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長時間労働とメンタルヘルスの関係は?長時間労働の原因と対策

最終更新日 2023-01-10

皆さんの会社では、長時間労働によるメンタルヘルス不調が発生したケースはありますか?
今回は長時間労働を生み出す原因や対策方法についてご紹介します。

長時間労働がメンタルヘルス不調を引き起こす?

長時間労働が社会的問題化され、「長時間労働はメンタルヘルスに良くない」という印象がありますが、東京医科大学精神医学分野の研究グループによると、長時間労働そのものがメンタルヘルス不調に関係しているかどうかについて、直接的な影響はないと明らかにしました。
一方で、長時間労働が続く事により、睡眠時間が不足したり、食生活が不規則になったりするなどの影響が、心身の疲弊や、メンタルヘルス不調を引き起こすことにつながっていると発表しています。
直接的な影響はないとされていても、結果的に強い悪影響を及ぼす長時間労働は減らしていく必要があります。

長時間労働とは何時間以上働くこと?

長時間労働には「何時間以上」といった具体的な基準はありませんが、労働基準法では法定労働時間として、「1日8時間、週40時間」までと上限を定めています。
法定労働時間を超えて労働させる場合、労働基準法に基づく労使協定(36協定)を締結することが必要です。
現在では、36協定を締結して労働者に残業をさせる場合でも、残業時間は原則「月45時間、年360時間」までとする上限規制が適用されており、長時間労働に該当するかどうかのひとつの目安になるでしょう。

長時間労働の原因とは?人手不足?

長時間労働がなくならない原因は業種や職種によってさまざまありますが、ここでは主な3つを紹介します。

人手不足による業務量過多

長時間労働の原因として真っ先に思い浮かぶのは、一人あたりの業務量が増え、勤務時間内に処理しきれないというものです。
人手不足が先なのか、業務量が増えたのが先なのか、どちらにせよ業務過多の状態が長期化すると、そこで働く労働者はそのしわ寄せで、長時間労働が発生するでしょう。

管理職者のマネジメントができていない

管理職の方は、部下の業務量や進捗状況を把握できていますか?
残業や休日出勤が増えていることに気がつかず、気がついた時には、状態は深刻で休職・離職につながる可能性も高まります。
もし長時間労働の実態に気がついたならば、適切な対策を講じることも管理職としての役割です。

残業をよしとする企業や個人の意識

企業や個人の意識として、長く働くことが社内評価されることに結びついていませんか。
長時間労働が、業績向上につながるとは限りません。業務の効率化を考え、短時間で業務に取り込むこと、有給を取得しリフレッシュすることで、生産性やモチベーションの向上につながるという風に意識を変化させる必要があります。

長時間労働への対策は?減らすにはどうする?

長時間労働を減らすために、まずは会社として、適正に労働時間を把握していることが必要です。
そのうえで、どのような対策ができるのかを見ていきましょう。

業務効率化や業務分担の見直し

普段当たり前に行っている定型業務の中に、効率化出来る部分があるかもしれません。
また、特定の従業員に業務が偏っているような状態であれば、仕事の割り振りを見直しましょう。

ノー残業デーの導入

長時間労働の削減に寄与できるような対策として、有給休暇の取得を推奨したり、ノー残業デーを設けたりするなどは、会社全体として取り組める方法です。
このような方法は、浸透するまでに時間がかかる可能性もありますが、個々人の意識の変化にもつながっていきます。

部署内のコミュニケーションの活性化

一部の従業員に業務が偏っている状態を避けられない場合、上司・同僚からのサポートがあるかどうかは重要なポイントです。
そのためにも、普段からコミュニケーションを取り合うことで、助け合いの姿勢に繋がっていきます。

まとめ

長時間労働の原因と対策について見てきましたが、ここで取り上げた対策は一例に過ぎません。
長時間労働を労働者個々人の問題ではなく、部署や会社の問題として捉えることで、できる対策も増えていくでしょう。

<参考>
Tenshi Watanabe、Jiro Masuya、Shogo Hashimoto、Mina Honyashiki、Miki Ono、Yu Tamada、Yota Fujimura、Takeshi Inoue、Akiyoshi Shimura「Long Working Hours Indirectly Affect Psychosomatic Stress Responses via Complete Mediation by Irregular Mealtimes and Shortened Sleep Duration: A Cross-Sectional Study」

執筆者

【チーフアナリスト】服部 恭子
【職位】チーフアナリスト
【コメント】毎日多くの時間を過ごす職場環境が良いものになるように、また、健康で元気に働き続けられる人が増える社会になるように、ストレスチェックをきっかけに、職場環境改善に取り込もうとする企業様に役立つ情報をお届けできるように努めてまいります。

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