職場環境最優良法人2021
【回答者数501人〜1,000人部門】
ノボ ノルディスク ファーマ株式会社さま
ドクタートラストのストレスチェックサービスでは、集団分析結果をもとに、職場の雰囲気を数値化した独自指標「TRUSTY SCORE」(職場環境指数)を算出、上位法人を職場環境優良法人として表彰しています。
今回は、2021年度ストレスチェックにおいて、職場環境優良法人(回答者数501名以上1,000名以下部門)1位の栄冠に輝いたノボ ノルディスク ファーマ株式会社の原田学さま(人事本部 本部長)、鶴井俊孝さま(人事本部 エンプロイー リレーションズ マネジャー)、豊島那美さま(保健師、ドクタートラストがご紹介)からメンタルヘルスやコミュニケーションへのお取り組み状況を伺いました。(掲載内容は2022年7月取材時点の情報です)
ノボ ノルディスク ファーマの原田学さまにドクタートラストから記念の盾を贈呈!
ノボ ノルディスク ファーマさまの社風を教えてください
鶴井さま:弊社は、1923年にデンマークを本拠として創業したグローバルヘルスケアカンパニーで、日本法人は1980年に創業しました。
グローバル全体でパーパス「変革を推進し、糖尿病やその他の深刻な慢性疾患を克服する」を掲げ、パーパスを推進していくための行動指針「ノボ ノルディスク ウェイ」を策定しています。さらに、「ノボ ノルディスク ウェイ」の実践方法を10の明確に定義されたステートメント(エッセンシャルズ)にまとめています。エッセンシャルズには「患者さん中心のビジネスアプローチをとることによって価値を創造します」や「ステークホルダーの利益となるイノベーションを提供します」などに加えて「全ての人々を尊重します」、「健全で魅力的な職場環境を整えます」が定められており、これらに基づいてメンタルヘルス関連の様々な取り組みを行ったことが、ストレスチェックの好結果につながっていると考えています。入社時には「ノボ ノルディスク ウェイ」の冊子が配布され、各社員が自分事として咀嚼し、日々の業務で活かしている点が特徴で、実際に私もかなり使い込んでいます。
パーパスや指針を定める企業さんは多いと思いますが、これらを「自分事」としてとらえるのは、意外に難易度が高いのではないでしょうか
鶴井さま:たとえば大きな会議体や研修の折には、始まりや終わりなどに、研修の目的・意義が「ノボ ノルディスク ウェイ」の指針とどう関連しているかを説明するなど、事あるごとに社内に根付かせるような機会を設けています。また上司と部下の1on1ミーティングでも、「ノボ ノルディスク ウェイ」の考え方に触れながら話をしています。仕事で判断に迷ったときに立ち返る原点、自信を持って行動するうえでの「道しるべ」というべき存在です。
「研修」という言葉が出てきました。今回、ノボ ノルディスク ファーマさまにお話を伺った契機は、ストレスチェックで「TRUSTY SCORE」が非常によかったことによりますが、御社ではメンタルヘルス対策やコミュニケーション施策は、どのように進めておられますか
鶴井さま:メンタルヘルス対策やコミュニケーション活性化はまさにここ数年、コロナ禍が始まって一層大事になってきているところかなと思っています。なぜかと言いますと、対面でのコミュニケーションの機会が激減するとともに、仕事の進め方自体も大きく変わってしまったためです。本社部門がリモートワークになったのはもちろんですが、営業担当であるMR(医薬情報担当者)が今までのように医療施設に赴いて先生と直接お会いすることができなくなり、代わりにオンライン面談や、リモートツールを活用したプロモーションの推進など、仕事のやり方が大きく変わりました。
こうした中で、悩みや不安を抱えている者も多く、リモート環境下でコミュニケーションの機会確保は大事なポイントだと思っており、ハード面、ソフト面両方からのアプローチに取り組んでいます。
まずハード面としては、コミュニケーションのためのインフラ整備があげられます。弊社ではMicrosoft社の「Teams(チームズ)」を導入し、オンラインミーティング実施や、チャット機能の活用を行っています。それから同じくMicrosoft社のツールに「Yammer(ヤマー)」という社内SNSがありまして、全社に向けて、あるいは部署単位などでグループを作って投稿しています。全社向けのヤマ―では社長からのメッセージもあれば、弊社の農園での野菜の生育状況など、硬軟織り交ぜたコミュニケーションが展開され、社内が活性化された側面もあったとみています。
こうしたツールは業務以外の面、それこそ雑談的なコミュニケーションにも活用されているものでしょうか
鶴井さま:私たちの人事本部ですと、チームズのなかに「雑談部屋」や「写真館」を作っています。雑談部屋は、気になったことについて「知ってる人コメントください」でも、「週末に○○行きました」でもいいですし、「写真館」には、カメラが趣味の原田が湘南の海の写真などを投稿しています(笑)。
今、在宅勤務のお話がありましたが、ノボ ノルディスク ファーマさまでは現在、どのような働き方を導入されていますか
鶴井さま:弊社では在宅勤務を導入しており、日数制限は特段設けていません(2022年7月現在)。社員の自主性を尊重すべく、自分が一番パフォーマンスを発揮できる、一番効率よく働けるのはどこなのかを考えてもらい、上司と相談しながら、勤務場所を決めてもらっています。
原田さま:これまで出社が当たり前だったところから、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って在宅勤務が急速に広がりました。最初の1年目は、ストレス状況ですとか、情報がちゃんと届いているか、コミュニケーション状況などの調査を定期的に行っていたのですが、「出社は制限しましょう」、「ミーティングは●人までにしてください」など会社側から発せられるフォーマルな情報はしっかり届いている一方で、「インフォーマルな情報が急になくなりました」といった声が数多く聞かれたことから、できるだけインフォーマルなコミュニケーションができるような場を意識的に作るようにしました。
もっとも、会社としてはプラットフォームを用意するに留め、あとは自由に活用してもらっており、先ほど話にありました人事本部の「雑談部屋」も私が作ったわけではなく、部員が作成したものです。ヤマ―のなかには社員同士が「ありがとう」を言い合うコミュニティ「Thank You Message Board」があるのですが、これはコロナ禍にノボ ノルディスク ファーマが創業40周年を迎えたことを記念して立ち上げたものです。トップダウン、ボトムアップがうまくかみ合っていると言えるでしょう。
ここでも社員の自主性が尊重されていますね
鶴井さま:ハード面でもう一つ特徴的な施策を挙げるとすれば、「ポイントプログラム」の導入です。もともと弊社には社員旅行制度があったのですが、コロナ禍で一旦中止になってしまったため、その代替として導入しました。福利厚生の会社と連携して特設サイトを開設し、バランスボールやランニングシューズ、ウェアといった「健康増進に資するようなグッズ」、PCのマウスやキーボード、椅子など「リモートでの就業環境を整えるためのグッズ」を提供し、あらかじめ付与した2万円相当のポイントで選んでいただく仕組みです。
人事本部 エンプロイー リレーションズ マネジャー 鶴井俊孝さま
自身の健康のために会社から助成が出ているということですね。社員の皆さん、大変喜んでおられそうです
鶴井さま:一方で、コミュニケーションの促進、いきいき働くためにはソフト面の対応も非常に重要で、特に上司と部下が頻度高く質の高いコミュニケーションが取れる環境整備は欠かせません。そのために、昨年の春先には全管理職を対象に「心理的安全性」と「ウェルビーイング」をテーマにした研修を実施しました。心理的安全性は、上司が部下にとって話しやすい存在であることや、傾聴のスキルなど。さらにウェルビーイングの研修では、在宅勤務で部下の様子が見えにくくなっているからこそ、「部下のちょっとした変化に気づく」ことや「特定のメンバーに仕事が偏っていないか」、あるいは「仕事で困りごとがないか、悩んでいないか、きちんと気にかけて密にコミュニケーションを取っていきましょう」といった内容を展開しました。
また、先ほどコロナ禍で社員旅行を一旦中止にしましたとお話ししましたが、落ち着いたら再開する予定です。やはり直に顔を合わせて、しかも仕事を離れたところでわいわいやるのが、社員の一体感の醸成ですとか、距離を縮めるとか、いろんなプラスの効果がありますし、何よりも復活を望む声が多いのです。
プライベートだからこそ知らない一面が知れそうです
鶴井さま:まさにおっしゃるとおりで、仕事以外のつながりができると「この人はこういう面があるんだ、こういう魅力もあるんだ」とわかってきて、それがまた仕事をする上でプラスに働きます。いい仕組みですし、大事にしなくてはならないと思います。
原田さま:「旅行は年配の人ばかり楽しんで、若手はあまり気が進まずに参加しているかな?」と思ったら、意外に若手が楽しみにしています。上司のいろんな面を見られるのも楽しいようです。
今回は保健師の豊島さまにも同席いただいていますが、どのように保健師は関与されているのでしょうか
鶴井さま:ソフト面の最後にお話ししたいのが、保健師によるケアです。ドクタートラストから派遣いただいている豊島保健師に、専門的な側面からきめ細かいケアを一人ひとりの社員にしっかり行っていただており、社員のメンタルヘルス維持、向上につながっていると思います。
豊島さま:ノボ ノルディスク ファーマさまでは、私も働きやすい環境をいただいています。というのも個別への介入から集団への介入への目線と、不調やトラブルを普通の状態に持っていく段階、普通からさらに健康増進に持っていく段階、すべてを網羅できる活動の機会を日々の業務でいただいているのです。個別の介入で言いますと、一人ひとりの面談時間を業務時間内でいただけていますし、集団への介入としては、社内イントラページで健康に関する発信ができる場をいただき、毎月1回、健康情報を提供しています。このほか衛生委員会にも参加し、資料を作成させていただいています。
このように、さまざまな場が用意されているので、常に必要なことを直接お伝えできています。加えて、年に一度開催される「ノボヘルスウィーク」では、講話ですとか、健康ブースで普段お会いできない社員の皆さまとお話する機会をいただいている状況です。当たり前のように必要なことをすべて実践できる場をいただけるのは、こちらの会社のすごいことだなと感じています。
豊島さまの仰った「ノボヘルスウィーク」とはなんでしょうか!
鶴井さま:ノボヘルスウィークは特徴的な取り組みの一つでして、毎年5月の1週間を健康増進週間として「毎日30分の運動」「毎日6ピースの野菜・果物の摂取」「毎日10分のメンタルヘルスを心掛ける時間」をグローバルで統一展開しています。
あわせて日本ローカルでも独自の施策を行おうと考えまして、今年はちょうど「ノボヘルスウィーク」の期間に全社会議を行うことが決まっていましたので、会場のホワイエにランニングマシーンを3台設置したところ、100人以上の社員が参加し、大盛況でした。ヘルスケア産業ですので、自分自身の健康意識が高い社員が多いとは思うのですが、嬉しい驚きでした。ランニングマシーンの横には血圧測定器を設置し、こちらは豊島保健師に担当いただき、同様に大人気でした。
組織も、またそこで働かれている方も健康意識が高い様子がうかがえます。ノボ ノルディスク ファーマさまでは、昨年度からドクタートラストのストレスチェックサービスをご利用くださっていますが、何かご感想はありますでしょうか
鶴井さま:まずドクタートラストのストレスチェックサービス選んだポイントなのですが、ストレスチェック制度自体は国が実施を義務づけており、設問内容も決まっているものですので、あとはそれぞれの会社さんがどういう特色を出して運用していらっしゃるかが選ぶポイントだと思います。
私たちがドクタートラストさんのお話を伺っていいなと思ったのは、社員がアクセスしたときの実際の回答画面が使いやすい作りになっているのが一つ、それから受検後の結果レポートの構成などが非常にわかりやすいところもポイントでした。ストレスチェックのようなサーベイは回答率をいかに上げるか、あとは結果をいかにフォローアップしていくかが大事なところでして、その点からドクタートラストさんの仕組みは非常に使いやすかった印象です。
さらに特徴的なのは、独自の分析軸をお持ちということ。今回表彰の対象になった「TRUSTY SCORE」についても、STELLA(ステラ)などストレス耐性が強い方の抽出も魅力に感じています。まだ利用一年目で使いきれていないところがありますので、今後の課題として一緒に取り組ませていただきたいと思っています。
あともう一つ、メリットとして挙げるなら受検結果に応じてフォローアップの保健師面談、産業医面談につなげていく必要があるのですが、ストレスチェックをドクタートラストで実施いただき、かつ産業医も保健師も御社から派遣いただいているということで、そこの連携が非常にスムーズにできるとこも大きなメリットではないでしょうか。
ありがとうございます。集団分析はどのように活用されていますか
鶴井さま:集団分析結果については、全社の数値も含めて部署ごとのフォローを行っています。部署単位でレポートを出していただきましたので、役員と部門担当人事が連携して結果に基づいて「ここに少し課題がありそうだから、改善に向けて施策を検討していこうか」といったディスカッションがされております。
最後に今後目指していく姿を教示ください
鶴井さま:先ほどもお話ししましたが、弊社はヘルスケア産業の一翼を担う企業として、社外に価値を提供し続けていく使命があると考えています。その使命を果たしていくためには、社員の健康が前提ですし、社員にとって働きやすい職場、働き甲斐のある職場を作ることが欠かせません。今後おそらく課題になるのは、ニューノーマルとよく言いますけど、コロナが落ち着いた環境でどのような働き方をしていくのが社員にとっていいのかというところです。先ほどお話しした「自主性を尊重して」を一つの軸に、働き方のバランスなどについても議論を続けていく必要があると思っています。
冒頭に戻りますが、2023年に弊社はグローバルで創業100周年を迎えます。これを一つの節目として、より一層盛り上げていきたいです。
ノボ ノルディスク ファーマ株式会社
1980年設立。1923年創立のデンマークに本社を置く世界有数のヘルスケア企業の日本法人。変革を推進し、糖尿病および肥満症、希少血液疾患、希少内分泌疾患などのその他の深刻な慢性疾患を克服することをパーパスとし、その目的達成に向け、科学的革新を見出し、医薬品へのアクセスを拡大するとともに、病気の予防ならびに最終的には根治を目指して取り組んでいる。
公式サイト:http://www.novonordisk.co.jp/