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ワーク・エンゲイジメントとは?高める方法と効果について

最終更新日 2023-01-10

みなさんは、ワーク・エンゲイジメントをご存知ですか。
「良く聞くけど良くわからない」「ストレスチェックで聞かれた気がするけど……」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ワーク・エンゲイジメントの位置づけやワーク・エンゲイジメントを高める方法などについて、詳しくお伝えしていきます。

ワーク・エンゲイジメントとは?

ワーク・エンゲイジメントは、「仕事に関連するポジティブで充実した心理状態のこと」を指します。
もう少し具体的に言うと、「仕事から活力を得ていきいきとしている(活力)」「仕事に誇りとやりがいを感じている(熱意)」「仕事に熱心に取り組んでいる(没頭)」の3つがそろっている状態とされています。
つまり、仕事に誇りとやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得ていきいきとしている人は、ワーク・エンゲイジメントが高い人と言えます。

ワーク・エンゲイジメントを構成する3要素

では、「ワーク・エンゲイジメント」という考え方がなぜ着目されているのでしょうか。
それは、日本全体での課題が大きく影響しています。
日本では、今後、20~29歳の人口が減少していき、2040年には2020年と比較して約220万人減少すると推計されています。
つまり、労働力の確保がますます困難となり、「優秀な人材の確保と定着」が企業の存続に重要となります。
このような背景から、社員のワーク・エンゲイジメントを高めることは、企業にとっても大変重要なポイントとなります。ちなみに、日本においては、「エンゲイジメント」を含む新聞や雑誌、インターネットニュース、研究・調査レポート、書籍などの記事件数は2014年~2019年で約10倍となっており、急速に関心が高まっていることがわかります。

ワーク・エンゲイジメントを把握する方法について

ワーク・エンゲイジメントの測定では、「ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度(Utrecht Work Engagement Scale:UWES)」が最も広く活用されています。
ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度では、ワーク・エンゲイジメントを構成する、活力、熱意、没頭の3つの要素に関する17問の質問から測定します。
ただし、日本人はポジティブな自己評価を行うことに抵抗を感じる国民性があるため、点数が低めに出ることが指摘されています。
その他にもMBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)、OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)といった測定方法もあります。
また、従業員数50名以上の事業場で実施が義務付けられているストレスチェックには、「仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる」「自分の仕事に誇りを感じる」「働きがいのある仕事だ」などの質問項目が含まれており、従業員のワーク・エンゲイジメントの参考とすることができます。

ワーク・エンゲイジメントを高める方法とは?

ワーク・エンゲイジメントを高めるためには、仕事の資源と、個人の資源の2つを充実させることが必要です。

仕事の資源

上司からの支援やフィードバック、仕事のコントロール、報酬や承認、組織と個人の価値観の一致など、社員のパフォーマンス向上のための資源が充実していると、ワーク・エンゲイジメントが高まるとされています。
つまり、上司からのポジティブな評価(フィードバック)や部下の成長を促すコーチング、組織として個人の目標形成やキャリア形成支援などを充実させることが効果的と言えるでしょう。

個人の資源

「自分を取り巻く環境を上手にコントロールできる能力」や「レジリエンスと関連した肯定的な自己評価」があることが重要です。
つまり、レジリエンスや自己肯定感、自尊心、楽観性などの力があることがワーク・エンゲイジメントを高めます。そのため、ストレスにうまく対処するための能力をもつための研修を行ったり、ジョブ・クラフティング研修を行ったりすることも効果的です。

ワーク・エンゲイジメントを高めることで得られる効果

では、ワーク・エンゲイジメントを高めることは、企業にとってどんな効果があるのでしょうか。
冒頭でお伝えしたように、大きくいうと、優秀な人材との確保と定着につながります。

定着率の増加と離職率の低下

ワーク・エンゲイジメントが高いほど、離職率が低く、企業への定着率が高いことが明らかとなっています。
ワーク・エンゲイジメントを向上させれば、従業員の仕事への満足度も高くなり、人材の確保も容易になるでしょう。

生産性・パフォーマンスの向上

ワーク・エンゲイジメントが高まれば、社員一人ひとりが仕事に対してポジティブな向き合い方ができるため、生産性やパフォーマンスも向上します。
また、仕事に対してポジティブに向き合える人が増えれば、コミュニケーションも活発になり、利他的な行動も増え、新しいアイディアも活発になります。
ひいては組織の雰囲気も良好になると考えられます。

メンタルヘルス対策

ワーク・エンゲイジメントを高めることができれば、仕事に対するストレスも減らすことができます。
一方で、ワーク・エンゲイジメントが低いと、仕事だけでなく、組織や対人関係のストレスも強まることが想像できます。
つまり、ワーク・エンゲイジメントを高めることができれば、ストレスを軽減でき、メンタルヘルス不調を防ぐことができるでしょう。

まとめ

このように、ワーク・エンゲイジメントを高めれば、個人にとっても、組織にとっても大きなメリットがあります。
この機会に、ストレスチェックや各種サーベイなどを活用して従業員のワーク・エンゲイジメントを把握し、高めるための対策を考えていきましょう。

DL

<参考>
・ 厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」
・ 島津明人「ワーク・エンゲイジメントに注目した個人と組織の活性化(PDF)」
・ 島津明人「職場のポジティブメンタルヘルスと行動医学―ワーク・エンゲイジメントに注目した組織と個人の活性化―(PDF)」
・ 島津明人「健康でいきいきと働くために:ワーク・エンゲイジメントに注目した組織と個人の活性化」

執筆者

【保健師】根本 裕美子
【保有資格】保健師/看護師/第一種衛生管理者/人間ドック健診情報管理指導士
【コメント】行政保健師として住民の方々の健康のサポートをしたのち、働く人々の健康づくりをサポートをしたいと考え、現在産業保健領域で活動しています。ストレスチェックの分析やセミナーなどを通して、働く皆さんが、体も心もいきいきと過ごせるよう、そして、楽しく安心して働ける職場を増やすことにつながるよう、情報をお伝えしていきます。

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