職場環境最優良法人2021

【回答者数101人以下部門】
GCストーリー株式会社さま

ドクタートラストのストレスチェックサービスでは、集団分析結果をもとに、職場の雰囲気を数値化した独自指標「TRUSTY SCORE」(職場環境指数)を算出、上位法人を職場環境優良法人として表彰しています。
今回は、2021年度ストレスチェックにおいて、職場環境優良法人(回答者数100名以下部門)1位の栄冠に輝いたGCストーリー株式会社の阿南明日香さま(事業推進部 人事・労務)から、コミュニケーションにかかわるさまざまな独自施策を教えていただきました。

ドクタートラスト担当の田野から記念の盾を贈呈!

最初に、GCストーリーさまの社風を教えてください


当社が一番大事にしている考え方で、創業以来ぶれていないのが「貢献のための成長」という価値観です。「一人ひとりの本質的な幸せって何だろう」という問いかけ、私達は「パーソナルミッション」と呼んでいるのですが、「個々人が貢献の範囲を広げることで本質的な幸せにつながる、だから貢献のために成長していく」が根底にあり、事業活動を通して、あるいはマインドプログラムという研修制度などを活用して、会社として人間的成長をサポートしています。
貢献のために成長できる人材を、事業や研修、それに日常の対話など多角度から育成していくところを大事にしたのが社風であると思っています。
自己成長だけでなく、自分を含んだ周囲のための成長を大事にしている人たち、またその価値観に共感した人たちがメンバーとして入ってきているのが私達の信頼関係のベースになっています。ですので、採用面接では、価値観がマッチするかどうかを重視し、対話を重ねるようにしています。

同じ価値観をもったメンバーが集まっておられるのですね


心底、「貢献のために成長したい」と思っても、その生き方を体現するのは決して容易ではありません。たくさんの葛藤が生まれますし、そのエゴにまみれて苦しくもなり、「自分はここにいてはいけないのではないか」と嘆く若手社員もいるほどです。
ただ、こうした葛藤も含めたプロセスは、先輩社員である私たちが歩んできた道であり、その先に幸せな成長があると実体験を通して信じることができるので、みんなで温かく見守るようにしています。

GCストーリーさんは、主力の看板事業や、そこから派生事業などのほかに「組織デザイン事業」にも携わっておられます。どういった経緯で始めたのでしょうか


働く人の本質的な幸せと、人生の本質的な幸せが同義であるという考えのもと、社内向けに行ってきたオリジナルの取り組みが、ようやく集大成としてまとまりつつあります。すると、いろんなご縁でつながりができた他社さんから「どうしたらGCストーリーのような組織、チームを作れますか」とご相談いただくことが増えてきたのです。最近では、新型コロナで新たに生まれた課題「コミュニケーションロス」解決のために何か参考になることはないかと尋ねられることも多く、オリジナルの研修でニーズがある部分を社外向けに提供しています。
このうち特に機能しているのが、自社で独自に開発した360度のアンケートシステム「TeamInsight(チームインサイト)」です。
具体的には、自分を含む組織のメンバー同士でアンケートを行い、結果から自己認識と他者認識を把握し、個人の自己成長を促進する効果と、メンバー、チーム、組織全体などのあらゆるレイヤーの課題を発見分析することができます。
自律度だけでなく、自己受容、俯瞰力、心理的安全性の状態など、「今どういう状態で、周りからはどう見えているか」、心身は充実しているか、など、客観的かつ多面的なアセスメントを行うことができます。

チームインサイトの評価結果と、ドクタートラストさんで実施いただいているストレスチェックの結果を掛け合わせ、結果にもとづくレポート作成とレビューを実施、そのうえで、今の組織に課題があるのか、あるとするならば、どこが重点課題であるのか、どういった施策を打つべきかを私たち人事から提案し、マインドプログラムに組み込むようにしています。

ほかにどういった施策を行っていますか?


コミュニケーション施策の観点では、定期イベント「おむすびの会」が大きいかもしれません。これはグループ単位でおむすびを食べながら、現在の自分について、喜びや葛藤を全員がフラットに、こころを開いて語り合う場です。社長や役員も、皆に混ざって語り合います。
また、毎回数名が「貢献のための成長をするために決意していること」を全員の前で表明し、全員が真剣に耳を傾け、応援しあう時間も設けています。
コロナ期間中もオンラインで実施、開催回数は100を超えています。仕事のどのような成果にコミットするかを決意表明する人が多いのですが、「絶対この型でなくては駄目」といったフォーマットは決めていません。

ここまで「葛藤」といったワードも出てきていますが、意識の高い方に囲まれている中で、「やっぱり自分は……」と落ち込む方もおられた場合はどのように手当をされていますか?


極論をいえば「自己回復力」を高めることが重要と思っています。もちろん、この自己回復力を高めるためのサポートは会社として行っています。
代表的な施策としてはメンター制度を導入しており、社員の半数強が利用しています。入社後3年目までは制度利用は必須、それ以降は選択できるようにし、ある程度、本質の核をつく対話やフィードバックが得意な人を、人事でメンターとして選任しています。

「おむすびの会」にしても「メンター制度」にしても、多様な対話の場を設けていますね


コミュニケーションチャネルは、なるべく増やすように考えてはいますが、それでもある程度は「自律型組織」を目指しているため、1人の人間として自立して、各々の「貢献のための成長」のストーリーを自分の力で歩むことを大事にしたいと思っています。
また、コミュニケーションチャネルの活用状況には個人ごとにグラデーションがあり、活用しているチャネルは少ないながらも、限られたコミュニケーションチャネルが非常に強固なつながりの場合もあります。一方では、そもそもコミュニケーションに苦手意識があり、チャネルを積極的に増やす行動をとりにくい人もいます。その人の成長プロセスの過程だと判断できるときは、無理やりコミュニケーションチャネルを増やさせることはせず、本人の自主性とタイミングを尊重するサポートも大切にしています。
ただ、本当の心の状態といいますか、心のうちに抱えている葛藤を誰も知らない、といった状態は作らないようにしてます。

このほかの特徴的なコミュニケーション施策としては役員も含めて全員が参加する1泊2日の全社研修があります。現在の組織課題や、GCストーリーのあり方、どのようにして会社をよくしていくかなどを、おでこを突き合わせるくらい真剣に、フラットに共に考え、話し合う場にしています。

話は少し戻ります。先ほどもお話に出てきましたストレスチェックにつきまして、集団分析結果も活用されていますか?


ストレスチェックの集団分析結果は大いに参考にさせていただき、助かっています。今年は結果が非常に良好だったのでそこまで深追いはしていないのですが、昨年は、集団分析結果に人事からのコメントを載せて、会社の経営判断を行う役員と経営ボード層に共有、今後どうしていくか話し合いをしました。やはり科学的根拠に基づいたデータは一定の信憑性がありますし、納得感も高いです。
私達が強みにしてるはずのところが、「改善すべき項目」として出てきた場合は、何がうまくいっていなかったのか、働いてるみんなの期待と違っているところをどうやって埋めるかなど、若手社員にヒアリングしました。そのうえで、パーソナルミッションの見直し研修や、全社研修の実施などに落とし込みました。
また、改善すべき項目については、みんなで話し合って決める項目から、制度として実施する項目まで、重要度を分類するなどもしています。事業部別の集団分析結果も、課題として出てきた項目がどのようにしたら改善できるかなど、やはり同様にフィードバックしています。

ありがとうございます。独自の取り組みが多く、大変興味深かったです。最後に、今後目指していく姿を教えてください。


これはあくまで私の考えですが、私達の存在意義は、幸せに働く人を増やすことにあると考えています。願いとしては、会社の枠を飛び越えて、さまざまな企業やコミュニティの方たちと、本質的に幸せな働き方、つまり「ほんとうに幸せな生き方」が何なのかをたくさん語り合って、さまざまな偶発性や創発性を生み出しながら、共感性を高め、最終的には社会全体でお互いに成長や発展を支援するムーブメントを作っていきたいと考えています。

GCストーリー株式会社
ビジョン「収益・事業の発展と、幸せな組織づくりを同時に実現することで、世界のモデルになる」を掲げ、看板広告をメインに、お客様の課題を解決するプロジェクトマネジメント、施工管理の知見を活かし、2015年から再生可能エネルギーに関わる事業を開始し、従業員も含めステークホルダー全体を幸せにする事業を展開している。
社員の自律を目的にマネージャー制度の撤廃など、特徴的な組織文化を持ち、他社の組織支援を実施する組織デザイン事業も現在拡大中。
公式サイト:https://gc-story.com/