職場環境最優良法人2023

【回答者数1,001人以上部門】
福島県警察さま

ドクタートラストのストレスチェックサービスでは、集団分析結果をもとに、職場の雰囲気を数値化した独自指標「TRUSTY SCORE」(職場環境指数)を算出、上位法人を職場環境優良法人として表彰しています。
今回は、2023年度のストレスチェックにおいて、職場環境優良法人(1,001名以上部門)を受賞した福島県警察の遠藤克紀さま(警務部参事兼厚生課長)、横山智美さま(警務部厚生課専門保健技師兼健康管理第二係長)に、メンタルヘルス対策やコミュニケーションの活性化への取り組みについてお話を伺いました。

ドクタートラスト担当の根本から福島県警察の遠藤克紀さま(警務部参事兼厚生課長)へ記念の盾を贈呈!

最初に福島県警察さまの組織概要を教えてください


福島県警察は、警察官約3,500人、警察行政職員約500人の合計約4,000人の職員が、「課」や「隊」といわれる36の本部所属と22の警察署に勤務し、「福島を支える力強い警察」を基本姿勢として、日夜、県民の安全と安心の確保に取り組んでいます。また、2011年に発生した「東日本大震災」以降は、全国警察から応援派遣された警察官の力を借りながら、福島県の復旧・復興を治安面から支えています。

メンタルヘルス対策、コミュニケーション活性化に向けた取り組み内容を伺えますか


メンタルヘルスやストレス対策については、福島県警察では、4月はじまりの年度で1年を回しています。
まず、4月にすべての所属の健康管理担当幹部職員に対して、ストレスや心の病気に関する冊子資料を配布、メンタルヘルス不調に陥る場合、どういった問題点があるのか、またその対策はどういうものが必要かといったメンタルヘルス対策の基本を学んでいただいています。
また、福島県警察のストレスチェックは、人事異動に伴い仕事や生活の環境が大きく変わり、いわゆる5月病が発症しやすいゴールデンウィーク明けに行っています。

あえて5月にストレスチェックを実施されているのですね


行政組織は年度単位で施策を回していきますので、結果を踏まえたフォロー期間を確保できるメリットもあります。
ストレスチェックの個人結果は届き次第、各所属の担当者に配布するように指示を行っており、高ストレス者かつ、精神科専門医との面談を希望する方については、速やかに厚生課のほうに連絡いただくようにお伝えをしています。
さらにストレスチェックの集団分析結果が出ましたら、その結果を活用し、ラインケアを行う職員(前述の健康管理担当幹部職員)を対象に「メンタルヘルスセミナー」を毎年開催しています。このセミナーでは、ストレスチェックの集団分析結果の見方や活用方法について解説を行うほか、前年度の分析結果との比較、所属別の集団分析結果の見方を細かくお伝えするとともに、さらには職場のメンタルヘルスを専門的に研究されている大学教授等に講義をお願いし、幹部職員にメンタルヘルスやその対策等への理解を深めてもらっています。また、厚生課保健技師による、次のような取り組みを実施し、潜在化している心や体の不調やその兆候の早期把握を行っています。

・ 新規採用職員を対象とした心身のセルフケアに関する講義
・ 全警察署を巡回しての採用3年目の職員や健康相談を希望する職員との個別面談
・ 電話、オンライン、対面による心と体に関する各種相談

なお、面談などで何らかの問題を把握した場合は、本人の承諾を得た上で、当該職員の上司や関係部門と情報を共有し、組織的な対応を行うようにしています。
このほか、精神科専門医や福島県立医科大学教授を産業医に委嘱し、職員が心身両面について健康相談できる体制や、県内各地域の精神科医や臨床心理士と契約し、職員がメンタルヘルスに関する悩みなどを無料で相談できる体制も整えています。
つまり、ストレスチェック結果で「自分自身の状況を理解してもらう」、さらに集団分析結果などを活用して「組織的な手当てを行う」という二重の輪の中で対応している状況です。

横山智美さま(警務部厚生課専門保健技師兼健康管理第二係長)

ドクタートラストのストレスチェックは、そうした取り組みでお役に立っていますでしょうか


「TRUSTY SCORE」や「STELLA候補者率」といったドクタートラストの独自のわかりやすい指数が示されることで、自分たちの短所だけでなく長所にも気付くことができ、各所属では、自所属の短所を改善し、長所を伸ばそうとする、職場環境の改善ヘの道筋や意欲の向上につながっていると感じています。

そのほかの取り組みも教えてください


職員の年齢構成や性別に合わせた、「健康教育」にも力を入れており、以下のセミナーなどを毎年開催し、本来の受講対象職員の健康やメンタルヘルス向上に役立ててもらうのはもちろん、異なる性別の職員や幹部職員にもオンラインシステムを活用して一緒に受講してもらうことにより、年齢や性別によって生じる健康問題や立場をお互いに理解しながら業務を行えるように、職員の相互理解を促進しています。

・ 月経・更年期等女性特有の健康課題に関する「女性職員健康セミナー」
・ 男性更年期等男性特有の健康課題に関する「男性職員健康セミナー」
・ 育児中の職員の育児と仕事の両立を支援する「育児メンタル支援セミナー」

こうした健康教育を継続的に行うことにより、メンタルヘルス対策への理解が醸成され、組織の自然治癒力も向上しているものと認識しています。これらの相乗効果により、メンタルヘルス不調の末然防止とメンタルヘルスの保持増進が図られることを期待しています。

こうした取り組みは、福島県警察さま独自の施策になるのでしょうか


過去の状況や他県警察で行っている施策、また、保健技師が各種学会などに参加し、そこで得られた情報などをもとにして、どのような対策を行っていくか、取り組み内容を前年度中に策定しています。
ちなみに保健技師職員は3名在籍、うち1名が育休中のため、2名体制で回しています。
メンタルヘルス対策、健康管理対策に加えて生活習慣病検診の受診計画作成や、受診日程の調整など、実務の部分も担っています。また、昨今は体の健康はもとより、「心の健康」や「健康経営」にも注目が集まっていることから、健康管理の各種対策は、大変重要視され、順次新たな対策を検討・実行しているところです。

最後に職員間のコミュニケーションヘの考え、今後の展望を教えてください


職員が自分自身の健康リテラシーを高め、自立して健康管理ができるようになることが、総合的なメンタルヘルス対策につながると思います。こうした健康リテラシーを高められるよう、組織的に、そして継続的に各種健康教育を充実させていくことが重要であると考えています。
福島県警察職員が健やかに活力に満ちて働くことができる環境を整え、職員のメンタルヘルスを良好に保つことは、職員やその家族にとって重要であるばかりでなく、職員一人ひとりが士気高く、その力を十分に発揮することにつながります。
こうしたことが、ひいては「福島を支える力強い警察」を実現させるものと信じ、福島県警察の健康管理を担う1人として、引き続き総合的なメンタルヘルス対策に取り組んでまいります。

福島県警察
福島県内を管轄区域とする警察組織。「福島を支える力強い警察」を基本姿勢に、福島県内において犯罪捜査や交通指導の取締り、犯罪抑止活動等の各種警察活動に従事している。
公式サイト:https://www.police.pref.fukushima.jp/