
睡眠とストレスの深い関係~社員の睡眠をチェックしよう~
最終更新日 2023-01-10
みなさんは「悩みごとがあって眠れない……」という経験がありませんか?
睡眠とストレスには深い関係があります。
強いストレスが慢性的にかかると、自律神経のバランスが崩れて十分な睡眠がとれなくなり、その結果、体やこころの病気につながってしまいます。
そして、病気になる方が増えれば、生産性の低下や休職者の増加による人材不足などが発生し、企業にとって大きな損失となるでしょう。
また、2022年は長引くコロナ疲れの影響からか、睡眠の質の向上に効果がある飲料や睡眠グッズなど、「睡眠」商品がヒットしており、社会の「睡眠」への関心の高さがうかがえます。
このような状況のなかで、企業は社員の睡眠をサポートするために、なにができるのでしょうか。
睡眠とストレスについて詳しく解説していきます。
睡眠の役割とは
睡眠はこころと体のメンテナンスをする時間です。
私たちは眠っているあいだに、脳内の老廃物を排出したり、記憶の整理をしたりしています。
また、睡眠中は成長ホルモンが分泌されて、筋肉や内臓、骨などの修復を行い、疲労を回復します。
さらには、自律神経のバランスを整えたり、免疫力を上げたりするなど、「睡眠」は私たちが健康を維持するうえで重要な役割を担っています。
ストレスが睡眠に与える影響とは
慢性的な強いストレスは、自律神経のバランスを乱して睡眠の質を悪化させます。
自律神経とは、内臓や代謝などの体の機能をコントロールする神経です。
この自律神経は、日中に優位となる交感神経(活動モード)と、夜間に優位となる副交感神経(休息モード)の2つがバランスを取りながら働いています。
しかし、ストレスによって自律神経のバランスが乱れると、交感神経が優位な状態が続くため、夜に眠れなくなり、脳や体が休んだり、メンテナンスしたりできなくなっていきます。
その状態を放置すれば、心筋梗塞や脳梗塞、情緒不安定や抑うつ状態などを引き起こしてしまうでしょう。
働く人の睡眠の状況
働く人の睡眠の状況から、睡眠の重要性を見ていきましょう。
睡眠の質で何らかの問題を感じている人は約70%
令和元年度の国民健康・栄養調査では、睡眠の質について調査がされています。
下記の図は、睡眠の質の状況について「この1ヶ月間に,次のようなことが週3回以上ありましたか」という質問の回答(複数回答)をグラフ化したものです。
このように、睡眠の質の状況に上記のような問題を感じていない方は30.9%となっており、それ以外の方は、なんらかの問題があると回答しています。
割合としては、「日中眠気を感じた」が34.8%、「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」が25.7%、「睡眠全体の質に満足できなかった」21.8%の順で割合が高い結果となりました。
ストレスチェックの睡眠の回答状況
ストレスチェックにも睡眠に関する、「よく眠れない」という質問項目があります。
ドクタートラストの2021年のストレスチェック32万人の回答割合は以下のとおりです。
「ほとんどなかった」と答えた人は、46.1%でした。
一方で、「ときどきあった」「しばしばあった」「ほとんどいつもあった」と答えた人は、頻度に差はあるもののよく眠れないことがあった人で、53.9%となりました。
つまり、睡眠についてなんらかの悩みを抱える人は半数を超えており、企業として睡眠への対策が重要であることを示しています。
会社としてできる対策とは?
このように、睡眠とストレスは密接に関連しています。
睡眠不足は病気を引き起こし、生産性にも大きな影響を及ぼすため、会社の損失につながってしまいます。
では、会社としてどのような対策を行えばよいのでしょうか。
ストレスチェックから状況を把握する
ストレスチェックの回答状況から、社員の睡眠状態を把握しましょう。
設問に対する回答の状況を全国平均と比較して、企業の睡眠状況を理解することが対策への第一歩です。
また、現在ドクタートラストでは、通常のストレスチェックに「健康関連質問」を6問無料で追加できます。
① ここ1カ月間、あなたの1日の平均睡眠時間はどのくらいでしたか。
② 寝る前1時間以内にスマホもしくはPC操作を行うことがありますか。(動画視聴、SNSなど)
③ 1週間に何日くらいお酒を飲みますか。
④ たばこを吸いますか。
⑤ この1年間で体重の変化はありましたか。
⑥ 最もパフォーマンス(生産性)が高い時間帯は次のうちどれですか。
この6問を追加することで、より詳細に睡眠の状況を把握できます。
例えば、「寝る前にスマホ操作をする人が多い」「飲酒する人が多い」など、睡眠に影響を及ぼす生活習慣についてもわかるので、社員の睡眠の質を向上させる一助となるでしょう。
セルフケアセミナー
睡眠には、生活習慣が大きく影響しているため、自宅での過ごしかたも重要です。
そこで、セミナーを実施して飲酒や喫煙、運動、寝る前の状況など、どのような生活を送れば睡眠の質を向上させられるかを、広く社員に伝えましょう。
睡眠状況の改善には一人ひとりのセルフケアへの取り組みが大切です。
睡眠カウンセリング
睡眠に課題がある方や交替勤務をされている方などを中心に、保健師などの医療職が睡眠カウンセリングを行っている企業も多くあります。
一人ひとりの生活状況に合わせてアドバイスを行えるのと、医療職視点でのフィードバックを企業が得られるメリットがあります。
まとめ
「生活習慣の改善」と言うと、食事や運動に着目されがちですが、睡眠も重要です。
睡眠の質の向上は組織の生産性を向上させます。
ドクタートラストでは、ストレスチェックのフィードバックはもちろん、医療職による睡眠に関するセミナーやカウンセリングなどもトータルでサポートしています。
ぜひ、社員の睡眠状況などでお困りの際は一度ご相談ください!
<参考>
厚生労働省「働く女性の健康応援サイト」
厚生労働省「国民健康栄養調査」
執筆者

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【保有資格】保健師/看護師/公認心理師/第一種衛生管理者/人間ドック健診情報管理指導士/産業カウンセラー/上級心理カウンセラー
【コメント】ドクタートラスト創業初期メンバーの一人。保健師や公認心理師の目線を活かしてコンサルタント・研修講師として活動中。ストレスチェックは、個人だけのためのものでなく組織の成長や生産性向上に欠かせない重要なツールです。みなさまが思う目指す職場像に近づけるよう、役立つ情報をわかりやすく発信していきます。
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