職場環境最優良法人2022

【回答者数50人未満部門】
株式会社ノンバーバルさま

ドクタートラストのストレスチェックサービスでは、集団分析結果をもとに、職場の雰囲気を数値化した独自指標「TRUSTY SCORE」(職場環境指数)を算出、上位法人を職場環境優良法人として表彰しています。
今回は、2022年度ストレスチェックにおいて、職場環境優良法人(回答者数50人未満部門)を受賞した株式会社ノンバーバルの冨士武徳さま(代表取締役)、光山季美恵さま(取締役)に、健康経営へのお取り組み状況やストレスチェックの活用方法などを伺いました。

ノンバーバルさまの社風を教えてください


光山さま:本当に「自由」な社風です。他社さんから見たら「美容師さんですか?」と言われるぐらいみんなの髪色がバラバラで、服装も特に縛りがありません。
これは私たちが、自分自身が無理していると感じる服装や髪型で出社されても仕事で能力を発揮できないと考えているためです。より自分らしさを発揮できる「そのままの姿で来ていただく」という考えが根本にあります。

「外見の自由」もあると思うのですが、社内での人と人のやり取りはいかがですか?


光山さま:かなり自由度が高いと思います。弊社は従業員数10名の会社で、先輩後輩関係なく仲良く話せる雰囲気があります。
また、仕事に支障をきたさなければ副業も行ってよいこととしています。

冨士さま:なかには同業他社で働いているスタッフもいます(笑)。
ある程度の条件は設けていますが、やりたいことをやって吸収して勉強できればいいのではないかなと思っています。

(左から)代表取締役 冨士武徳さま、取締役 光山季美恵さま

ノンバーバルさまは健康経営優良法人(ブライト500)を取得されていて、健康経営に力を入れているとお見受けします。こうした取り組み始めた理由は何かあったのでしょうか?


冨士さま:そもそも広告・デザイン業界というのは、「働く環境」に対してとても課題のある業界だと思っています。デザインのクオリティをどれだけでも上げていくことができてしまうことから、仕事のゴール設定が難しいのです。その結果、長時間労働の常態化につながっていました。
一方で、健康でなければ仕事の充実は難しいと感じており、私たちの会社からデザイナーや広告業界の働きかたについて、健康面を含めて改善していこうと考えていました。
ちょうど社会的にも「健康経営」という言葉が出始めたことから、「私達も取り組んでいけたらいいな」とスタートしたのが最初です。

広告・デザイン業界だと、働き方に対して注力している企業はまだ少ないのでしょうか?


光山さま:「こうしたい!」と思っていても実現できない状況を、なかなか打破できていません。
クライアントさまとのやり取りや仕事の分量を考えると、普通の仕事のように「17時になったので帰りましょう」とは言いづらく、働きすぎによる疲労やストレスを1人で抱えてしまうことが多いのです。
私自身、過去には本当にしんどくてトイレでこっそり寝たなんてこともあります。
こうした経験を、冨士も私も重ねてきたことから、「ここが駄目だったな」とか「もっとこうだったらよかったな」という意見をできるだけ取り入れ、施策を考えています。

業界で働いてきた経験から施策を考えているのですね。具体的にどんな取り組みをされていますか?


冨士さま:従業員が、休憩とは別に2、30分程度の睡眠時間を自由にとれるようにしています。
光山が申したとおり、仕事中に眠たくなることはどうしてもあるので、隠れてではなく、社内で堂々と寝られるようにしました。睡眠をとる時間帯はそれぞれ選ぶことができ、昼食後にとる人が多いのですが、夕方にとる人もいます。必要でなければ利用しなくても構いません。

変わった取り組みとしては、エコ通勤手当があります。自転車や歩いて通勤できる場合には、その手当を支給するもので、エコや健康につながっていく仕組み作りを行っています。

このほかには、フレックス出勤も取り入れています。
私たちは、基本的に10時~19時の勤務なのですが、1日8時間の労働時間を守れば、自由に出勤時間を決められます。理由があれば、当日でも申告なしで利用できます。


オフィス風景

働き方の柔軟性を感じました。取り組みを社内に根付かせて継続させていくために意識していることはありますか?


冨士さま:上が動かなければ下はやはり動きにくいので、上司が積極的に制度を使う姿勢を示し、従業員が活用しやすい環境を作っていくことを意識しています。

また、私自身「絶対に取り組みを継続しないといけない」とは考えておらず、良い意味での「曖昧さ」が必要だと思っています。制度の利用を強いれば、それ自体がストレスにつながる可能性があるためです。
「曖昧なものを曖昧に作り上げていく」のは難しいのですが、ちょうどいいバランスで進めていければ、従業員が「いいな」と思ったものが自然と習慣化し、社内に根付いていきます。
もちろん、ゆるすぎても意味がなくなってしまうので、仕組みを構築しつつも、やる、やらないは自主性を持って決めていくことが大切なのではないでしょうか。

先ほど「仲良く話せる雰囲気」に言及されていました。コミュニケーション活性化のために取り組んでいる施策はありますか?


冨士さま:制度としては、グループフィードバックがあります。仕事に関して良かったこと、改善できること、そしてこれからどうしていくべきなのかを上司を交えて話し合います。

また、新しい社員が入るタイミングでは、ランチ代を会社側から提供し、皆で食事に行ってもらっています。
メリットとして、普段とは違うコミュニケーションがとれ、プライベートな話もできるので、社内では言いづらかったことも喋りやすくなります。
ちなみに、この企画では、ゲーム性をだすためにランチで喋ってきてもらうお題を渡します。ただし、そのお題について話すか話さないかは、お任せしています。

話さなくてもいいんですか!(笑)


光山さま:お題は、「喋りにくいな……」と思ったときに、会話の糸口になるように渡しています。

冨士さま:夜はわたしがご飯に連れていくこともあります。社員で飲みにいく、いわゆる「飲みニケーション」と呼ばれるような、昔のやりかたでの対人関係の構築が必要だと思っています。
対面でのコミュニケーションをできる限りとっていくことを大事にしています。

こうしたお取組を進めていくなかで、健康経営優良法人(ブライト500)を取得したきっかけを教えてください


光山さま:健康経営優良法人の取得は、お付き合いしている会社さんの方からおススメしていただいたのですが、最初は私たちも名前を聞くのが初めてで、実際にどういうメリットがあるのかもわかりませんでした。
ただ、認定要件のなかにエコ通勤や就業時間中の睡眠など、今までの取り組みでカバーできる項目があったので、「じゃあ取得してみようか」という簡単なノリから始まりました。

先ほど申し上げたように、業界全体で長時間労働の問題があったので、解決に向けて「きちんと進めていかないといけないな」と思ったのも大きなきっかけです。

御社は実施の義務がないなかでストレスチェックを導入されていますが、健康優良法人の取得が契機になっているのでしょうか


光山さま:健康経営優良法人の取得にあたり、ストレスチェック実施は必須になると教えていただいたので導入しました。いろんな会社さんを調べたところ、ドクタートラストさんのサービスは導入がしやすく、料金体系もわかりやすかったので、すぐに連絡させていただきました。

ありがとうございます!ストレスチェックの結果から明らかになった課題はありましたか?


光山さま: やはり長時間労働による疲労は永遠の課題です。なかには、仕事が好きで長時間働いている場合もあるかもしれませんが、帰りたくても帰れない状況はとても苦痛だと思うので、このバランスをとっていかに課題を解決していくべきかを常々考えています。
ストレスチェックではこうした結果が数字として見られるのですごくありがたいです。

冨士さま:私たちは「早く帰りや」など、声をかけるようにはしているものの、言われ過ぎてもストレスになってしまいます。それぞれのタイミングがあるので、「ちょうどいい声かけ」には、ものすごく神経を使っています。

光山さま:本当は自由に自分のタイミングで、夜がいいなら夜にやってもらってもいいのですが、会社的には難しいですよね。

特にクライアントさまがいるお仕事だと夜だけで完結させるのは難しいですよね


冨士さま:私はクライアントさまの協力も必要だと考えています。
クライアントさまによっては、「明日までに」というような依頼があり、どうしてもこれが従業員の残業につながります。
ですので、クライアントさまに、ゆとりを持ったスケジュールを出してもらうように協力いただき、そのなかで進めさせていただいています。そうすれば、私たちも就業時間内で仕事を終え、翌日に向けた体制をとっていくことができるのではないかなと思っています。
ただ、これを突き詰めていくと、「利益をあきらめる」という側面が出てきます。
極端な話をすれば、売り上げの追及は従業員の疲弊につながりますので、「売り上げを多くしよう」という発想から、「スタッフの幸福度をいかに上げられるか」という考えにシフトしています。

さいごにノンバーバルさまのこれからの展望を教えていただけますか


光山さま:もうすぐ産休間近のスタッフがいます。私たちの仕事は技術職なので、休んでいる間に「後輩に追い抜かされるのでは」とか、「自分のクライアントさんが離れてしまうかもしれない」とか、いろいろな葛藤を抱えがちです。この点をみんなでカバーして「帰れる場所がある」と思ってもらえる社内の雰囲気や制度を整えなければいけないと感じています。

冨士さま: 一人ひとりに寄り添いながら、それを束ねていくことで「優しく強い組織」にしたいというわたしの信念があります。
たとえば、光山が挙げたように、女性のライフイベント後の復帰の難しさが社会問題としてありますが、リモートワークなども含めて、どのように組織と離別しない仕事環境を私たちが整えていけるかを考えたいです。
もちろん性別にかかわらず、いったん現場を離れても戻ってこられる、そして組織から離れずに仕事ができる、そういった会社であることをもっと強く目指していきます。

株式会社ノンバーバル
2010年設立。東京・大阪のブランディングデザインの専門会社。健康経営に力を入れており、2021年、2022年ともに健康経営優良法人ブライト500に選ばれている。
公式サイト:https://www.nonverbal.co.jp/