職場環境最優良法人2023

【回答者数501人以上1,000人以下部門】
株式会社テラスカイさま

ドクタートラストのストレスチェックサービスでは、集団分析結果をもとに、職場の雰囲気を数値化した独自指標「TRUSTY SCORE」(職場環境指数)を算出、上位法人を職場環境優良法人として表彰しています。
今回は、2023年度のストレスチェックにおいて、職場環境優良法人(回答者数501人以上1,000人以下部門)を受賞した株式会社テラスカイの福畑芽久美さま(経営企画本部 人事部 部長)、今泉義行さま(経営企画本部 人事部 HRPチーム マネージャー)、中田千尋さま(経営企画本部 人事部 HRRチーム サブマネージャー)にメンタルヘルス対策に向けた取り組み、考え方などを伺いました。

今泉義行さま(経営企画本部 人事部 HRPチーム マネージャー)に記念の盾を贈呈!

はじめにテラスカイさんのことを教えてください


今泉さま:テラスカイは2006年3月に創業した会社です。社員数は2024年8月1日現在でおよそ720名、8割をエンジニアが占めています。
事業はクラウドインテグレーション事業と製品事業の2本柱で、このうちクラウドインテグレーション事業は、クラウドを活用した最適なシステム開発の支援および受託開発で、売り上げの70%を占めています。もう一つの製品事業は、主としてセールスフォース上で動くアプリケーションの開発と販売を行っています。

エンジニアが8割とのことですが、どういった社風でしょうか


今泉さま:一言でいうと「人の話をよく聞く風土」でしょうか。といいますのも、われわれはシステムを通じてお客さまの経営課題を解決する会社です。経営課題の解決にあたっての最適なソリューション構築には、まずは自分たちの予見を差し挟まず、お客さまのお困りごとに真摯(しんし)に耳を傾けなければなりません。
「人の話を聞くこと」は創業当時から大切にしている価値観です。たとえば、メンバークラスがマネージャーや部長に意見を言ってはいけないといったことは一切ありません。改善の提案はもちろん、日々の業務運営に関しても、まずは聞くようにしています。
よく練られた考えであれば「それはいいね、すぐやってみよう」と実行に移しますし、そうでない場合でも「以前Aという観点でやってみて上手くいかなかったことがあるので今度はBという観点から考え直してみて」とフィードバックするようにしています。

心理的安全性を大切にされているのですね。
テラスカイさんはテレワークを積極的に導入している会社と思います。そのなかではコミュニケーションをどのように工夫していますか


今泉さま:チーム単位で15分~30分の朝会や夕会を、少ないところでも週2回~3回は実施しています。開発で壁にぶつかったとき、困ったときに相談する場としても機能しています。それぞれが自宅で黙々と作業をしているとどうしても行き詰まり、生産性の向上が望めないと思いますので、なるべくコミュニケーションがとれるようにしているのです。

部署の垣根を超えたコミュニケーションはいかがですか


中田さま:当社は東京本社以外に、大阪と名古屋、それに福岡に支社が、また新潟と秋田と島根にエンジニアのサテライトオフィスがあります。
年に1度、外部の大きな会場を借りて行われるキックオフイベントには、遠方の拠点の社員はもちろん、当社以外で12社あるグループ会社の社員も集います。イベントでは、パーティーも開かれますので、自社のメンバーだけでなくグループ会社の人たちとも話をする機会につながっています。

2024年3月に開催されたキックオフイベント。第1部「KickOff Meeting」では、グループ全体の振り返りと今後の目標についての発表などが行われる(テラスカイさま提供)

第2部「KickOff Party」は社員同士や役員層との交流機会。グループ会社の社長と役員は居場所がわかるよう、会社名と名前が書かれた風船を身につけている(テラスカイさま提供)

中田さま:また東京本社では四半期に1回、社員同士の縦・横・斜めの交流を目的とした懇親会「TerraSky Happy イベント」を実施しています。ラウンジに用意された食べ物やお酒をいただきながらゲームなどを楽しみ、交流を深めています。

2023年10月開催「TerraSky Happy Autumn」にはおよそ120名が参加した(テラスカイさま提供)

福畑さま:私はテラスカイに2024年2月に参画したのですが、本当にアットホームで温かい職場です。
また、全体的に「自分たちの会社」という意識で会社のことをとらえている風土を感じます。ごく普通の小さな会議でも「これは自分たちの会社のことであり、自分たちの責任において何とかするんだ」ということが自然と前提になっていて、健全な議論や前向きな考え方で物事が進んでいきます。長くいる社員からは「そんなの当たり前では?」と笑われますが、人事視点では当社の強みにつながる、これからも大切にしたい社風だと思っています。

福畑芽久美さま(経営企画本部 人事部 部長)

今回のインタビューの肝ともいえるメンタルヘルス対策について教えてください


今泉さま:そもそも仕事をする上でストレスは避けられません。この点は割り切って考えています。
問題は、社員がストレスをため込んでしまい、それがメンタル疾患につながるという連鎖です。これを防ぐために、芳しくない兆候を積極的に把握、産業医面談を活用して、社員に吐き出してもらうと同時に、何かしらの改善施策につなげていくサイクルを取り入れ、3つの施策を進めています。

ぜひ1つずつ教えてください


今泉さま:1つ目は、私が実施事務従事者となっているストレスチェックの活用です。当社では、11月にストレスチェックを実施し、結果が12月に出てきます。そこから年明け2月にかけて、結果を踏まえて積極的な声掛けおよびヒアリングを実施し、状況に応じて産業医面談を受けてもらっています。

2つ目はアンケートの実施です。当社では、中途入社した人に入社後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月目にアンケートを行っています。このアンケートでも、ストレスチェック同様に過去の退職者が低評価していた質問をピックアップし、回答傾向が似ている人には声掛けを実施し、産業医面談につなげています。これは毎月実施しています。

3つ目は、残業が多い方への声掛けです。どうしても残業時間が長いと、メンタル疾患にかかる確率も高くなりますので、具体的には40時間/月の残業が3ヶ月間続いている人に「大丈夫ですか」と声掛けをしています。
過労死ラインであり、メンタル疾患との因果関係が強まる80時間/月で声を掛けるようにしている会社はたくさんあると思います。当社ではメンタル疾患の予防、早期発見の観点から、40時間/月の目安を設けているのです。労働基準とは別ですので36協定適用外の管理職も対象です。

問題が深刻になる前に対応することを信条として、こうした3つの取り組みをこまめに行っている結果、ストレスチェック集団分析結果が、他社さまよりも良好だったものと想像しています。

大勢の方への声掛けや面談などはかなり大変そうです


今泉さま:これらの施策は、自分から「SOS」の声を上げる人は少ないということ、本当に長期休職をせざるを得ないくらい重症化してから声をあげる傾向があるということを前提に組み立てています。結果的に、産業医面談を受ける社員が増えることとなり、人事部門としても多くの時間を割くこととなりますが、社員の深刻なメンタル不調を防止するためには必要な工数だと思っています。

中田さま:先ほどの「1、3、6ヶ月」のアンケートは中途入社だけでなく新卒入社の社員も対象に実施しています。「テラスカイの人事部は社員の健康を気遣っている」と感じてもらい、入社6ヶ月が過ぎた後も「そういえばテラスカイの人事は話を聞いてくれるんだったよな」と思い出してもらって、何かあったとき、まずはわれわれに声をかけてもらえたらと思っています。
信頼関係の土台が形作られていく入社初期の段階で「私たちはいつでも話を聞きますよ」というメッセージを出していくのは非常に重要だと考えており、それがうまくできているのではないでしょうか。

中田千尋さま(経営企画本部 人事部 HRRチーム サブマネージャー)

産業医面談につなげていくためのポイントを教えてください


今泉さま:産業医面談を受けてもらうにあたっては、「産業医に話をしてみれば、(今の苦しい状況が改善される)ヒントが得られるかもしれないよ」とお伝えしています。また、産業医面談を受けたことを「同意なく上司に伝えないこと」を約束しています。

ストレスチェックでは個人結果とともに集団分析結果も出てきます。どのように使われていますか


今泉さま:ドクタートラストさんのストレスチェックの集団分析結果は、一目でわかるよう偏差値表記になっていますので、そこをうまく活用して部署長に対し、集計結果を見せています。
ただ、偏差値が低い箇所について「これ直してください」と伝えても、なかなか対応は難しいでしょうから「一緒に直していきましょう」というアプローチをとっています。

差し支えない範囲で具体的な施策を教えてください


今泉さま:ストレスチェックでは、傷病休業が起こるリスクの要素として「仕事の量的負担」「仕事の質的負担」「上司のサポート」「同僚からのサポート」が出ます。
このうち仕事の量的負担、質的負担は、事業に関わる部分ですのでコントロールが難しいのですが、「上司、同僚からのサポート」は手が打てると思っています。この分野の偏差値が低い部署には、どんなやり方でサポートをしているのかをヒアリングし、見えてきた課題の改善に向けて一緒に考え、改善策を打ち出すようにしています。
具体的には、サポートがなくて悩んでしまう場合は2つにわかれています。
1つ目は、当社での仕事の仕方がわからないパターン。2つ目は、スキルの問題などから、効率的な開発の仕方がわからないパターンです。
この2つに分類したうえで、レクチャーが不足している場合は、メンターをつけるとか、質問を専門に受け付けるような担当者を配置するなど、なんらかの対応をとって進めています。

結果をしっかり活用いただけて嬉しいです。最後に今後の展望をお聞かせください


福畑さま:テラスカイが社員の活躍や成長の場所、安心して働ける場所になるよう、様々な取り組みを柔軟かつスピード感をもってやっていきたいと思っています。
最近では、中途入社者向けの入社時のトレーニングを拡充しました。当社はエンジニア向けのトレーニングが豊富で「テラスカイで改めてしっかり学びなおしたい、スキルアップしたい」と入社してくる社員もいるのですが、特に中途入社メンバーは即戦力として早々に案件で活躍し始めるケースも多く「楽しみにしていたトレーニングが十分に受けられなかった」といった声も聞かれました。
そこで、中途入社のプログラムを抜本的に見直し、トレーナーが各自のスキル・経験に踏まえて設定したプログラムを2ヶ月間程度提供することとしました。満足度高く入社直後の数ヶ月を過ごしてもらったほうが長期的なエンゲージメントが上がるからと、現場の皆さんが後押ししてくれたのもありがたかったですね。

他にも休職明けの社員がスムーズに復帰するための伴走のしくみや、「育児」「プロジェクトリーダー」など近しい環境や経験、悩みを持つもの同士の座談会などなど、コミュニケーションのフォローと人事施策を結びつけた取り組みを皆で悩み、皆で楽しみながら進めていきたいと考えています。

株式会社テラスカイ
クラウド創成期からクラウドに取り組んできたリーディングカンパニー。ミッションは「先進のテクノロジーと最適な選択で成功を共有する」。
公式サイト:https://www.terrasky.co.jp/