職場環境最優良法人2023

【回答者数1,001人以上部門】
群馬県警察さま

ドクタートラストのストレスチェックサービスでは、集団分析結果をもとに、職場の雰囲気を数値化した独自指標「TRUSTY SCORE」(職場環境指数)を算出、上位法人を職場環境優良法人として表彰しています。
今回は、2023年度のストレスチェックにおいて、職場環境優良法人(1,001人以上部門)を受賞した群馬県警察の佐藤明さま(警務部厚生課長)、平岡延英さま(警務部厚生課保健係、臨床心理士・公認心理師)、畠山結衣さま(警務部厚生課保健係、保健師)に、メンタルヘルス対策やコミュニケーションの活性化への取り組みについてお話を伺いました。

ドクタートラスト担当の唐澤から群馬県警察の佐藤明さま(警務部厚生課長)へ記念の盾を贈呈!

まずは群馬県警察さまの風土を教えてください


佐藤さま:警察組織は各都道府県に置かれており、真面目な気風は共通していると思います。ただ、群馬の地域性からいえば、ここ上州は「からっ風と義理人情」が昔から言われているところでして、職員の大半が地元出身者で、さらに他の地域出身者もこの地に住む中で義理人情が培われ、「誰かのために役に立ちたい」という強い想いのもとにチームワークができあがっている組織だと思います。
また群馬県警察は日航機墜落事故という過去に例がないような大規模な事故に携わった経験があります。事故に携わった方々のほとんどはすでに退職されているものの、そのレガシーを今の初任科生や若い職員たちにも引き継ぐべく、警察学校などでOBの人たちに講話いただいています。こうしたところからも県民のために役に立とうとする気質が培われているのではないでしょうか。
伝統を継承する一方で、若い人たちが「この職に就きたい」と希望して入ってくるためにも、働き方改革の観点から組織としての改革も積極的に進めているところです。やはり私生活の面でも充実していないと仕事に打ち込めませんので、公私ともに充実させるための施策を組織全体で行っています。

このうちメンタルヘルスの面ではどのように取り組んでいますか


佐藤さま:メンタルヘルス対策として大きな改革が行われたのは2008年のことです。いくら装備品が充実していたとしても、それを使いこなすのは人間、すなわち職員です。職員の心身の健康管理をきちんと対策していかなければ組織が疲弊しかねないことから、以前から職員の健康管理を担当していた保健師に加え、臨床心理士資格を有する専門職を組織として採用し、職員の健康面の充実を図るようになりました。

佐藤明さま(警務部厚生課長)

早い段階から取り組んでいるのですね。臨床心理士の方と保健師の方はどのように役割を分担されていますか


平岡さま:基本的にはメンタルヘルス対策は私(臨床心理士・公認心理師)、体の病気や健康診断等は複数の保健師(畠山さま等)が担当しています。
メンタルヘルス対策では、職場のメンタルヘルス対策の3つの柱である一次予防(メンタルヘルス不調の未然防止)、二次予防(メンタルヘルス不調の早期発見と適切な対応)、三次予防(職場復帰支援)に基づいて、4つのケア(セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケア)を丁寧に実施することに重点を置いています。
具体的には、警察学校でメンタルヘルスの授業を取り入れているほか、40歳になる人向け、50歳になる人向けと年齢ごとに対象を分けた研修なども行っています。研修では心理学に関するお話とともに、仕事やプライベートで生かしてもらえるよう、コミュニケーションについてもお伝えしています。

研修以外ではどのような取り組みをされていますか


平岡さま:群馬県警察の制度として「ピアサポート」があります。「ピア」は仲間という意味で、上司と部下のような縦のつながりだけではなく、横のつながりで助け合うのが趣旨です。仕事や職場の悩みでも、それ以外のプライベートの悩みでも1人で抱えてしまうと悪循環に陥ってしまいますので、相談できる相手として各職場で「ピアサポーター」を指名しています。そして、ピアサポーターが対応困難な相談を1人で抱え込まないように、私や畠山がピアサポーターをバックアップしています。

平岡延英さま(警務部厚生課保健係、臨床心理士・公認心理師)

組織全体で支えあえる制度があるのですね。続いてストレスチェックについて教えてください


畠山さま:ストレスチェックは、高ストレス者として選定され、なおかつ本人が希望した場合に医師面接を受けていただく制度になっていますが、その前のワンクッションとして、群馬県警察では保健師面接の機会を設けています。保健師面接を通じて、本人が困っていることや職場に望んでいることを丁寧に確認した上で、医師面接につなげています。

高ストレスの方にはどのように声掛けをされているのですか。また、当社のサービスはいかがでしたか


畠山さま:ストレスチェックの受検が終わった時点で、受検画面上に「高ストレスの方は保健師まで連絡ください」の旨が表示されるのが1回目の声掛けになります。また、受検が終わって約1ヶ月のタイミングで、再度メールで案内するようにしています。
群馬県警察では前年度から受検方式を(マークシート受検から)Web受検に切り替えました。マークシート受検ですと、どうしても記入漏れ等が出てしまい、せっかく回答しても判定不能になってしまう職員がいました。Web受検では記入漏れ等がなく、本人にとっても、担当者にとっても良かったと思います。

畠山結衣さま(警務部厚生課保健係、保健師)

集団分析結果はどのように展開されていますか


平岡さま:集団分析結果の説明会をドクタートラストさんに実施してもらったあと、所属単位で職場環境改善に取り組んでもらっています。その際には「自分の所属でできるところから、小さなことからでも始めてください」とお伝えしています。

差支えない範囲で取り組み事例を伺いたいです


平岡さま:本当に小さなことではあるのですが「ロッカーの配置を見直す」といった事例がありました。
また、職場で改善してほしいことを拾い上げる機会を作ってくれた事例もありました。この時に出てきたのが「靴」についての意見です。警察の制服にはいくつか種類があり、中には編上靴を履く職場もあります。「特に夏場、事務所で編上靴を履いているのが大変だ」という意見を受けて、事務所での制服の基準を見直したところ「すごく楽になった」と好評でした。当人たちにとっては「自分たちの意見を聞いてくれた」ということ自体が大きかったのだろうと感じています。
小さなストレスの積み重ねが大きなストレスにもなり得ますし、私たちが気づかなかったことを職員の声として拾い上げるきっかけになっている点でも、ストレスチェックの集団分析には価値があるのではないでしょうか。

最後に今後の展望を教えてください


平岡さま:メンタルヘルス不調になってお休みされる職員を少しでも減らしたいですし、お休みされている職員には安心して戻ってきてもらえるように、取り組みを進めています。人間関係を突き詰めて考えますと、対外的、同僚同士などさまざまなコミュニケーションがあって仕事が成り立っています。当たり前ではありますが、このコミュニケーションを大事にしていきたいと考えています。
また、群馬県警察のトップである本部長も様々な機会において「風通しが良く働きやすい職場環境を目指していく」とメッセージを発信しているように、私たちも良い職場環境づくりに取り組んでまいります。

群馬県警察
群馬県内を管轄区域とする警察組織。「安全・安心を誇れる群馬県の実現 ~ 県民の期待と信頼に応える力強い警察 ~」を目指し、群馬県内において犯罪捜査や交通指導の取締り、犯罪抑止活動等の各種警察活動に従事している。
公式サイト:https://www.police.pref.gunma.jp/