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高ストレス者率が改善した組織と悪化した組織の違いは?ストレスチェックの全尺度から分析!②改善群から見えてきたこと

最終更新日 2023-01-10

ドクタートラストのストレスチェック研究所では、2021年度にドクタートラストでストレスチェックを実施したうち、2020年度の結果と比較が可能な593組織のデータを分析しています。
前回は高ストレス者率をもとに、改善群と悪化群を比較し、高ストレス者率が改善した組織、悪化した組織それぞれの特徴を捉えるとともに、高ストレス者率軽減の秘訣を見つけ出しました。


今回は改善群のデータをもとに、何が改善に大きく影響していたのかを解説していきます。

改善群の平均点から考える変化の状況

まず、改善群(2020年度と2021年度で高ストレス者率が改善していた270組織)の平均点を2020年度と2021年度で比較しました。
全42尺度中、数値の改善がみられたのは34尺度でした。
最も偏差値の差が大きかった尺度は安定報酬で、公正な人事評価、ワークセルフバランス(ポジティブ)、働きがい、職場環境と続きます。

安定報酬はそもそも、2021年度データでは全国的に改善していた尺度でした。
改善群ではそれに加えて、公正な人事評価(設問「人事評価の結果について十分な説明がなされている」から算出)や、ワークセルフバランス(ポジティブ)(設問「仕事からエネルギーをもらうことで自分の生活がさらに充実している」から算出)、さらに働きがい(設問「働きがいのある仕事だ」から算出)が2020年度よりも改善していることから、仕事に対する意欲が増し、活力をもって仕事に向き合っている人が増えていることがわかります。
一方で、改善群では8つの尺度が悪化していました。
意外なことに、この8尺度には仕事の力的負担や身体的負担度、仕事の質が含まれます。

仕事の量的負担・質的負担、そして身体的負担度の悪化は、コロナも2年目となり、少しずつ状況に慣れ、仕事が増え始めたことによるものではないかと考えられます。
また疲労感は全国的にも数値が悪化していました。
仕事による負担が増え、従業員の疲れはむしろ増している状況であったことがわかります。
では改善群において負担が増し、疲れが見えるにも関わらず、高ストレス者率が減少した理由はいったいどこにあるのでしょうか。

答えは上司のサポート、公正な人事評価、職場の一体感にあった

各尺度の平均点が大きく改善していたとしても、すべての組織で高ストレス者率が一様に改善されているとは限りません。
そこで、改善群の各尺度平均点について2020年度より改善した組織数を算出してみました。

上記が全42尺度を改善組織数順にランキングで示したものです。
ここから半数以上の組織で改善が見られた尺度を抜き出してみると以下のようになりました。

最も改善した組織が多かった尺度は職場環境と上司からのサポート(各211組織)でした。続いて公正な人事評価(198組織)職場の一体感(190組織)と続きます。この4つの尺度は、改善群全体の7割以上で改善が見られた尺度でした。
特に職場の一体感(設問「私たちの職場では、お互いに理解し認め合っている」から算出)は最も不良な回答をした人の半数以上が高ストレス者として判定されていた質問でもあり、高ストレス者との結びつきも強いと考えられます。

自社のストレスチェックの結果を見直してみましょう

改めて、自社のストレスチェックの結果、またはこうした項目に関わる風土について、改めて見直してみましょう。
数値を経年比較することで、課題をより明らかにすることができます。
もしストレスチェックを活用した自社の職場環境改善にご興味をおもちでしたら、ドクタートラストまでご相談ください。
コンサルタントより、改善方法を含めたさまざまなご提案をいたします。

DL

執筆者

【シニアコンサルタント】大沼 文音
【保有資格】産業カウンセラー/上級ハラスメントマネージャー
【コメント】典型的なブラック企業で数年働いた経験から「働きがい」や「仕事の楽しさ」は作ることができても、職場環境は一人の力ではつくることはできないと知り、楽しく働き続けられる職場環境に興味を持ちました。現在は産業カウンセラーとしての知識も活かし、多くの企業に携わりながら、皆が楽しく働ける職場づくりを目指しています。

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