでしょうか


辻本社長:目標にもあまり縛られない「ゆる~い組織」がいい会社だと思っていらっしゃる方もいるのかもしれないのですが、僕らとしては「目標に対してのある程度のプレッシャーはあったほうがいい」と考えています。
ストレスチェック集団分析結果のフィードバックでは、貴社から同様のアドバイスをいただきましたので「ある程度のプレッシャーの大事さをわかっていただいているので、嬉しい」と思いました。
また、当社では「仕事に厳しく、人に優しい」を大事にしています。仕事で大きく成長していただくように、背伸びできる環境を整えるようにしており、客観的な結果を見たことで、自分たちの組織運営は間違っていなかったんだと自信を持てました。
各項目の見方についてもレクチャーいただけているのも社内で有効に生かせていると思います。

集団分析の結果はどのように活用されていますか


辻本社長:いただいたサマリーシートは定例会で全社に共有し、私自身も「今後も今回のスコアに甘んじることなく、ちょっとキツいときもあるけど、仕事の充実感、愛情感じるいい仲間との関係・働く環境づくりなど、引き続き維持・向上していきたい」と宣言しました。

黒岩さま:先ほどご紹介しました「従業員満足度調査」と設問項目がある程度重複していますので、従業員満足度調査とストレスチェックを半年の間隔で実施することにより、全社と各組織の状態が数値モニタリングできるようにしています。
各組織のマネジメント層は何か変化があれば手を打っていくのが日常業務の習慣として身についているのではないでしょうか。

専門役員 黒岩和憲さま

最後に、今後の展望をお聞かせください


辻本社長:会社の規模が拡大し、来年度は新卒社員が 20人以上入ります。また、中途も10人単位で入る可能性があるのですが、会社全体での意思疎通が難しくなったり、温度差が出てきたりすることもあると思います。
もちろん先ほどご紹介した各イベントは、ずっと続けるつもりでいるものの、たとえばいま全員で実施している社員旅行は検討の余地があります。
一方では2年ほど前から部門単位での研修を推奨しています。そうした機会を通じて、一体感を醸成し、部門長同士やメンバー同士、はたまた部門横断で交流もしながら、強い結束を持ってもらうような形が、これからの会社の組織づくりとしては大事だと考えています。

ヴァリューズの皆さま

株式会社ヴァリューズ
2009年設立。マーケティングノウハウとIT先端技術を活用して、新たな市場価値の創造をサポートする、事業成長支援企業。250万人規模の一般インターネットユーザーの行動ログとデモグラフィック(属性)情報を活用したサービス提供のほか、経営課題のコンサルティングから、課題解決、販売促進の支援まで、独自のノウハウとソリューションで多くの企業を支援している。
公式サイト:http://www.valuesccg.com/