職場環境最優良法人2023
【回答者数1,001人以上部門】
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社さま
ドクタートラストのストレスチェックサービスでは、集団分析結果をもとに、職場の雰囲気を数値化した独自指標「TRUSTY SCORE」(職場環境指数)を算出、上位法人を職場環境優良法人として表彰しています。
今回は、2023年度のストレスチェックにおいて、職場環境優良法人(1,001人以上部門)を受賞したブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(以下、BMS)の内藤佳子さま(執行役員 人事部門長)にコミュニケーション施策やカルチャーについて、また森川晋一郎さま(ヘマトロジー・オンコロジー事業部門 北海道・首都圏営業部 肺・泌尿器領域フランチャイズ シニアプロダクトマネージャー、2022-2023年Possibility Lives Japan チャプターリード)に心理的安全性へのお取り組みを伺いました。
ドクタートラスト担当の根本から内藤佳子さま(執行役員 人事部門長)へ記念の盾を贈呈!
最初にBMSさまの風土を教えてください
内藤さま:弊社の社風として、第一には患者さん中心という思いを持って仕事をしていることが挙げられます。社員はこの目標に向かって切磋琢磨しながら共に努力する企業文化が根付いています。
BMSではさまざまなバックグラウンドの方がお仕事をされていることから、インクルージョン&ダイバーシティ(以下、I&D)の取り組みに非常に力を入れています。新卒入社以来、長く働いている方もいれば、中途入社の方、あるいは海外国籍の方もいらっしゃいます。それ以外にもLGBTQについて、障害についてとさまざまなかたちでのI&Dに取り組んでいます。
BMSにはI&Dを推進するグループ「ピープル&ビジネスリソースグループ」(PBRG)がありますが、そのグループの方々と森川がリーダーをしていた「Possibility Lives」(後述)の皆さんが一緒に各種イベントを行う取り組み「I&D Month」が11月には開催されます。実は5年前までは「Day」だったのですが、翌年には「1日ではなくて、もう少しいろんなイベントをしたい」という意図から「Week」に、さらに3年前には「Month」へと拡大していきました。
こうした取り組みには、どういった方が参加されていますか
内藤さま:皆さんボランティアで参加しています。会社のビジネス、もしくは会社の環境作りに必要だと思うことを自ら考え取り組んでいます。「自立性」や「自由」「責任感」はBMSのカルチャーといえ、社内で「BMSのどういうところが好きか」のアンケートをワードクラウド(※)で行うとこれらの言葉が大きく広がっていきます。
ワードクラウド:テキストデータ内の単語を出現頻度に合わせて大小をつけて視覚化する手法
森川さま:私は2004年に新卒入社したのですが、当時は会社としてまだ小規模だったものの、入社年次にかかわらず、言いたいことが言いやすい環境で働けていたと思います。また、部署の垣根なくスムーズなコミュニケーションがしやすいということも入社当初より感じています。
内藤さま:階層意識が低いのもBMSの特徴であると思います。たとえばグローバルCEOがアメリカから来日しても「やあやあ、元気?」と気さくに話しかけるようなイメージです。
また、社会貢献活動として全世界で自転車に乗ってがん患者さんを思いながら走るイベント「C2C4C(Continent 2 Continent 4 Cancer)」ではCEOを含めたグローバルのエグゼクティブも一緒に走るなど、社内のつながりを広げられるようなしくみがさまざま用意されています。
内藤佳子さま(執行役員 人事部門長)
多様性に配慮した自由度の高さが感じられます
内藤さま:東京本社のオフィスではフリーアドレス制が導入されています。ブースで作業に集中することもできれば、オープンなスペースで同僚と顔を合わせながらコラボレーションでき、目的に合わせてさまざまなスタイルで働ける環境です。
静かな環境がいい人向けにはクワイエットゾーンがあり、その日の心理状況や仲間との関わり方の中で活用できるようなオフィスとして工夫しています。
また、勤務時間についてはフレックスタイム制度を導入しており、自身で業務時間を決められます。たとえば海外と仕事をする人は時差の関係で遅めに業務を開始して夜までといったかたちにできます。
さらに2週間の枠の中で50%までは在宅勤務を選べますので、上長やチームメンバーと相談しながら、オフィスに行くか在宅勤務にするかを選べるなど、多様な状況に備えられる環境を整えています。
大手町本社の様子
働き方自体にもダイバーシティが担保されている様子が伺えます
内藤さま:もう1点付け加えるとすると、BMSでは、キャリア構築を非常に大切にし、会社として積極的にキャリアの機会を提供しています。具体的には、キャリア構築には、どのように自己成長していくか、スキルをどう作っていくかの視点が欠かせないことから、3ヶ月~1年の範囲で他部署の業務やプロジェクトに携わる中期業務体験の仕組み「Tour of duty」、いわば社内留学制度を用意しています。
さらに、BMSは基本的にすべての部署についてジョブポスティングを導入、空きのあるポストに自ら手を挙げて合格すれば異動できるようにしています。自ら応募して異動していく自発性、自立性が先ほど申し上げたボランティア活動にもつながってくるのではないかと思います。
特にジョブポスティングで採用される方は、ある程度の能力を有している人、実績を築いている人ですので、日々の仕事や環境のなかで、どれだけしっかり仕事をしているか、次に橋渡しできるようなことを実績として出しているかは重要です。こうした機会を通して日々の業務を頑張ってもらうなど、成長の機会を作っています。
そうした風土のなかで働きやすさについてはどのような取り組みをされていますか
内藤さま:社員のウェルビーイングの観点からは、まず、休みやすい環境、体調が悪いときにサポートする環境という意味で、年次有給休暇とは別に12日間付与される私傷病休暇があります。風邪をひくなど、具合が悪いときや通院時に半日単位から取得できるものです。年次有給休暇はリフレッシュする際に使ってもらうという意図から設けています。
そうはいっても日本人の特性上、なかなか休みづらいと思ってしまう社員もいることから、ゴールデンウィークや夏休みには計画的年休を設定したり、有給休暇の取得を促進しています。さらにグローバルの取り組みとして、7月の第1週は、自分の溜まっている仕事をしたり、自分のキャリアについて考えたり、改めて同僚とコミュニケーションするような時間に使う「Quiet Week」が毎年設けられています。
同じくグローバルの取り組みとして年末の最終週は「Global Shutdown」として休暇取得を全社で促進し、リフレッシュすることの重要性を伝えています。
同時に安心して働ける環境のために各種保険制度、たとえば、がんになったときに社員をサポートする「がん保険サポート」、家族計画の中で不妊治療をサポートする「不妊治療補償制度」、他にも広い家族の定義を設け、その家族の安心をサポートするような制度を整えています。
人事としてのイベントに対する係わり方を教えてください
内藤さま:人事部門は、イベントの相談があった際に情報を提供する、アドバイスをするといった関わりになります。先ほども紹介した「ピープル&ビジネスリソースグループ」(PBRG)に参加しているボランティアの皆さんが「こういったことをやった方がいいのでは」と企画、提案し、最低でも月に2、3度くらいダイバーシティや自己成長、ウェルビーイングなどのテーマのイベントが開催されています。PBRGの活動を通して普段の仕事では関わらないようなことを新たに学ぶ、もしくは新たなスキルを使うことによって、自身の能力開発にもつながるという場にしていくことが会社としての考えです。
そのほかに社内コミュニケーションについての取り組みで特徴的なものはありますか
内藤さま:会社としては双方向のコミュニケーションをいかに取れるか、取っていけるかに重きを置いています。会社全体では国内のマネージャーが年に1、2回集まって会社の戦略について組織を超えてディスカッションをする場「リーダーシップ・フォーラム」を設けています。
また、全社でのフォーラム「オール・エンプロイー・フォーラム」でも部署の垣根を越えて会社についてディスカッションする機会を提供し、自分の部署や同僚だけではない、他の部署や他の社員を知ることによって会社への理解を深めたり、仲間を増やしたり、または情報共有によって協調性の構築にもつながっています。それ以外にも営業組織ですと、マネジメントメンバーが全国を回る「キャラバン」など、社員間のコミュニケーション促進に取り組んでいます。
同時にPBRGの中でも、組織を超えてイベントを企画しているので、こうした機会が心理的安全性やウェルビーイングに生かせているのではないでしょうか。
こうした社員主体の取り組みの中には、森川さんも携わっている「Possibility Lives」も含まれているものと存じます
森川さま:「Possibility Lives」 は、グローバル全体での活動で、いわゆるデータやサイエンスなどを用いたインクルージョンの促進、自分たちの行動変容を後押ししていく取り組みです。脳神経科学をベースとして、たとえば「相手を排除しないためにどうしたらいいのか、そのためにはこういうアクションをとったらいいよね」ということを伝える活動をしています。
日本では、コロナ禍で活動が活発化し、オンラインでのコミュニケーション方法について情報提供をさせてもらったり、11月の「I&D Month」で外部の脳神経科学の専門家をお呼びして、ビジネスにどう生かしたらいいのかをお話いただいたり、過去には「心理的安全性」について社内での認知度を上げるべく4コマ漫画を作るなどしてきました。
森川晋一郎さま(ヘマトロジー・オンコロジー事業部門 北海道・首都圏営業部 肺・泌尿器領域フランチャイズ シニアプロダクトマネージャー、2022-2023年Possibility Lives Japan チャプターリード)
活動の規模を教えてください
森川さま:コアメンバーは国内で5~6人ですが、グローバルとのつながりのなかで活動を行っています。また、社内のインクルージョンを活発化させていくための社内認定制度「Verified Inclusion Partner」という認証制度があり、グローバルでは250人程度、日本では私ともう1名が取得しています。
こうした活動によって他部署の方やリーダーシップチームの方とダイレクトにコミュニケーションが取れ、何よりリーダーシップチームの方たちにも我々の活動を支援いただくことで、心理的安全性につながっていると感じています。
さまざまな社員発の取り組みがあるとわかりました
内藤さま: PBPG以外でも、「家族にオフィスを見てもらうことで、より会社への愛着を高めたい」ということで、営業部門の所長が社内で呼びかけた仲間とともにマネジメント会議で「オフィスツアー企画」を提案されました。普段は営業に従事されている方々ですが、試行錯誤されながら8月に計7回、社員とそのご家族合わせて624人を受け入れました。
ツアーでは「こんな良い会社で家族が働いていることを知れて嬉しい」、「お父さん、お母さん頑張って」といったコメントをメッセージボードにたくさんいただきました。
コミュニケーションと表裏一体ともいえる「メンタルヘルス対策」としては特徴的な施策はありますか
内藤さま: 従業員支援プログラム(EAP)や産業医面談、それに健康情報の発信などは所轄部署からも行っていますし、同時にPBRGのチームからも、それぞれが必要と考える情報の提供やイベント運営をしているところです。
また、マネージャー向けに「部下との対話」や「パフォーマンス」「キャリア」などの研修も行っています。やはり組織、人を作っていくうえで、仕事をするうえで、上司の存在は大きいです。メンタルが不調になる方のなかには上司とうまくいってないケースも少なくないため、会社としては、上司の方たちに部下育成や組織マネジメントを学んでもらうことにフォーカスしています。
最後に今後の展望をお聞かせください
内藤さま:心理的安全性について、私達は「Speak my mind」と呼んでいるのですが、自分の意見を声に出していく点ではまだまだ改善の余地があると考えています。
冒頭に言いましたように新卒からいらっしゃる方もいれば、中途で入社された方もいるなかで、新しく入ってきた方は組織に馴染むまで「この会社ってどんなところなのだろう」と不安を抱くこともあるでしょうし、ジョブポスティングで新しいチームに入った方も、やはり「こんなことを言っていいのだろうか」と感じることがあると思います。こうしたバリアの破壊は、常にやり続けていかなければなりません。
また、「患者さんのためにどう貢献していけるか」を考えるカルチャーを作るために、皆で協力していくことも引き続き欠かせません。
さらに、個々人が自分のキャリアをこの会社の中で作っていけることによって、やる気も出てくるし、さらに頑張ろうという想いも醸成できますので、キャリア機会の構築、安心して働ける土台など、時代の状況によって必要なものを取り入れることを継続していきます。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
1960年設立。深刻な病気を持つ患者さんを助けるための革新的な医薬品を発見、開発し、提供することを使命とする世界的なバイオファーマ企業。「がん」「心血管疾患」「免疫系疾患」「線維症」などを重点疾患領域としている。
2023年11月には、職場における性的指向・性自認に関する取り組みを評価する「PRIDE指標2023」において、最高ランクの「ゴールド」認定を取得。
公式サイト:https://www.bms.com/jp